いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

センノウ

イメージ

原産地

日本(本州~九州)・中国東北部・朝鮮半島・ウスリー

ナデシコ科

高さ

20~100cm(種類による)

花期

5~10月(種類による)

形態

宿根草

別名等

リクニス(属名)/仙翁


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

西日を避けた戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は30~50%遮光)。

【補足】フシグロセンノウとマツモトセンノウは、一貫して強い直射日光を嫌う。

水やり

土の表面が乾けば与える。

【補足】わりと水を好む。

肥料

3月、6月、10月に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。

植え替え

3月上旬~4月上旬か、10月上旬~11月上旬(春のほうがよい)。

【補足】根詰まりしやすいので、なるべく毎年行う。

整姿

倒れやすいので、支柱を立てたほうがよい。6月中旬までに一度切り戻しておくと、低い草丈で開花する。花が一段落したら、基部2~3節を残して花茎を切り戻す。

繁殖

【挿し芽】5~7月か、9~10月(挿し穂には、芽の付いている節の部分を選ぶ)。

【株分け】植え替えと同時期。

【タネまき】2月下旬~5月下旬か、9月上旬~10月上旬(秋まきは、時期が遅れると、開花が翌々年になる)。

耐暑性

わりと強いが、強光と蒸れに注意。

【ガンピ】やや弱い。

耐寒性

とても強い(-25℃)。

解説

  1. 花壇向きの丈夫な多年草であるリクニス(スイセンノウ)と同じ仲間ながら、山野草として扱われるグループである。代表種は、阿蘇山周辺に分布し、濃橙~赤色・サーモンピンクなどの花を咲かせる、マツモトセンノウであろう。
  2. マツモトセンノウは茎が黒みを帯びるが、熊本の阿蘇には茎が鮮緑色をした個体がある。そのため、阿蘇産の個体をツクシマツモトと呼んで区別することがある。
  3. その他、花弁が深く切れ込んだ朱色花を付けるエンビセンノウ、やはり切れ込みのある赤花を咲かせるエゾセンノウ、岡山以西に分布し、カワラナデシコに似た紅色花を付けるオグラセンノウ、中部地方以北に分布し、小さな白花を付けるセンジュガンピ、橙色花または白花で、茎の節が黒っぽいフシグロセンノウなどがある。
  4. 外国産の種類には、中国原産で、花弁の縁が細かく切れ込んだ濃橙色花を付けるガンピ、ヨーロッパのアルプスに分布し、白~淡桃色花を咲かせるカッコウセンノウ、ロシア原産のアメリカセンノウなどがある。交配種には、マツモトセンノウとエゾセンノウの交配種オトメセンノウ、エンビセンノウとガンピの交配種ハーゲアナなどがある。
  5. フシグロセンノウは個体差が大きく、節の部分が黒くならない株や、節どころか茎そのものが黒っぽい株など、いろいろある。

注意点・病害虫

  1. 見かけによらず、よく根が張るので、やや大きめの鉢に植える。土質は特に選ばない。
  2. 基本的に丈夫で、地植えにしてもよく育つ。こぼれダネで殖えることもある。

余談

  1. この仲間は、茶花としてよく使われる。切り花にも最適。
  2. マツモトセンノウの「松本」の名は、花の形が、歌舞伎の松本幸四郎の家紋に似ているためといわれる。
  3. 「仙翁」の名は、京都嵯峨の曼荼羅山にあったという「仙翁寺」という寺名からきている。かつて、この寺の周辺では、多数のセンノウ(※「リクニス・ブンゲアナ」または「リクニス・センノウ」という学名を持つ、中国産の植物)が栽培されていたという。この寺は現存しないが、周辺地域では、朱赤色の花に白い斑が入る、絞り咲きの「嵯峨仙翁花」が栽培されている。この「嵯峨仙翁花」は、上記のセンノウではなく、マツモトセンノウの絞り咲き種らしい。
  4. ちなみに、「仙翁寺」の由来は、中国からセンノウを持ち込んだとされる人物の名前からきている。

各種の和名・異名

  1. ビスカリア・アルピナ(異名)/アルプスセンノウ/アルパインキャッチフライ(いずれもアルピナ)
  2. エンビセンノウ/燕尾仙翁(ウィルフォルディー)
  3. アメリカセンノウ(カルセドニカ)
  4. オグラセンノウ/小倉仙翁(キウシアナ)
  5. センジュガンピ(グラシリマ)
  6. ガンピ(コロナタ)
  7. シレネ・シーボルディー/リクニス・コロナリア変種シーボルディー(いずれも異名)/マツモトセンノウ/松本仙翁/マツモト/松本/ツクシマツモト/筑紫松本/アズマセンノウ/東仙翁(いずれもシーボルディー)
  8. センノウ(異名)/センノウ/仙翁/仙翁花(いずれもブンゲアナ)
  9. エゾセンノウ/蝦夷仙翁(フルゲンス)
  10. カッコウセンノウ(フロス-ククリ)
  11. フシグロセンノウ/節黒仙翁/オウサカソウ(いずれもミケリアナ)
  12. ザクロガンピ(ミケリアナの八重咲き品種)
  13. シロガネセンノウ(ミケリアナの白花品種)

(※データ:大阪市基準)