いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育て る-

園芸知識:接ぎ木

概要

  1. 「接ぎ木」とは、二つ以上の植物を人為的に合着させ、一つの植物にするという、冷静に考えると大胆な繁殖方法である。新たな植物の土台となる側を「台木」、台木の根を使って茎葉を生長させる側を「接ぎ穂(穂木)」と呼ぶ。
  2. 接ぎ木は、接ぎ穂を提供する「親株」の増殖を、主な目的としている。接ぎ木によって生まれた株は、接ぎ穂を提供した親株と遺伝的に同一のクローンとなるため、優良品種からたくさん接ぎ穂を採り、どんどん接ぎ木すれば、その品種をたくさん殖やせる。
  3. 親株のクローンを作る繁殖方法としては、接ぎ木以外に、株分け、挿し木、取り木、組織培養などがあるが、これらの方法は、植物によっては、増殖の効率が悪かったり、時には、行うことさえできなかったりする。(例、ウメ、カキ、カンキツ類、サクラ、ビワ、ボタン、モモなど。)そのような植物は、接ぎ木によって殖やす。
  4. 接ぎ木によってできた株は、台木・接ぎ穂ともに、ある程度生長した体を持つため、ゼロからスタートする実生苗より、明らかに生長が早い。従って、開花・結実までにかかる年数も少なくてすむ。
  5. 接ぎ木は、必ずしも増殖を目的とするわけではない。例えば、一本の台木に、花色の違う複数の接ぎ穂を接げば、開花時に賑やかである。また、さまざまなカンキツ類の接ぎ穂を、同じ台木に接ぎまくれば、一本の木で、いろんなカンキツを収穫できる。さらに、木の枝ぶりが気に入らなければ、新しい枝を継ぎ足すこともできる。
  6. 他にも、雌雄異株の果樹は、雌株と雄株、両方植えなければ結実しないが、接ぎ木を行えば、雌雄同体の木を作れる。また、全身に斑が入り、緑色の部分(葉緑素)を欠く植物は、単独では生きていけないが、葉緑素を持つ株に接ぎ木することによって生存が可能となる。
  7. また、野菜の場合、同じ土で同種の野菜を続けて栽培すると、土中に、根からの老廃物や特定の病原菌などが増え、「連作障害」が出て、うまく育たない。しかし、そのような土でも、接ぎ木苗なら根の部分が別種の植物であるため、連作障害を受けにくくなる、という利点がある。
  8. 果樹や野菜の世界では、接ぎ穂に耐病性を与え、健全に育てるための、台木専用の品種が数多く作出されている。そのため、果樹や野菜類の接ぎ木苗は、接ぎ木していない苗(自根苗)に比べ、耐病性に優れ、性質も強健なものが多い。値段は高いが買うメリットは大きい。
  9. 接ぎ木に用いる台木は、できる限り、接ぎ穂に近い種類の木にする。釣り合いがとれない・調和しない様子を表すことわざに、「木に竹を接ぐ」というものがあるが、実際に、接ぎ穂と台木の種類がかけ離れていると、接ぎ木しても失敗する。例えば、サクラとモモは同じバラ科に属し、雰囲気も似ているが、じつは遠縁であるため、無理やり接ぎ木しても、うまくいかない。
  10. それなら、種類さえ近ければ良いのかというと、そう単純でもない。樹勢の強い種類を台木にして、樹勢の弱い種類の接ぎ穂を接ぐと、台木からしか芽が出ず、接ぎ穂が弱る「台勝ち」という現象が起きる。逆に、樹勢の弱い台木に樹勢の強い接ぎ穂を接ぐと、今度は、接ぎ穂の生長に台木がついていけず、接ぎ木部分から折れたりする「台負け」という現象が起きる。
  11. 台木と接ぎ穂の種類が近く、木の力関係も釣り合っていることを、園芸上、「接ぎ木の親和性が良い」と表現する。上記のサクラとモモの例や、台勝ち、台負けなどは、「接ぎ木の親和性が悪い」典型的な例である。接ぎ木が成功するか否かは、作業の上手下手を別にすれば、この「親和性」に大きく左右される。
  12. 幸い、多くの植物は、どの台木と親和性が良いか明らかにされている。どうしても分からなければ、全く同じ種類の台木(「共台(ともだい)」という)を用意すればよい。(※ 親和性に問題がない組み合わせでも、場合によっては、木の寿命が短くなるなどの弊害が出るので、心配なら、同種の木を台木にするのが一番無難である。)
  13. 接ぎ木は、「木」と付くが、木本だけの特権ではない。夏野菜の接ぎ木苗を見ても分かるように、草本でも可能である。野菜以外の草本の接ぎ木としては、サツマイモにアサガオを接いだり、性質の弱いサボテンを丈夫なサボテンに接ぐ例などが知られる。

台木の用意

  1. 良い台木を用意するには、タネをまくか、挿し木、根挿し(根伏せ)をするのが一般的である。台木に必要なのは根と幹の部分だけなので、野生種や雑種で十分。果樹類なら、食べた後の果実からタネを採り、すぐにまくのが手っとり早い。
  2. 台木をタネから作った場合、「根作り」の作業が必要となる。「根作り」とは、発芽後、最初の植え替え適期が来たら苗を掘り上げ、太い直根(真下に伸びた根)を、長さ1/3ほどに切りつめ、細根の発生を促す作業である。樹種にもよるが、この作業をしないと、ゴボウのような太根ばかりが粗く張り、良い台木にならない。タネまき後2~3年が経ち、ある程度幹が太ったら、台木として使える。
  3. 挿し木や根挿し・根伏せで台木を作った場合は、最初から細い根がたくさん伸びており、上記のような根作りは必要ない。早ければ、作業後1年経てば台木として使えるので、急ぐ場合は、こちらの方法がよい。ただし、根挿し・根伏せが可能な木は、あまり多くない。

接ぎ穂の用意

  1. 接ぎ穂は、作業後に木の主体になる側なので、花が美しい・果実がおいしい・性質が強健で育てやすい、などの、優れた特性を持つ品種を選ぶ。日当たりが良い場所に伸び、節間が詰まり、かつ、品種の特性がよく表れた若い枝(伸びてから1~2年以内)を用いる。徒長枝を使うと接ぎ木後の生育が早いが、枝が暴れやすい。なお、花芽のある枝は使わないほうがよい。
  2. 温帯性の庭木・花木類は、接ぎ木の成功率を高めるために、休眠中の1~2月頃に接ぎ穂を採取し、春の適期が来るまで保存しておく、という方法をとることがある。落葉樹は葉が無いのでそのまま保存できるが、カンキツ類やビワなどの常緑樹は、葉柄だけを残して葉を全て取り除いておく。(針葉樹は、作業時に邪魔になりそうな葉だけを摘み取っておく。)採取した接ぎ穂は、短く切らずに、長いまま(30~60cmくらい)束ねて、切り口を湿らせた綿で包み、さらに、全体を湿らせた新聞紙で包んで、ビニール袋に入れて密閉する。これを冷蔵庫の野菜室に入れておけば1ヵ月ほど保存がきく。冷蔵庫に入れず、束ねた接ぎ穂をそのまま深さ30cmくらいの土中に埋めて保存してもよい。いずれの方法も、接ぎ穂を立てず、水平にして保存する。
  3. 上記のような接ぎ穂の保存を行う理由は、「接ぎ木の適期が来るまで、接ぎ穂を活動させないため」らしい。普通、植物は、春になると休眠から覚めて活動し始めるが、親木から切り離すことで、接ぎ穂の目覚めを防いでいるようである。休眠中の接ぎ穂を、活動を開始したばかりの台木に接ぎ木すると、活着率が良いという。
  4. ただ、接ぎ穂の保存作業は、落葉樹では普通に行われるが、常緑樹や針葉樹ではあまり行わない。なお、たとえ落葉樹でも、「根接ぎ」「芽接ぎ」「呼び接ぎ」は、接ぎ穂の保存ができないので、採取後すぐに接ぐ。
  5. 採取した接ぎ穂を保存したい場合は、接ぎ穂を水に挿し、直射日光の当たらない、寒い場所に置くだけで、一週間ほど保存できる。もう少し長く、二週間ほど保存したければ、接ぎ穂を縦にして、大部分を土中に埋め(上下を間違えないよう注意)、先端の芽だけを地表に出しておく。
  6. もちろん、接ぎ穂を採取後、すぐに作業ができるのなら、わざわざ保存する必要はない。作業を行う日の朝に接ぎ穂を採取し、即座に接ぐとよい。その間、切り口を乾かすのは厳禁。

作業前の知識

  1. 接ぎ木を行う数日前から、しっかり水やりしておけば、植物の組織がシャキッとするので作業しやすい。特に、樹皮を剥く作業が容易になる。
  2. 作業の適期は接ぎ木の方法によって異なるが、原則として、生育開始の直前~生育期間の前半である。落葉樹なら2~3月、常緑樹と針葉樹が3~6月となるが、3月頃に行うことが多い。(「呼び接ぎ」は4月頃がよい。)熱帯性の植物は、気温が高い4~7月頃に行う。なお、複数ある接ぎ木法のうち、「芽接ぎ」だけは、他の方法と異なり、生育期間真っ最中の8~9月頃が最適期となる。
  3. ひと口に「接ぎ木」といっても、いろんな方法がある。下記に、一般的な方法をあげる。
    • 切り接ぎ…台木の上部をばっさり切って、切り口の端に切り込みを入れ、そこに接ぎ穂を差し込んで固定する方法。あらゆる接ぎ木法の中で、最も基本的。
    • 割り接ぎ(くさび接ぎ)…台木の上部をばっさり切って、切り口の中心に、真っ二つに割れ目を入れ、そこに1~4本の接ぎ穂を差し込んで固定する方法。複数の接ぎ穂を接いだ場合は、活着後、一本に間引く。
    • 腹接ぎ…台木の幹に切り込みを入れ、そこに接ぎ穂を差し込んで固定する方法。枝の無い部分に、新しい枝を接ぎ足せるので、盆栽など、姿を重視する場合に行われる。
    • 根接ぎ…台木から太い根を切り取ってきて、切り口の端に切り込みを入れ、そこに接ぎ穂を差し込んで固定する方法。接ぎ終わったら、接ぎ木した部分が土に埋まるよう、深めに植え付ける。
    • 接ぎ根…名前が「根接ぎ」に似るが、こちらは、根の機能が落ちた木に切り込みを入れ、そこに、台木から切り取ってきた健全な根を差し込む方法。枯れそうな木を助けるために行うことが多い。
    • 芽接ぎ…下の二種類がある。芽接ぎは、失敗しても台木をダメにする心配が少ないのが利点だが、活着率も若干低い。他の接ぎ木法とは違い、盛夏~初秋の頃に行う。
      • そぎ芽接ぎ…台木の樹皮を深めにそぎ取り、そこに、別の木からそぎ取ってきた芽をぴったり当てて固定する方法。台木のそぎ取る部分の形と、あてがう芽の形が一致していれば、比較的簡単に行える。「フォッケルト法」ともいう。
      • 盾芽接ぎ(楯芽接ぎ)…台木に、十字型またはT字型の切り込みを入れ、樹皮を切り開いて、そこに、別の木からえぐり取ってきた芽を差し込み、開いた樹皮を元に戻して固定する方法。活着後も、接ぎ木の傷跡が残らずにすむ。なお、十字型に切り込みを入れると「十字型芽接ぎ」、T字型に切り込みを入れると「T字型芽接ぎ」「T字法」とも呼ばれる。
    • 呼び接ぎ…台木・接ぎ穂ともに樹皮を傷付け、その傷口をぴったり合わせて固定する方法。他の方法と違い、接ぎ穂を切り取らず、根が付いた状態で接ぐ。活着したら、接ぎ穂の下部は必要無いので切り捨てる。台木・接ぎ穂ともに根があるため、最も失敗が少ない。なお、厳密には、枝と枝、または幹と枝を接ぎ合わせる方法が「呼び接ぎ」で、幹と幹を接ぎ合わせる方法は「寄せ接ぎ」という。
  4. また、「○○接ぎ」という名前でも、実際の接ぎ木の方法ではないものがある。用語解説っぽくなるが、以下に例を挙げる。
    • 上げ接ぎ(揚げ接ぎ)…台木を根ごと掘り上げてから接ぎ木すること。下記の「居接ぎ」では作業しにくい場合に行う。作業中に根を乾燥させないよう、バケツの水に浸しておくなどの注意が必要。接ぎ木し終えたら、元通り植え直す。
    • 居接ぎ…台木が土に植わった状態で接ぎ木すること。
    • 高接ぎ…大きな木の、高い位置に接ぎ木すること。すでに大きくなった木の品種を丸ごと変えたい場合に行う。(例、普通のウメを枝垂れウメに変えたい場合など。)実際の方法は、「切り接ぎ」「割り接ぎ」「腹接ぎ」「芽接ぎ」のいずれかを用いる。太い枝には、一度に2~5本の接ぎ穂を接ぐこともできる。
    • 緑枝接ぎ(夏接ぎ)…通常、接ぎ木の作業を行うのは春頃だが、植物によっては、6~7月頃にも行える。この新緑の時期に行う接ぎ木のことを、「緑枝接ぎ」という。実際の方法は、「切り接ぎ」「割り接ぎ」「腹接ぎ」のいずれかである。若い細胞が活発に活動する時期なので、活着が早いが、行える植物の種類が少ない。
  5. どの方法で接ぎ木するにせよ、大切なのは、1)作業適期を外さないこと、2)台木と接ぎ穂の切り口同士がぴったり合うよう、切れ味のよい刃物で上手に削ること、3)形成層同士を可能な限り密着させること、4)作業が終わるまで切り口(密着させる部分のみ)を乾かさないこと、に尽きる。作業後は、高い湿度を保ちつつも、接ぎ木部分に水をかけないことも大切。
  6. 針葉樹を接ぎ木する場合は、ヤニが出ないうちに手早く済ませる。ヤニが出てしまうと、台木の切り口と接ぎ穂の切り口の間にヤニが挟まるため、形成層が密着せず、失敗の原因となる。

切り接ぎ

  1. ここから接ぎ木の実際の手順も書く。まずは、接ぎ木の基本中の基本である「切り接ぎ」から。ただ、接ぎ木の手順は、文章ではイメージがつかみにくいので、イラストや写真を多用した専門書を読むほうが遥かに賢明である。
  2. 台木の準備。接ぎ木作業が全て終わるまで、切り口を乾燥させないよう注意。
    1. 台木の根元の土を少し掘り、根の上部を露出させる。作業がやりにくそうなら、台木を全て掘り上げる「上げ接ぎ」にする。
    2. 一番上の根から3~8cmくらい離れた位置で、台木の上部を、思い切ってばっさりと切り、切り株にする。なお、接ぎ木の傷跡が目立っても構わないのなら、地際付近の切断にこだわる必要は無いので、好みの位置で切る。
    3. 台木の切り口が、なるべく水平になるように、鋭利な刃物できれいに整える。
    4. 切り口を真上から見ると、表層のすぐ内側に、色の濃い「形成層」の円がある。その形成層がよく見えるように、切り口の端の部分を、面取りの要領で、斜めに削る。このとき、あまり深く削らないよう注意。切り口の表面を軽く削ぐ程度で十分。
    5. 形成層が見えたら、それを突っ切るように、切り口に対して垂直に、まっすぐ切り込みを入れる。切り込みの深さは、台木や接ぎ穂の太さにもよるが、1~3cmくらいが目安。
  3. 接ぎ穂の準備。切り口が乾燥しないよう、作業をするとき以外は水に浸けておく。口にくわえてもよいが、植物には有毒の種類もあるので、そのような習慣を付けるのは好ましくない。
    1. 親木の枝を、1~3節(長さ4~8cm)くらいずつに切り分けて、接ぎ穂とする。接ぎ穂にするのは、枝の途中部分だけで、先端部分は使わないことが多い。
    2. 接ぎ穂に葉が付いていれば、葉柄だけを残して、葉を全て切り取る。針葉樹の場合は、作業の邪魔になりそうな、下部の葉だけをむしり取る。
    3. 接ぎ穂の切り口をよく見ると、表層のすぐ内側に、色の違う「形成層」がある。その形成層の部分が、縦に広く露出するように、接ぎ穂の下部を、鋭利な刃物で丁寧に削る。削る長さは、台木の切り込みの深さ+5mmくらいがよい。このとき、一番下の芽と反対側を削るのがコツ。
    4. 接ぎ穂を削るのが難しければ、切り口を斜めに切り返すだけでもよい。この場合も、可能な限り、形成層を大きく露出させるよう心がける。
    5. 形成層を露出させたら、接ぎ穂を裏返し、反対側を斜め45°くらいに切り返して、接ぎ穂の切り口をくさび形にする。
  4. 台木の切り込みを少しこじ開け、接ぎ穂を差し込む。このとき、上記のようにして露出させた、台木の形成層と接ぎ穂の形成層が、ぴったり合わさるように差し込むのが大切。形成層同士がうまく合わない場合は、焦らず、少しでも多くの面積を合わせるよう、臨機応変に対応する。
  5. 形成層同士を合わせたら、台木の切り込みと接ぎ穂の間に無用なすき間がないか、よく確認する。大きなすき間があると活着しない。台木の切れ込みの最深部と、接ぎ穂の先端部との間は、特にすき間ができやすいので注意。
  6. 接ぎ穂がぐらつかないよう、台木を接ぎ木テープで二~三重に巻いて、しっかりと固定する。接ぎ木テープが無ければ、耐水性のビニールテープで代用できる。なお、テープを巻くときに接ぎ穂がずれやすいので、十分に注意を払う。
  7. 台木の切り口と接ぎ穂全体に、接ぎロウ(樹木用の傷口癒合剤)を塗り、乾燥から守る。接ぎロウがなければ、普通のロウでもよい。それも無ければ何も塗らずにおく。
  8. 台木の根元を掘って根を露出させていた場合は、埋め戻すのを忘れない。「上げ接ぎ」にした場合は、元通り植え直す。
  9. 湿度を保つため、接ぎ穂と接ぎ木部分を、小さな穴を開けたビニール袋ですっぽりと覆い、密閉する。(ビニール袋を使う以外に、接ぎ穂の先端の芽が見える程度に盛り土する、という方法もある。)
  10. 接ぎ木部分が高温になって蒸れるのを防ぐため、直射日光を避けた場所で管理する。
  11. 傷口にロウを塗らなかった場合、接ぎ木部分に水が入り、そこから腐ることがあるので、雨よけをする。水やりは、頭からかけるのではなく、土の表面に直接行う。(盛り土をして乾燥を防ぐ場合も、雨に当てない方がよい。水やりも、なるべく接ぎ木部分に水がしみこまないよう、場所を選んで行う。)
  12. 接ぎ穂の芽が伸び始めたら、活着の合図である。ビニール袋を外し(盛り土した場合は土を取り除き)、徐々に通常の管理に馴らす。接ぎ穂からたくさんの芽が出たら、大きな良い芽を1~2個残して、弱い芽をかき取る。なお、台木から芽が伸びると(「台芽」という)、接ぎ穂が枯れる原因になるので、見つけ次第、全てかき取る。
  13. 枝が順調に伸び始めたら、風などで折れないよう、必ず支柱を立てて安定させる。
  14. 植物の種類によるが、接ぎ木後、半年も経てば完全に癒合する。遅いものでも、一年後には癒合するので、その頃に接ぎ木テープを外す。(ただし、「緑枝接ぎ」だけは例外で、活着して新枝が太り始めたら、食い込まないうちに、すぐに接ぎ木テープを外す。)接ぎロウは自然にはがれ落ちるので、そのままでよい。

割り接ぎ

  1. 次は「割り接ぎ」について。「割り接ぎ」は、上記の「切り接ぎ」とほぼ同じ手順なので、違う点だけを重点的に書く。接ぎ穂の切り口をくさび形に整えるので、「くさび接ぎ」とも呼ばれる。なお、野菜の接ぎ木苗は、大抵、この方法で接がれている。
    1. 台木の準備。
      1. 1.~3.は「切り接ぎ」と同じ。切り口をよく見て、表層のすぐ内側にある、色の濃い形成層の円を確認しておく。作業が全て終わるまで、切り口を乾燥させないよう注意。
      2. 台木の切り口を真上から見て、その中心を通るように、一直線に切り込みを入れる。切り株を円に見立てて、ちょうど二等分するつもりで。切り込みの深さは、台木や接ぎ穂の太さにもよるが、3~5cmくらいが目安。
      3. 台木が太いと、接ぎ穂を差し込むときに、切り込みをこじ開けにくい。その場合は、切り込みを、(真横から見て)V字型に整えるとよい。作業は、大切な形成層をひどく傷めないよう、鋭利な刃物を使う。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 1.~2.は「切り接ぎ」と同じ。接ぎ穂の長さは2~4節(7~10cm)くらいと、少し長めにする。
      2. 接ぎ穂の下部を、鋭利な刃物で、両側から斜めに切り返し、先端をくさび形に整える。くさび形にする部分の長さは、台木の切り込みの深さと同じ長さにする。(台木の切り込みが深さ3cmなら、接ぎ穂のくさび形部分も長さ3cmとする。)
    3. 台木の切り込みを少しこじ開け、そこに接ぎ穂を差し込む。このとき、台木の形成層と接ぎ穂の形成層が、少しでも多く密着するよう努力する。台木と接ぎ穂の太さが同じなら、形成層もぴったり合うので楽だが、台木のほうが太ければ、片側の一箇所だけでも合わせる。
    4. 台木がとても太い場合は、接ぎ穂を、切り込みの両端に一本ずつ、計二本差し込むことができる。(「二本接ぎ」という。)さらに、台木の切り込みを十字型にして、計四本の接ぎ穂を差し込むことも可能。
    5. 形成層同士を密着させたら、接ぎ木部分全体を、接ぎ木テープでしっかりと巻いて固定する。台木だけでなく、接ぎ穂の下部も一緒に巻く。
    6. 以降、「切り接ぎ」と同じ。ただし、接ぎ穂を複数接いだ場合は、活着後、一番生育の良い一本だけを残し、他は切り捨てたほうがよい。

腹接ぎ

  1. お次は「腹接ぎ」である。これも「切り接ぎ」の応用のようなもので、「切り接ぎ」を理解していれば難しくない。台木をばっさり切らずに、腹(胴体)の部分に接ぐので、この名がある。接ぎ木の傷跡が目立ちにくい。
    1. 台木の準備。
      1. 1.は、「切り接ぎ」と同じ。枝を接ぎ足したい場所を選び、その周辺にある、邪魔になりそうな小枝や葉などを取り除いておく。根元に近い部分に接いだほうが活着率が良い。
      2. 枝を接ぎたい場所に、鋭利な刃物で、ざっくりと、斜めに切り込みを入れる。切り込みの深さは、内部の木質部にかかるくらい。台木を真横から見て、幹の太さの1/3くらいまでが目安。切り込みの角度については、お好みで。
      3. 上記のように、深く切り込みを入れるのではなく、樹皮を少しだけ縦方向にむくつもりで、ほぼ垂直に切り込みを入れる方法もある。この場合は、樹皮のすぐ内側にある形成層を、できるだけ大きく露出させておけば、接ぎ穂を差し込むときに、形成層同士を合わせやすい。こちらの方法は、台木のダメージが少なく、枯らす心配がほとんど無いので、失敗しても、同じ木で再挑戦できる。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 全て、上記の「割り接ぎ」と同じ。
    3. 台木の切り込みを少し開き、そこに接ぎ穂を差し込む。この時もやはり、台木と接ぎ穂の形成層同士を、可能な限り密着させる。
    4. 形成層を合わせたら、接ぎ木テープでしっかりと巻き、接ぎ穂が動かないよう固定する。接ぎ木部分だけでなく、接ぎ穂の下部までしっかりと巻く。接ぎロウは塗らなくてよい。
    5. 以降、「切り接ぎ」と同じ。湿度を保つためのビニール被覆は、上からすっぽりかぶせるのが無理なら、接ぎ木部分に巻き、上下をヒモで縛るとよい。
    6. 完全に活着したら、接ぎ木部分より上部を切り捨てれば、結果的に「切り接ぎ」や「割り接ぎ」と同じことになり、木の種類を変えることができる。(大きな木の場合は、一度に切らず、数ヵ月~数年かけて、少しずつ切り捨てる。)もちろん、木の種類を変える予定がなければ、上部を切り捨てる必要はない。

根接ぎ・接ぎ根

  1. 続いて「根接ぎ」に入る。この方法は、根の働きが衰えた植物に、新しい強健な根を与える目的で行う。基本的な手順は「切り接ぎ」と同じだが、台木が根だけ、という点が異なる。
    1. 台木の準備。
      1. 根を提供する台木を選び、土を掘るなどして、根を露出させ、太さが1cm以上ある、健康そうな根を探す。あまり古い根や、細すぎる根は適さない。
      2. よい太根を見つけたら、8~10cmくらいの長さで切り取る。根の先端の細い部分は使わないほうがよい。
      3. 根の上下を間違えないよう注意しながら、上の切り口を、鋭利な刃物で平らに整える。
      4. 表皮のすぐ下にある形成層を確認し、それにかかるように、垂直に切り込みを入れる。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 全て、「割り接ぎ」と同じ。
    3. 台木の切り込みをこじ開けて、下部をくさび形に整えた接ぎ穂を差し込み、双方の形成層をぴったり密着させる。形成層を合わせたら、接ぎ木テープかヒモで巻いて固定する。接ぎロウを塗る必要はない。
    4. 作業が終わったら、接ぎ木部分がすっぽり埋まるよう、土に植える。(「いけこみ」という。)あまり深植えせず、接ぎ木部分がちょうど見えなくなるくらいまで土をかければよい。
    5. 以降、「切り接ぎ」と同じ。湿度を保つためのビニール被覆は、できれば行いたいが、無理に行わなくても支障はない。その場合、乾きすぎに注意する。
    6. まれに台木から芽(台芽)が出るので、見つけ次第、根元から切る。台木が根しかないからといって、台芽が出ないと思ったら大間違い。
    基本的に「根接ぎ」は、上記のように台木に切り込みを入れ、そこに接ぎ穂を差し込む。が、逆に、接ぎ穂に切り込みを入れ、そこに台木を差し込むこともできる。
  2. 「接ぎ根」についても書いておく。「根接ぎ」に似るが、この方法は、病虫害などの理由で、根の働きが悪くなり、枯死に直面した木を救うために行うことが多い。
    1. 台木の準備。
      1. 1.~2.は、上記の「根接ぎ」と同じだが、切り取ってくる根の長さは、もう少し長くてもよい。
      2. 上の切り口をよく見て、表層のすぐ内側にある形成層を確認し、その形成層が、縦に広く露出するように、鋭利な刃物で丁寧に削る。削る深さは、根を接がれる側の切り込みの深さに合わせる。(この方法は、「切り接ぎ」の接ぎ穂の準備と同様である。)根の上下を間違えないよう注意。
      3. 切り口を、削った側とは反対の方向から、斜めに切り返し、くさび形に整える。
    2. 根を接がれる側の準備。
      1. なるべく地際に近い、根を接ぎやすい場所を選ぶ。幹に接ぐのが一般的だが、土を掘って、地下の根に接いでもよい。その場合、傷んだ根や病気の根に接いでも意味が無いので、必ず、健全な根を選んで接ぐ。
      2. 接ぐ場所が決まったら、鋭利な刃物で、斜め上方向に切り込みを入れる。切り込みの深さは、木質部にかかる程度。木の太さにもよるが2~3cmもあればよい。この「接ぎ根」は、弱った木に対して行うので、あまり深い傷を付けるのは好ましくない。
    3. 台木(根)を切り込みに差し込み、形成層同士を可能な限り合わせる。合わせ終わったら、接ぎ木テープやヒモでしっかり固定する。接ぎロウは不要。
    4. 以降、上記の「根接ぎ」と全く同じ。

芽接ぎ

  1. 今度は「芽接ぎ」について。芽接ぎは「そぎ芽接ぎ」と「盾芽接ぎ」の二種類があるが、まずは、難易度の低い「そぎ芽接ぎ」の方から書く。なお、「芽接ぎ」は他の接ぎ木法とは作業適期が違い、盛夏~初秋(8月上旬~9月中旬頃)に行うため、「上げ接ぎ」にしないほうがよい。また、高温期に作業するため、切り口が乾燥する危険が大きいので注意。
    余談だが、芽接ぎには、専用の「芽接ぎナイフ」という道具があるので、あらかじめ購入しておき、台木の切り込みや、芽の切り出しに用いるとよい。
    1. 台木の準備。
      1. 幹や枝をよく見て、新しい枝を接ぎたい部位を選ぶ。表面が滑らかな場所を選べば作業しやすい。
      2. 刃物を使い、樹皮を縦方向に少しだけ剥くようなつもりで、ほぼ垂直に切り込みを入れる。このとき、樹皮の内側にある形成層と、その内側の木質部が、わずかに見えるようにする。切り込みの長さは、台木の太さや、接ぎ穂の芽の大きさによって異なる。
      3. めくれている樹皮の、上半分くらいを切り除く。下半分は接ぎ穂を固定するため、切らずに残す。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 春に伸びた新梢をよく見て、その年の初夏に作られたばかりの、充実した芽を選ぶ。なお、新梢の先端部や、基部に近い部分の芽は、使わないほうがよい。
      2. 選んだ芽の脇にある葉は、葉柄だけを残して、葉身を切り捨てる。
      3. 芽の少し上から刃物を入れ、縦方向に樹皮をむくようにして、切り込みを入れる。深さは、台木の切り込みと同様に、樹皮のすぐ下の形成層と、その内側の木質部が、わずかに見える程度。切り込みを入れる長さは、台木の切り込みに合わせるが、次の手順で芽を切り出したときに、芽が、ほぼ中央の位置にくるよう調節する。
      4. 切り込みの一番下の位置に、もう一度刃物を入れ、芽と、その周辺部分を切り出す。このとき、樹皮に対して垂直に刃物を入れるのではなく、外側(樹皮側)が高く、内側(木質部側)が低くなるよう、斜めに刃物を入れる。(要するに、台木の切り込みとぴったり合う形に切り出す。)
    3. 台木の切り込みを少し開き、そこに、切り出した芽をぴったり合わせる。この時も、台木の形成層と、接ぎ穂の形成層が、少しでも多く密着するよう努力する。もし、接ぎ穂がはみ出たら、その部分をカットする。
    4. 形成層を合わせたら、接ぎ穂が動かないよう、接ぎ木テープでしっかりと巻いて固定する。このとき、芽と、残してある葉柄は、一緒に巻かずに露出させておく。接ぎロウを塗る必要はない。
    5. 接ぎ木後は、活着するまで雨や直射日光に当てないように管理する。他の接ぎ木法とは異なり、接ぎ木部分をビニールで覆う必要はない。
    6. 残してある葉柄が自然に脱落したら、活着の合図である。早ければ、作業後一週間も経てば活着する。活着後も接ぎ木テープはそのままでよいが、台木に食い込みそうなら、少しゆるめて巻き直す。
    7. 翌春になると、接いだ芽が伸び出すので、折れないように、必ず支柱を当てて安定させる。(他の接ぎ気法に比べ、接ぎ木部分がはがれやすいので、絶対に支柱立てを忘れない。)接ぎ木テープは外す。
    8. 活着後、台木の、接ぎ木部分より上の部分を切り捨てれば、「切り接ぎ」や「割り接ぎ」の場合と同様、木の種類を丸ごと変えられる。(大きな木の場合は、一度に切らず、数ヵ月~数年かけて、少しずつ切り捨てる。)が、木の種類を変える予定がなければ、切り捨てる必要はない。
    9. 台木の上部を切り捨てた場合、接ぎ木部分より下から「台芽」が伸びると、接ぎ穂が弱る原因になるので、見つけ次第、根元からかき取る。
  2. 続いて「盾芽接ぎ」について書く。単に「芽接ぎ」というと、こちらを指すことが多いようである。切り出す芽の形が西洋の盾に似るため、この名前がある。大体の手順は上記の「そぎ芽接ぎ」に準じる。
    1. 台木の準備。
      1. 1.は、上記の「そぎ芽接ぎ」と同じ。
      2. 芽を接ぎたい部分に、刃物で、十字型またはT字型の切り込みを入れる。切り込みの深さは、表皮の内側にある形成層に達する程度。切り込みを入れる部分の面積は、接ぎ穂の芽がぴったり収まる程度だが、目安としては、2~2.5cm四方くらい。
      3. 小さなヘラや芽接ぎナイフなどを使い、切り込みを入れた部分の樹皮をめくる。この時、樹皮をちぎったり破ったりしないよう注意。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 1.~4.まで全て、上記の「そぎ芽接ぎ」と同じ。ただし、「そぎ芽接ぎ」ほど、芽の形にこだわる必要は無いので、刃物で適当に切り出してもよい。
      2. 接ぎ穂にする芽を裏返し、木質部だけを丁寧にそぎ取る。形成層は残す。
    3. 台木の切り込みの中に接ぎ穂をはめ込み、形成層同士を密着させる。接ぎ穂がはみ出たら、余分な部分をカットする。
    4. 以降、上記の「そぎ芽接ぎ」と同じ。
    十字型の切り込みを入れると「十字型芽接ぎ」、T字型の切り込みを入れれば「T字型芽接ぎ」という。「T字型芽接ぎ」の場合は、切り込みの形を上下逆にすると(「⊥」の形)、接ぎ木部分に水が入りにくくてよい。

呼び接ぎ

  1. 最後に「呼び接ぎ」の手順を書く。台木・接ぎ穂とも、土に植わったまま接ぎ木するため、失敗の危険が少ない。実際の作業は、台木か接ぎ穂、いずれか一方の木を鉢植えにしておいたほうがやりやすい。(両方鉢植えなら、さらにやりやすい。)
  2. 「呼び接ぎ」には、いくつか方法があるが、ここでは、一般的な二種類の方法を書く。まずは、樹皮を削るだけの、より簡単な方法から。
    1. 台木の準備。
      1. 新しい枝を接ぎたい部位を選ぶ。できれば地際に近い主幹がよいが、上方の枝にも接げるので、お好みで。
      2. 接ぐ場所が決まったら、刃物で樹皮の表面を削り、形成層を露出させる。木質部が少し見える程度に、やや深めに削る。
    2. 接ぎ穂の準備。
      1. 良い枝を選び、台木と癒合させたい部位を決める。こちらは、地際に近い部位にこだわる必要はない。
      2. 決まったら、その部分の樹皮を刃物で浅く削り、形成層と木質部を露出させる。削る部分の形や大きさは、台木の傷口と同じにする。
    3. 台木と接ぎ穂の傷口同士をぴったり合わせ、接ぎ木テープやヒモなどで、しっかり巻いて固定する。接ぎ木部分だけでなく、その上下の部分まで一緒に巻く。接ぎロウを塗る必要はない。
    4. いずれか一方が(または両方が)鉢植えの場合は、ヒモ等で鉢も一緒にくくりつけ、動かないよう固定する。
    5. 作業が終わったら、活着するまで、雨や直射日光を避けて管理する。湿度を保つためのビニール被覆は、特に行わなくてもよいが、行う場合は、接ぎ木部分にビニールを巻いて、上下をヒモで縛るとよい。この間、台木から芽が伸びてきたら、見つけ次第かき取る。
    6. 植物の種類にもよるが、作業後一年も経てば台木と接ぎ穂が癒合し、接ぎ穂の切り離しが可能になる。接ぎ木テープやビニールを外し、接ぎ穂側の木を、台木と癒合している部分のすぐ下で切断すれば、一連の「呼び接ぎ」作業は終了である。場合によっては、台木のほうも、癒合部のすぐ上で切断することがある。
    7. なお、切り捨てた接ぎ穂側の木の下部は、接ぎ木が終わったからといって処分せず、しばらく様子を見れば、新たに芽吹くことがある。その芽を育てれば、また「呼び接ぎ」の接ぎ穂として使うことができる。
    8. 幹と幹を接ぎ合わせる「寄せ接ぎ」の場合は、癒合後も接ぎ穂の切り離しをせずに、そのまま一緒に育てる。「寄せ接ぎ」は、二本の木を合着させて一本の木にする接ぎ木法で、「呼び接ぎ」以上に面白い樹形を作れることから、盆栽において、特によく行われる。
    「呼び接ぎ」は、必ずしも、台木と接ぎ穂が別個の木である必要はない。一本の枝を長く伸ばし、それを曲げて、同じ木の幹の途中に接ぎ木するのも「呼び接ぎ」である。
  3. もう一つの「呼び接ぎ」についても書いておく。上記の方法に比べると少し面倒。
    1. 台木の準備。
      1. 台木の幹をよく見て、最も地際に近い部分にある芽を見つける。
      2. 芽を見つけたら、そのすぐ上で、斜め上方向に切断する。(つまり、芽より上の部分を切り捨てる。)切断する角度は、斜め45°くらい。
      3. 斜めになっている切り口を、反対側からもう一度切り返し、くさび形に整える。なお、このときは斜め45°で切るのではなく、樹皮の表面を少しそぎ取るような気持ちで、ごく浅い角度で切り返す。
    2. 接ぎ穂側の準備。
      1. 台木と癒合させたい部位を選び、下から刃物を入れて、斜め上方向に切り込みを入れる。切り込みの角度は、斜め45°とする。切り込みの深さは、台木の切り口の長さ(45°になっている側)と同じにする。
    3. 接ぎ穂側の切り込みをこじ開け、そこに、くさび形に整えた台木の切り口を差し込む。このときも、台木の形成層と、接ぎ穂側の形成層が、可能な限り密着するよう努力する。
    4. 形成層同士を合わせたら、ずれないように、接ぎ木テープかヒモなどを巻いて固定する。こちらも、接ぎ木部分だけでなく、その上下の部分まで一緒に巻く。接ぎロウは必要ない。
    5. 以降、上記の「呼び接ぎ」と全く同じ。なお、地面に近い位置で接いだ場合は、ビニール被覆の代わりに、盛り土をして、接ぎ木部分をすっぽり埋めてしまうとよい。活着したら、盛った土を取り除く。

その他の接ぎ木法

  1. 接ぎ木の方法はたくさんあるが、基本的に、上記の方法だけ知っていれば困らない。他には、下記のような方法がある。いずれも、上に挙げた方法と違って難易度が高く(=失敗が多く)、一般的ではないと思われるので、長々と書かず、軽く触れる程度で。
    • 合わせ接ぎ…台木・接ぎ穂ともに、切り口が斜めになるように切断し、互いの切り口をぴったり合わせて固定する方法。台木・接ぎ穂の太さと、切り口の角度の両方がぴったり合っていないと、作業がやりにくい。
    • 鞍接ぎ(くら接ぎ)…台木と接ぎ穂のうち、いずれか一方の切り口をくさび形(山型)に、もう一方の切り口を鞍型(谷型)に整え、双方の切り口をぴったり合わせて固定する方法。当然のことながら、切り口の角度がぴったり一致しないと、すき間ができる。
    • 舌接ぎ…台木・接ぎ穂ともに、切り口が斜めになるように切断し、さらに、楕円形になった切り口の中央に、まっすぐ切り込みを入れる。(文章では説明しにくいが、切り口を「θ(ギリシャ文字のシータ)」の形に整えればよい。)双方の切り口に切り込みを入れたら、台木と接ぎ穂を、互いの切り口を噛み合う形に差し込み、固定する。このとき、台木と接ぎ穂の切り口や切り込み部分が、少しでも多く密着するようにするのがコツ。かなり難易度の高い接ぎ木法である。
    接ぎ木のやり方は、ここまであげてきた以外にも、まだまだ存在するが、盆栽に熟達した人向きで、ほとんど職人技なので、割愛する。