フィロデンドロン

解説

1. ひと口に「フィロデンドロン」といっても、非常に多くの種類があり、形態や性質が大きく異なる。大きく分けて、つる性の種類、半つる性の茎がほふくする種類、つる性にならずに茎が直立する種類、の三系統がある。
2. つる性種の代表種は、通称「オキシ」こと、オキシカルジウムである。斑入り葉の「バリエガツム」や、葉がライム色の「ライム」などの品種がある。緑葉の種類は寒さに強く、0℃になっても大丈夫だが、斑入り葉の品種やライム葉の品種は耐寒性が劣る。吊り鉢仕立てにしたり、ヘゴ棒を立てて這わせるのが一般的。
3. その他のつる性種には、妙にくびれの多い葉を持つセンニンカズラや、葉に深い切れ込みが入るヤッコカズラの他、「ピンク・プリンセス」「ペインテッド・レディ」「マレー・ビューティー」「レモン・ライム」などがある。これらは、最初は茎が立ち上がるが、生長につれて、つる状に伸びる。いずれも寒さに弱い。
4. ほふく性種には、ホテイカズラがある。葉柄がやや膨らんでおり、何となくホテイアオイに似ている。(ホテイアオイを縦に引き伸ばしたような形。)これも寒さに弱い。
5. 立性種には、セロウムと、それを小型化したような姿のクッカバラがある。両種とも丈夫で育てやすい。直射日光にも耐える。
6. セロウムは、この仲間で最も耐寒性が強く、暖地なら、霜除けすれば戸外で越冬できる。木質化した茎が1m以上に立ち上がって、途中から太い気根を垂らし、ヤツデのような大きな葉を四方に広げる、野性味あふれる植物である。耐陰性は強いが、葉が垂れ下がるので、よく日光に当てる。ミニ観葉でもよく見かけるが、買う前に、大型種であることを考慮する。室内に飾るのならクッカバラの方が向く。

注意点・病害虫

1. この仲間は、茎の途中から気根が発生しやすい。邪魔なら、気根が土や支柱に到達する前に切り取る。
2. ハダニやカイガラムシに注意。

各種の和名・異名

1. ビロードカズラ(アンドレアヌム)
2. アカインベ/ハゴロモカズラ(いずれもインベ)
3. クロインベ(インベ「ブラッキー」)
4. ボウカズラ(ウェンドランディー)
5. サトイモカズラ/アカインベ/レッドリーフフィロデンドロン/ブラッシングフィロデンドロン(いずれもエルベッセンス)
6. ソディロイ/シロガネカズラ(いずれもオルナツム)
7. ハネカズラ(グッティフィルム)
8. ハートリーフ(コーダツム)
9. サジッタツム(サジッティフォリウムの異名)
10. クッカバラ/オージー/ウィンターボーンフィロデンドロン(いずれもザナドゥ)
11. ピッチェリ(スカンデンス亜種スカンデンス品種スカンデンスの異名)
12. ハスタツム(異名)/エレファンツイヤー/スペードリーフ(いずれもドメスティクム)
13. セロウム(異名)/セローム/ヒトデカズラ/パンドラ/ツリーフィロデンドロン/レーシーツリーフィロデンドロン(いずれもビピンナティフィドゥム)
14. パンデュリフォルメ(異名)/パンドラ/センニンカズラ(いずれもビペンニフォリウム)
15. ラシニアツム(異名)/ヤッコカズラ(いずれもペダツム)
16. ヘデラセウム/スカンデンス亜種オキシカルディウム(いずれも異名)/オキシ/オキシカルディウム/オキシカルジューム/ヒメカズラ/ハートリーフ/ハートリーフフィロデンドロン(いずれもヘデラセウム変種オキシカルディウム)
17. キャニフォリウム(異名)/ホテイカズラ(いずれもマルティアヌム)
18. アンドレアヌム(異名)/ビロードカズラ(いずれもメラノクリスム)
19. トサカカズラ(ラディアツム)
20. アカヤッコカズラ(「フロリダ」)