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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ジャンル別索引:観葉植物

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※ 植物名リストの下方に、このジャンルに関する解説文があります。

植物名リスト

このジャンルについて

概要

  1. ここにあるのは、主に熱帯~亜熱帯原産で、葉や株姿を観賞する植物である。(水草は除外。)
  2. 熱帯~亜熱帯産であっても、花を観賞する植物は「鉢花」の一覧へ。なお、いくつかの種類は「一年草・二年草」「庭木・花木」「多年草・宿根草」「多肉植物・サボテン」の中にもある。
  3. 観葉植物の多くは高温を好む。そのため、春~秋の高温期は順調に育つが、冬の低温期に枯らすことが多いものである。長く楽しむには晩春~初夏に購入するとよい。
  4. 「観葉」植物とはいえ、シダ類以外は、どの種類も花が咲き、実も成る。花は、初夏~秋までの生育期間中、不定期に咲くことが多い。ただ、観葉植物の花は、アナナス類やアンスリウム、スパティフィラムなどを除き、あまり観賞の対象にしない。

日頃の管理

  1. 観葉植物は、種類によって、強い直射日光を好むもの~日陰で育つものまでいろいろある。どちらかというと、直射日光を嫌う種類のほうが多いが、それでも、なるべく明るい場所を選んで育てる。暗すぎると、かえって生育がよくない。
  2. 直射日光を好む種類でも、室内に置いていた株を、急に戸外で日光に当てると、一気に葉焼けして見苦しくなる。室内の弱光下に慣れていた株にとっては、戸外の日光は強すぎるので、日数をかけて徐々に慣らす。最初の数日は数分~数十分の日光浴とし、少しずつ時間を長くするとよい。
  3. 直射日光の大好きな種類であっても、真夏の西日だけは少し遮光したほうが無難。
  4. 最近は、夏花壇の材料として、観葉植物が使われるようになった。クロトンやドラセナ類などは真夏の直射日光に強いので、積極的に利用したい。ただし、明るい日陰で育てていた株を、いきなり直射日光にさらすと葉焼けするので、数日かけて少しずつ日なたに置く時間を長くし、株を慣れさせる。
  5. 観葉植物は、葉に美しい斑が入ったり、緑色以外の色になる種類が少なくない。斑入り葉の種類は、やや遮光気味に育てたほうが、美しい斑が出る。ただし、日光が弱すぎると、斑が抜けて緑一色の葉になってしまうことがある。逆に、日光が強いと葉一面に斑が入ったりするが、度が過ぎると葉焼けするので、ほどほどに。
  6. 葉がライム色(淡黄緑色)をした種類は、日光が強いほど葉が黄色っぽくなり、日光が弱いほど緑色が強く出るので、好みで調節する。また、葉が赤~紫色の種類は、十分な日光に当てないと色がぼやける。
  7. 多くの観葉植物は夏の暑さを苦にしないが、一部、夏バテするものもある。一部のアナナス類やイワタバコ科植物などが該当するので、直射日光の当たらない、風通しのよい場所に置いてやる。
  8. 夏でも室内に置いている場合は、冷房器具の風が株に直接当たらないよう注意する。乾いた風によって植物内の水分が奪われ、葉が枯れ込む原因になる。
  9. 多くの観葉植物は、春~秋の生育期間中、水をたくさん欲しがる。極端な水切れは葉が枯れ込む原因となるので注意。真夏は一日2~3三回の水やりが必要なこともある。
  10. ポトスやフィロデンドロンなど、つる性の観葉植物には、長い支柱(ヘゴ棒など)を立て、そこにつるを這わせる仕立て方がある。つるが支柱の先端より長く伸びたら、支柱を継ぎ足すか、つるを下方に誘引する。不要なつるは切り戻すとよい。なお、支柱にも根(気根)が食い込むので、水やりの際は、支柱にも水をかける。
  11. しばしば、葉がホコリなどで汚れるので、ときどき株全体にシャワーをし、ゴミや汚れを洗い流すとよい。しつこい汚れは濡れ雑巾などで丁寧に拭き取るか、観葉植物専用の葉面洗浄剤を使う。
  12. 観葉植物は、文字通り、茎葉の観賞が主な目的なので、あまり多くの肥料を必要としない。生長の早い植物が多いので、常に少なめの施肥を心がる。5~9月の生育期に、2ヵ月に一度ほど固形肥料を置けば足りる。
  13. 植え替えは、最低気温が15℃以上あれば、いつでも行えるが、5~7月頃に行うのが最も安全。やむをえず遅れる場合も、なるべく8月中に終わらせたい。
  14. ドラセナ類や、サトイモ科観葉植物の多くは、葉のない茎の一部だけを挿し木しても活着することが多く、増殖が容易である。6~7月頃の高温期に作業すれば、まず失敗しない。

冬越しの注意

  1. 戸外で越冬できる観葉植物は少ないため、普通は室内で越冬させる。耐寒限界温度は、植物によってまちまちなので、事前によく調べておきたい。越冬中は、できる限り高い室温を保ち、水やりの回数を減らして、とにかく生かすことに専念する。具体的な越冬の工夫については、別ページの「冬越し」に詳しい。
  2. 大きな鉢に植わっている株は、越冬のために室内に入れると場所を取るので、入室前に剪定しておくとよい。ただし、ヤシ科植物とソテツは剪定不可能なのであきらめる。
  3. 寒さに弱いとはいえ、越冬中も最低15℃以上の室温が保てれば生育が続くので、二週間に一度くらい、2,000倍以上に薄めた液肥を、水やり代わりに与えてもよい。それより温度が低い場合は、肥料を与えてはいけない。
  4. 越冬中に最も問題となるのは、明け方の急な冷え込みである。早朝の5~6時頃に暖房器具が作動するよう、タイマー予約しておくと安心。ただし、暖房器具の温風を株に直接当てるのは厳禁。そんなことをすると、極度の高温・乾燥のために株が脱水症状を起こし、枯れ込む。ひどいと、株全体が枯死する。
  5. 越冬中でも、昼間は室内の窓辺などに置き、日光浴をさせる。ただし、窓辺付近は、夜になると急激に温度が下がるため、夜間だけ、窓辺から離れた場所に移動させる。
  6. 越冬中に温度が足りないと、葉が全て落ちることがあるが、生きてさえいれば春に芽が出る。葉が全て落ち、枯れたように見える株は、茎や幹の表皮(なるべく地際に近い部分)を、縦方向に少しむいてみる。中身がみずみずしい緑色をしていたら生きているので、そのまま様子を見る。黒っぽくなっていたり、茶色く乾燥していたら、株が枯れているので処分する。
  7. 空中湿度が足りないときも、葉が枯れ込んだり、枯れ落ちてしまうことがある。湿度を保つには、一日に1~2回、株全体に葉水(茎葉への霧吹き)をすれば一応の効果があるが、夜には完全に乾くようにしないと、株が冷えてしまう。加湿器を使うのが一番楽。
  8. 越冬中に十分な温度が保てなければ、水やりは、ごく控えめとし、土の表面が白く乾いても、さらに数日待ち、鉢底まで乾ききった頃を見計らって与える。
  9. 水やりには、一晩汲み置いた水か、25~30℃のぬるま湯を使う。冷たい水道水を与えると根が傷むことがある。
  10. 春になれば、室内で越冬していた植物を戸外に出せるが、4月いっぱいは遅霜に注意する。ここで油断すると、せっかく冬越しに成功したのに、一夜にして努力が水の泡になる。昼間のみ戸外に置き、夜は室内に取り込めば安全。

テラリウム

  1. 「テラリウム」という言葉は、「土の家」を意味するらしい。園芸上は、ガラス瓶など、透明な容器の中に植物を植え、全体を観賞の対象とする仕立て方をいう。規模の大きいテラリウムは、内部に人工の池や泉をあつらえたり、爬虫類や両生類、昆虫、果ては鳥なども一緒に入れたりするが、一般的には、小型の容器に土を入れ、数株の植物を植え込む程度。
  2. テラリウムの中は十分な通風と日照が確保できず、湿度が高いことから、植えられる植物が限られる。適するのは、多くの観葉植物と、ストレプトカーパス、セントポーリアなどのイワタバコ科植物、コケ類、根茎性ベゴニア類、などである。短期間の植栽なら、小型の洋蘭や、カランコエなどの多肉植物、シクラメンなども使える。いずれにせよ、大株に育ったものは好ましくなく、ミニ観葉や小苗など、ごく小さな株(どんなに大きくても3号鉢くらいまで)が適する。
  3. 植え込む容器は、アクリルやガラス製がよく使われるが、植物を植えられる空間が確保できて光を通す材質なら何でもよい。なるべく観賞に堪える、美しいものを。
  4. テラリウム作成の手順は以下の通り。最近は、テラリウム製作用の、柄の長いピンセットやはさみなどが市販されているので、用意しておくと作業しやすい。なければ料理用の菜箸などを使う。
    1. 根腐れ防止用の珪酸塩白土(「ミリオン」など)を用意し、容器の底に、厚さ5mm程度に敷き詰める。
    2. 用土を入れ、植物を植え込む。根鉢を崩す必要はなく、植物をポットから抜いたら、そのまま据えればよい。使う用土は自由だが、水はけを考え、赤玉土6+腐葉土3+川砂1、などとする。観葉植物の専用土や、ハンギングバスケット用の土なども使える。
    3. 用土が外から見えるのが嫌なら、ハイドロボールや化粧砂、カラーサンドなどを周囲に敷き詰め、用土を隠す。また、最初から用土を使わず、ハイドロボールだけで植物を植え込むのも、一つの方法である。
    4. 好みに応じて、土の表面に砂利などを敷いたり、石や流木、その他オブジェなどを飾る。
    5. 用土が葉の上に載ってしまったら、きれいに払い落としておく。
    6. 口の細長い水差しを使い、静かに水やりをする。あまりたくさん与える必要はない。終わったらフタを閉める。
    7. 作業後2~3日ほど、強い日光の当たらない涼しい場所に置き、養生させる。
  5. 完成したテラリウムは、レースカーテン越し程度の、穏やかな日光が当たる場所に置く。十分な光が確保できなければ、植物用の育成灯を使うとよい。なお、強い日光が当たると、内部の温度が急激に上がり、植物が傷むので注意する。
  6. 温度は、10~24℃の範囲に収めるのが望ましい。真夏はできる限り涼しく、真冬はできる限り暖かく過ごさせる。特に密閉式容器の場合、冷房・加温がほぼ必須条件である。
  7. 密閉式の容器なら、葉から蒸散した水が底に溜まり、再び根から吸収されるので、ほとんど水やりの必要がない。密閉式でない場合は、底の土まで乾きかけたら水やりする。
  8. テラリウムの植物は、あまり大きく育たないほうが好都合なため、肥料を与える必要はない。
  9. 枯れ葉や花がらなど、病気の原因になりそうな物があれば、見つけ次第取り除き、内部を清潔に保つ。植物に病気が発生したら、初期のうちに株ごと取り除き、蔓延を防ぐ。
  10. 植物が伸びすぎたら、ハサミで切り戻す。テラリウム用の、柄の長いハサミがあれば楽。植物が大きく育ち、切り戻しでは追いつかなくなったら、大きな容器に植え替えるか、挿し木などで新しい小苗を用意し、一から作り直す。
  11. 小さな容器では、とかく内部の環境が安定せず、カビや病気が発生しがちなので、定期的に新しく作り直したほうがよい。

ハイドロカルチャー

  1. ハイドロカルチャーとは、「水栽培」「水耕栽培」を意味する。「礫耕栽培」ともいう。具体的には、水の漏れない容器に「ハイドロボール(発泡煉石)」と呼ばれる人工の用土を入れ、そこに植物を植えて水をため、明るい半日陰で栽培する仕立て方をいう。土を使わず清潔感があるため、室内のグリーンインテリアとして人気。
  2. 最近は、観葉植物の小苗をハイドロカルチャー仕立てにした完成品が、安価で売られている。それを利用せず、普通の土に植わった苗をハイドロカルチャーにしたい場合は、根に付いた土を全て洗い落としてから植え付ける。このとき、根をひどく傷めないよう注意。(水洗いで落ちない土まで無理に落とす必要はない。)植え付け作業は、5~7月頃に行えば根付きやすく、その後の経過も順調。
  3. ハイドロカルチャーに使える観葉植物はいろいろあるが、シダ類は、根に付いた土を落とすと枯れやすいので、避けたほうが無難。
  4. 最近は、色付きのハイドロボールや、透明感のあるジェル、きれいなガラス玉なども、ハイドロカルチャー用土として市販されている。従来の、赤褐色のハイドロボールとは違い、観賞上優れる。
  5. どんな用土を使うにせよ、容器の底には珪酸塩白土(「ミリオン」など)を薄く敷き詰め、水腐れを防ぐ。特に、小さな容器で栽培する場合は、絶対に忘れてはならない。
  6. 容器に入れる水の量は、用土の深さの1/5~1/4程度が適当。浅すぎるとすぐ水切れし、深すぎると根腐れしやすい。細かく管理できるなら、苗があまり育っていない間は水位を高めにしておき、根が伸びて容器内に回るにつれ、水位を下げるとよい。
  7. 水位が決まったら、容器に目印を付けておき、それより水が減ったら足すようにする。不透明な容器で栽培する場合は、水が減ってもわかりにくいので、市販の水位計を差し込んでおく。
  8. 肥料は、特に与えなくてもよいが、元気に育てたければ、ハイドロカルチャー専用の液肥を用いる。あまり頻繁に与える必要はなく、5~9月の生育期間中、2~3回ほど与えれば足りる。ハイドロカルチャー用の液肥が無ければ、普通の液肥を2,000倍以上に薄めて与えるが、希釈濃度の加減が難しい。間違って濃い液肥を与えてしまうと根が傷み、植物が枯れる危険がある。
  9. ハイドロカルチャーを飾る場所は、半日陰~日陰がよい。直射日光が当たる場所に置くと、水温が上昇し、根が傷む。夏場は特に注意が必要。
  10. 容器の内側に藻が生えると、汚らしいだけでなく、異臭がしたり、水が腐ったりする危険が高まる。5~9月の生育期間中は、たまに植物を抜いて、容器と用土をよく水洗いする。(洗剤は使わない。)洗っている間は、植物の根が乾かないよう、水に浸けておく。
  11. 夏場は、室内でも、水にボウフラがわくことがある。
  12. ハイドロカルチャーは、越冬中も、根が水に浸かったままになるため、低温障害が出やすい。室温が常に15℃以上あれば、何とか大丈夫だが、できれば、容器に水をためるのを止め、ハイドロボールを軽く湿らせる程度にとどめたほうが安全。なお、越冬中の施肥は一切行わない。