ジャンル別索引:山野草・古典園芸
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植物名リスト
このジャンルについて
概要
- ここにあるのは、多年草・宿根草類の中でも、野草や高山植物、古典園芸植物、野生ランなど、趣味家(好事家)向けの植物である。(私の独断と偏見で分類。)一部、雑草としかいいようのない植物も混じっている。
- 「山野草」とは、日本や外国の山野に自生する、さまざまな草の総称である。その形態は、一年草、二年草、多年草(宿根草)、球根植物など多岐にわたる。なお、一部の小低木(例:高山性のシャクナゲ類など)も、山野「草」として扱われることがある。
- 山野草は、あまり品種改良されておらず、自然のままの原種が好まれる傾向がある。園芸品種や交配種もあるが、それらも、野生の姿や性質を色濃く残したものが多い。
- 日本の山野に自生する植物が多く、大抵、地植えで育てられる。イチゲの仲間など、鉢植えでは開花しにくい植物でも、地植えにすればよく開花する。ただし、夏に高温多湿になる温暖地では、地植えできる種類が限られる。
日頃の栽培管理
- 山野草は比較的小型の植物が多く、小さな鉢で栽培することが多いので、水切れに注意する。真夏は特に乾きやすく、一日数回の水やりが必要。腰水(浅い皿に水を張り、そこに鉢を浸すこと)にすると、水やりの負担が軽減されるが、過湿の危険があるうえ、高温で水がお湯になると根が傷む。
- 山野草は、野生的な性質を強く残しており、多くの肥料を必要としない。ごく薄い液肥を水やり代わりに与えるか、緩効性肥料を少量、置き肥する程度で足りる。全くの無肥料では花が咲かない。用いる肥料は、リン酸(P)の含有量の多いものを選ぶとよい。
- 夏に弱る種類が少なくないため、真夏は完全に無肥料とするか、葉面散布肥料(葉に散布し、吸収させる肥料)に切り替え、根の負担を減らす。なお、温暖地で真夏に有機質肥料を置き肥すると、根腐れの原因となる。
- 施肥の時期は、大雑把に言って、早春~春に咲く種類は花後すぐと秋、初夏~夏に咲く種類は春と秋、秋に咲く種類は春と花後すぐである。
植える土・鉢
- 多くの山野草は、土の水はけ・通気性にうるさい。そのため、鉢植えにする場合は、小粒~中粒の硬質赤玉土や硬質鹿沼土、軽石砂などを主体に、根腐れ防止剤を混合した、市販の山野草専用土を使ったほうが楽である。しかし、市販の専用土は、栽培容易な種類に向けて配合された土なので、例えば高山植物のような、特に気難しい山野草に対しては、あまり適さないようである。
- 自分で土を配合するなら、硬質赤玉土4+軽石砂小粒2+硬質鹿沼土2+腐葉土またはバーク堆肥2、などの配合にする。ただし、腐葉土やバーク堆肥などの有機物は、性質が頑健かつ耐暑性がある植物にのみ用いる。少しでも疑問のある植物には有機物を使わず、その分、硬質赤玉土や硬質鹿沼土の比率を増やす。その他の土の配合例は、「土」ページにある「実際の配合例」を参照。自分で土の配合を工夫し、その植物にとって最適な土を作り出すのも、山野草栽培の楽しみの一つである。
- 高山植物など、特に耐暑性が弱い山野草には、硬質鹿沼土と火山砂礫の等量混合土を使うと、夏越しの成功率が高まる。硬質鹿沼土を使わず、火山砂礫だけを数種類ずつ等量混合した土でもよい。いずれにせよ、使用前に、土を1mm目のふるいにかけてから、水洗いし、みじん(微塵)を完全に洗い流しておく。
- 水切れに弱い山野草には、水ゴケの粉末を一割ほど混ぜるとよい。大粒の用土を使うと水もちが悪いので、小さめの粒(小粒~細粒)の土を使うことが大事。完全な湿地性植物なら、水ゴケの単用でも十分育つ。
- 植える鉢は、駄温鉢か山野草鉢(焼締鉢)が適する。が、エビネにはエビネ鉢、オモトにはオモト鉢、というように、その植物専用に作られた鉢を使うのもよい。プラスチック鉢や化粧鉢、ビニールポットなど、通気性・排水性に欠ける鉢は、よほど丈夫な植物でない限り使わないほうが無難。
- 特に暑さに弱い植物には、断熱鉢やトラフ(抗火石鉢や軽石鉢)が最適である。また、軽石に穴を空け、ケト土で植物を植え込む「石づけ」もよい。抗火石鉢や軽石鉢、石づけは、夏に、浅く水を張った水盤の上に置けば、水切れ防止になり、気化熱の作用で根が冷やされ、風情も出て、一石三鳥である。
- 発泡スチロール製の容器も、底に水抜き穴を開ければ、植え鉢として使える。通気性は無いが、断熱効果が非常に高いので、暑さ寒さから根を保護したいときに重宝する。ただし、見た目が最悪なので、こだわるなら外側を塗装する。(ただし、発泡スチロールを塗装するには、専用の塗料を使うか、または、最初に下地を塗る必要がある。)
- セッコクやフウランなどの着生植物は、野生の状態では根がむき出しで、木や岩などに張り付いて生育している。そのため、人為的に栽培する場合も、鉢植えではなく、ヘゴ板や流木などを用意し、そこにくっつけた方がよく育つ。ヘゴ板や流木の上に根を広げて置き、水ゴケを少しかぶせて、糸で巻いておけば、数ヵ月でつき始める。一度着生させれば根腐れせず、植え替えの必要もないので楽。ただし、根の乾かしすぎに注意。
夏越し・冬越し
- 温暖地の山野草栽培において、最大の障害となるのは、やはり夏越しであろう。夏の高温多湿を苦にしない山野草もあるが、「遮光」「水切れ防止」「施肥停止」の三点は、基本中の基本といえる。幸い、山野草の世界には、断熱鉢や軽石鉢、抗火石鉢、水冷鉢、滲み壺(しみ壺)など、暑さを避けるための特有の植え鉢が多数存在するので、上手に利用したい。なお、具体的な夏越しの工夫については、別ページの「夏越し」を参照。
- 庭にスペースがあれば「ロックガーデン」も選択肢に入れたい。ロクガーデンとは、高山植物など、耐暑性の無い山野草を栽培するための独特な庭で、名前の通り、石組みで作られる。用いる砂礫や岩石は、排水性に優れる火山性の軽石が適する。素人が作るのは難しく、岩が崩れると危険なので、山野草の専門家などに業者を紹介してもらった方がよい。
- 最初に小石の層を作って中央部を盛り上げ、排水性を確保する。
- 高低差を付けながら、大きめの岩を立体的に配置する。高山をイメージしたゴツゴツの岩が好まれる。
- 岩と岩の隙間(「ポケット」という)に、粒の粗い砂利を敷く。
- ポケットに砂(桐生砂、日向土、山砂など)を入れ、そこに山野草を植え込む。
- 植えた植物が根付くまで、しっかり水やりする。根付いたら、乾けば与える程度でよい。
- 山野草は、そもそも温帯産の植物が多く、冬越しについてはそれほど苦労しない。ただし、太平洋側の地域では、冬に乾いた北風が吹いて植物を傷めるので、風除けをする。また、鉢植えの土が強く凍結しないよう、できればビニール温室などを設置し、その中に取り込む。鉢に寒冷紗や不織布などをかぶせて保護するのも、よい方法である。
- オキナワチドリやナゴラン、夏咲きエビネ類のように、亜熱帯性の山野草も一部に存在する。そのような植物は室内の涼しい場所で越冬させるが、加温の必要はない。冬の温度が高すぎると、植物のためによくない。なお、冬に葉が枯れて無くなる植物は、暗い場所に置いても問題ない。
- 戸外で越冬させている鉢植えは、水やりを忘れがちである。たとえ、地上部が全て枯れていても、地下には根があるので、水やりを怠ると傷み、ひどいと枯れる。ただし、ウチョウランなど、球根性の山野草は、休眠中に水やりが多いと腐るので、鉢ごと発泡スチロール箱などに入れて密閉して、室内の寒い場所に置き、春までそのままにしておく。