いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育て る-

園芸知識:株分け・分球

概要

  1. 植物を殖やすには、様々な方法が確立されている。まず第一に「タネまき」があり、「挿し木」「挿し芽」「根挿し」「根伏せ」「葉挿し」、それに、「接ぎ木」「取り木」などが思いつくが、それ以外の方法として、「株分け」「分球」「ムカゴ採取」も挙げられる。
  2. なお、「株分け」「分球」「ムカゴ採取」といった方法は、主に、草本や球根植物で可能な方法で、それ以外の植物にはあまり使われない。せいぜい、一部の灌木が株分けできる程度。
  3. タネまきについては、「タネまき・育苗」のページに載せてある。「挿し木」「挿し芽」「根挿し」「根伏せ」「葉挿し」は、「挿し木・根伏せ」のページを、「接ぎ木」は「接ぎ木」ページを、「取り木」は「取り木」ページを参照。
  4. その他、「生長点培養(メリクロン)」という増殖方法もある。が、これは、どちらかというとバイオテクノロジーの範疇で、家庭園芸を逸脱していると思われるため、取り上げていない。ただし、必要な器具さえ揃えば一般家庭でも可能。

株分けについて

  1. 株分けは、文字通り、一つの株を複数に分割する繁殖方法である。増殖目的だけでなく、老化気味の株を若返らせる目的でも行われる。どんな植物でも可能なわけではなく、「株立ち(地面から多くの茎が密生した状態)」になる植物や、地下茎で広がる植物、根元から子株を出す植物などに限られる。
  2. 株分けが可能なのは、十分に成熟した大きな成株のみ。枝数や芽数の少ない幼苗は株分できない。
  3. 作業する時期は、だいたい植え替えと同時期である。概ね、2~4月か10~12月に行うことが多い。植物にとっては大手術で体力を消耗するので、休眠期間中~生育開始直後に行うのが最適で、真冬の厳寒期に行うのはよくない。なお、明確な休眠期を持たない温帯性の常緑樹は5~6月、熱帯性の植物は5~7月に行う。
  4. 休眠期に地上部が枯れる宿根草類の株分けは、「地下の芽しか無い」という意味で、「芽分け」と呼ぶこともある。
  5. 実際の作業の基本は以下の通り。地植えを念頭に置いて書いてあるが、鉢植えでも要領は同じ。あらかじめ地上部を束ねて縛っておくと作業がしやすい。
    1. なるべく根を切らないよう、株全体を、周辺の土ごと大きく掘り上げ、根に付いた土を適当に落とす。このとき、根を、可能な限り長く、本数多く残すようにする。枯れ葉や腐った根などがあれば、取れる範囲で取り除く。
    2. 植物によっては、掘り上げ時に、自然と数株に分かれる。分かれなければ、鋭利なナイフやハサミを根元に入れ、人為的に切り分ける。手で引き裂いてもよい。また、地下茎が長く伸び、節々に芽がある植物は、それぞれに芽が残るよう注意しながら、ぶつ切りにする。根の無い株を作らないよう注意。
    3. あまり細かく分けると、その後の生育が悪くなるので欲張らない。普通は2~3本の茎(または芽)を一組とする。また、傷口に園芸用殺菌剤を塗っておけば腐敗の危険が減る。
    4. 地上部に葉が茂っている場合は、残った根の量に応じて葉数を減らさないと、萎れる原因になる。葉が細長い植物なら、1/2~1/3ほどに切りつめる。なお、根がたくさんあれば、葉を減らす必要はない。
    5. 根が乾かないうちに、分けた株を植え付ける。その後はたっぷり水やりし、強い直射日光や強風を避ける。根が少ないので、水切れさせないよう注意。まめに葉に霧吹きをし、保湿に努めるとよい。植物が生育を再開したら、通常の管理に戻す。
    6. 作業を秋~冬に行った場合は、分けた株をビニールポットなどに仮植えして養生させ、春を待って定植したほうが成功率が高い。なお、元々植わっていた土に再度植え付けると、「嫌地(長年植わり続けて劣化した土を嫌い、生育が悪くなること)」を起こす危険があるので、やめたほうがよい。どうしても元の場所に植えたければ、土を入れ替える。
  6. 地植えの超特大株などは、全て掘り上げるのが大変なので、分けたい部分だけを掘り起こし、刃物で切断するとよい。ナイフやハサミで切りにくければ、ナタやノコギリを用いる。
  7. 多肉植物を株分けした場合は、すぐに植え付けず、少なくとも1~3日、裸のまま置き、傷口を乾かしてから植え付けないと、腐敗することがある。植え付け後も、一週間ほど水やりを行わない。
  8. 株分けによる傷口の殺菌は、必須ではないが、腐敗防止のためには行ったほうが安全。園芸用殺菌剤がなければ、木炭の粉末や、灰、硫黄の粉末などで代用できる。
  9. 株分けにより、根の無いい子株ができてしまった場合、挿し木の要領で清潔な土に挿しておくと、発根することがある。傷口に発根促進剤を塗っておけば、より確実。キク科植物などは発根しやすい。

分球・ムカゴ採取

  1. 球根植物の多くは、親球の隣に新しい子球を作って増殖する。この子球を外して独立させるのも、株分けの一種といえる。ただし普通は「株分け」とはいわず、「分球」という。
  2. 球根植物の全てが分球できるわけではない。シクラメンのように、一つの球根がひたすら肥大し、子球ができないものもある。が、これは少数派で、大部分の球根植物は、子球を生じる。
  3. 分球作業の適期は、通常、球根の植え付けと同時か、掘り上げ直後である。植え付け時に行ったほうが安全だが、掘り上げ直後に行う場合は、古い根と土をきれいに落とし、日陰で陰干しして、全体が乾いてからにする。ただし、乾燥貯蔵を嫌う種類は陰干しせず、すぐに分割する。
  4. 作業の手順は、スイセンやチューリップのように、親球と子球が外れやすいものなら、手で子球を取り外すだけ。貧弱な子球は親球とは別に植え付け、数年間肥培すれば、親球と同等の球根に育つ。
  5. ダリアやラナンキュラスのように、親球と子球の区別がなく、ひとかたまりになって殖えるものや、カンナやジンジャーのように、太い地下茎が伸びて芽数が殖えていくものは、刃物を使って人為的に切り分ける。このとき、必ず新芽を付けながら分割する。芽の無い球根は、植え付けても発芽せずに腐る。
  6. 球根の分割後は、傷口の腐敗を防ぐため、殺菌剤の粉末(または木炭、灰、硫黄などの粉末)を塗るか、球根全体を水で溶いた殺菌剤に浸し、消毒したほうが安全。
  7. グラジオラスやフリージアのように、親球から小さな木子(ムカゴ)が発生するものは、この木子を外して浅めに植え付け、数年間肥培する。また、オニユリやシュウカイドウのように、茎の節々にムカゴが発生するものも、同様に肥培すれば、立派な球根に育つ。木子やムカゴは子球と同様に扱える。
  8. カラジウムやチューベローズのように、植え付け後、一つの球根から複数の芽が出るものは、よい花を咲かせるために、大きな芽を一つだけ残して、他は全てかき取るのが普通である。しかし、たくさん出た芽を、かき取らずにそのまま育てると、それぞれの芽の基部に子球ができることがあり、殖やすのに都合がよい。(この場合、花はあきらめたほうがよい。)なお、一つの球根から一つの芽しか出なかったら、その芽を根元からかき取れば、周囲に隠れている小さな芽が動き出し、たくさん発芽する。ただし、芽が出ずに枯れることもあるので無理をしない。)

人為的に分球させる

  1. 球根植物は、地下の球根が充実すれば、毎年数が殖えていく。が、種類によっては、数年に一度しか殖えないものがある。アマリリスやヒアシンス、ユリなどがそうで、これらは人為的に球根を傷付ければ、早く子球を得られる。
  2. ヒアシンスは、球根が葉を枯らして休眠している間に、スクーピングやノッチングを行うことができる。(通常、7月に行うらしい。)手順は下記。なお、「発根部」とは別名「短縮茎」または「デスク」といい、球根の底面にある、丸い板状の部分である。ここの外縁部分から根が出る。
    • スクーピング
      1. よく充実した大きな球根を選んだら、汚い外皮をむき、残った茎葉や根を切り落とす。次いで、殺菌剤に漬けて消毒し、よく乾かす。
      2. 発根部を上に向け、ナイフなどを使い、発根部の中心部分を、丸く大きくえぐり取る。発根部と隣接する鱗片の基部を全てえぐり取らなければならないので、えぐる深さは、球根の高さの1/3~1/2くらい必要。
      3. 球根を逆さにして日陰に置き、傷口を乾かしたら、乾いた無菌の用土(赤玉土小粒やピートモス、パーライトとバーミキュライトの等量混合土など)に、球根の上部が見える程度の浅植えにして、植え付け適期を待つ。待っている間に、傷口から子球が発生する。
      4. 植え付け適期がきたら、徐々に水やりを開始し、そのまま普通に育てる。なお、中心部分を傷付けられているので、花は期待できない。
      5. 休眠期に入ったら球根を掘り上げ、傷口から発生した子球を取り外し、次回植え付け時から独立させる。
    • ノッチング
      1. スクーピングと同様に、よい球根を選び、掃除・消毒する。
      2. 球根が乾いたら、発根部を上に向け、刃物で十字型に大きく切り込みを入れる。切り込みの深さは、球根の深さの1/2~2/3程度。力を入れすぎて球根を完全に四等分しないよう注意。
      3. 以降は、スクーピングと全く同じ。
  3. アマリリスは、カッティングやツイン・スケーリング(鱗片挿し)で殖やせる。また、ユリは、ツイン・スケーリング(鱗片挿し)が可能。これらの作業は、上記のスクーピングやノッチングとは作業時期が違い、球根の生育期間中に行う。(アマリリスは6~7月、ユリは7~9月頃。)手順は下記。
    • カッティング
      1. スクーピングやノッチングと同様、よい球根を選び、掃除・消毒する。
      2. 球根を、刃物で縦に8~16等分する。このとき、分割後の球根に、必ず発根部が残るようにする。欲張って細かく分けすぎるのは良くない。
      3. 分割が終わったらすぐ、無菌の清潔な用土に浅めに挿す。挿す深さは、球根の下部1~2cmが埋まる程度。球根の上下を間違えないよう注意。挿し終わったら清潔な水を静かに与える。
      4. 挿し床を新聞紙または寒冷紗で覆い、直射日光や雨の当たらない、涼しい場所で管理する。用土が乾いたら水やりし、球根の表面が緑色になってきたら覆いを取り除く。
      5. 子球が発生し、葉が見えてきたら、通常の管理に戻す。次回の植え付け時から子球を独立させる。
    • ツイン・スケーリング(鱗片挿し)
      • アマリリスの場合
        1. カッティングと同様、よい球根を選び、掃除・消毒する。
        2. 球根を刃物で8~16等分し、さらに、鱗片を二枚一組として剥がしていく。このとき、必ず発根部を付けながら剥がす。
        3. 剥がした鱗片を清潔な用土に挿し、カッティングの場合と同様の管理を行う。やがて、二枚の鱗片の間から子球が発生する。
      • ユリの場合
        • アマリリスの場合と同様、よい球根を選び、掃除・消毒する。
        • 球根の表面の鱗片を、外側から丁寧に取り外し、すぐに、清潔な用土に挿す。挿す深さは、鱗片の下半分が埋まる程度。
        • カッティングの場合と同様の管理を行えば、傷口から子球が発生するので、そのまま育てる。