赤星病
糸状菌による病害。さび病菌の一種による。一度発生するとしつこい。
この病原菌は、時期によって寄主を替える「異種寄生菌」で、春~初夏はバラ科樹木に、夏~翌春はヒノキ科樹木に寄生する。樹種によって、同じ病菌によるものとは思えないほど、全く違う症状を呈する。ナシ園の近く(半径2km以内)でイブキやビャクシン類を栽培してはいけないのは有名な話である。
なお、病原菌は異なるものの、オモトにも同名の病気が存在する。こちらは、葉に不整形~扇形の赤褐色病斑ができ、ひどいと葉が枯れる。病斑の中心部は灰褐色~灰白色。病斑と健全部は鮮明で、病斑の周辺は黄色くなる。同じ病名ながら、バラ科・ヒノキ科の赤星病ほどタチの悪い病気ではない。
発生時期
【バラ科樹木】4~6月
【ヒノキ科樹木】6~4月
被害箇所
【バラ科樹木】葉、果実など。
【ヒノキ科樹木】葉、小枝など。
主な症状
【バラ科樹木】円形~不整形で、赤褐色~黄橙色・黄白色などをした病斑ができる。病斑の中心は灰白色となる。症状が進むと、病斑の表面に、黄褐色または黒色の粒(「柄子殻」または「精子器」と呼ぶ)を生じる。
多湿時には、病斑の裏側に、灰色~黄褐色をした、短い毛(「さび子腔」と呼ぶ)が多数伸び、胞子を飛ばす。
【ヒノキ科樹木】黄色い小斑点ができ、やや盛り上がって、半球形で褐色をした、粉っぽい病斑を形成する。症状がひどいと葉が枯れる。多湿時には、病斑から粘質物が分泌され、膨張して、黄色っぽいゼリー状となる。春になると、ここから胞子(「小生子」)が飛散する。
対策
被害部分を全て除去し、薬剤を使用。
【薬剤】【散布】アンビル、インダー、オーソサイド、キャプタン、キャプレート、クリアパッチDF、グリーンダイセンM、グリーンペンコゼブ、サルバトーレME、ジマンダイセン、ストロビー、スペックス、ターフトップDF、ツインサイドDF、トップグラスDF、トップジンM、トリフミン、バイコラール、バイレトン、バシタック、パルノックス、ビスダイセン、フローラガードAL、ペンコゼブ、ベンレート、ホクガード、ポリオキシンAL、ボンジョルノ、マネージ、モンカット、ラリー、ルビゲンなど。
【注意点】同一薬剤の連続使用は避ける。
予防策
土の水はけを改善する。株に水をかけない。できれば雨に当てない。株元を清潔に保つ。通風を改善する。近くに被害株があれば除去する。病原菌の中間寄主となるので、下に挙げた「バラ科樹木」と「ヒノキ科樹木」を近くで栽培しない。
【薬剤】【散布】上記と同じ。ヒノキ科樹木は、冬季に石灰硫黄合剤を散布。
主な被害植物
【樹木・果樹】
【バラ科樹木】カイドウ、カリン、ジューンベリー、ナシ、ナナカマド、ヒメリンゴ、ボケ、マルメロ、リンゴなど。
【ヒノキ科樹木】イブキ類、ネズ、ビャクシン類など。