ジャンル別索引:ハーブ
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※ 植物名リストの下方に、このジャンルに関する解説文があります。
植物名リスト
このジャンルについて
概要
- ここにあるのは、薬草、香草、ポプリ、染料などに利用できる有用植物である。食用が目的のその他の草本は「野菜・穀類」の一覧へ。また、果実を利用する木本は「果樹」の一覧へ。
- 「ハーブ」というジャンルは、あくまでも、人間から見た利用価値を基準にした分類である。そのため、植物としての形態は、一年草、二年草、多年草、球根植物、落葉樹、常緑樹など、多岐に渡る。自生地はもちろん、耐寒性や耐暑性もさまざま。
- このサイト内の解説は全て、鉢植えを前提にしている。ハーブ類は地植えにしたほうが大きく育ち、収穫量も多いが、高温多湿に弱い種類が多く、梅雨~真夏を無事にしのげるかが大きな問題となる。従って、鉢植えにしたほうが扱いやすい。
- ハーブ類は、どちらかというと、あまり品種改良がされておらず、野性的な性質を残すものが多い。そのため基本的に丈夫で、肥料もあまり必要としない傾向がある。
- コリアンダーやマーシュ、ロケットなど、一年草・二年草タイプのハーブは、タネから育てたほうが、たくさん収穫できて経済的である。少しだけ収穫したい場合や、タネまきに自信がない場合は、苗を買って育てる。
- 「ハーブ」と呼ばれる植物の中には、毒性のあるものも多数含まれる。ジギタリス(フォックスグローブ)やチョウセンアサガオ(曼荼羅華)、ブルーム(エニシダ)などがよい例で、これらは危険な毒草であると同時に薬草でもあるため、ハーブに分類されることがある。(まさに「毒と薬は紙一重」である。)また、カモミールやセージのように、少量では問題なくても、多量に摂取すると体によくないものや、アロエなど、妊婦や特定の疾病患者に対して有害なハーブもある。さらに、ラムズイヤーやルーのように、そもそも食用ではないハーブもある。言葉や雰囲気に踊らされず、どのハーブにどのような効果があるのか、よく調べてから利用する習慣を身に着けたい。
入手~植え付け
- 多年草や半低木~木本のハーブは、タネから育てると、株によって香りや風味に良し悪しが出るので、市販の苗から始めたほうがよい。なお、ミントなら「ペパーミント」、ラベンダーなら「ヒッドコート」というように、特定の品種にこだわる場合は、必ず、挿し木苗か株分け苗から育てる。その他、カレープラントやレモングラスのように、タネの入手が極めて難しい植物も、苗から始める。
- 香草類の苗を買うときは、葉を軽くつまみ、香りを確かめるとよい。
- 入荷後、時間の経った苗は、大勢の人に葉を触られ、傷んでいることがよくある。購入時はわからなくても、数日後に葉が枯れ込んだりするので注意が必要。
- 基本的に、寒さに弱いハーブは春、暑さに弱いハーブは秋に入手し、すぐに植え付けるのがよい。
- セリ科植物など、直根性(一本の太根が長く伸び、細根が少ない性質)のハーブは移植を嫌うので、根に付いた土を崩さないよう注意して植える。
日頃の管理
- 多くのハーブ類は日光を好むので、必ず日なたで栽培する。夏の間だけは、日光が強すぎるので遮光するとよい。室内で育てたりすると日光が不足するので、モヤシのように軟弱になってしまう。
- 例外的に、チャービルやパセリなど、弱光で育てたほうが軟らかい葉が収穫できるものは、室内栽培でも作れる。いつでも葉を摘み取れるよう、台所の明るい窓辺などで育てるとよい。
- 水やりは、土の表面が白く乾いてから行うのが大原則。ハーブ類は、ほとんど野草なので、土の乾燥には強い傾向がある。反面、過湿に弱いので、常に乾き気味の管理を心がけたほう失敗が少ない。栽培に慣れていない人ほど、水切れを恐れるあまり過湿にしてしまい、それが原因で枯らすことが多いものである。
- 地植えで育てている株は、よほどの干ばつでも来ない限り、水やりの必要はない。ただし、湿地を好むハーブ(例、マーシュマロウなど)は例外。
- ハーブ類の大部分は酸性の土を嫌い、石灰分を好む。年に一度は、土に苦土石灰をすき込むとよい。
- 既に述べたように、ハーブ類は野生的な性質が強く、あまり多くの肥料を必要としない。施肥の量や頻度は、他の草花類より少なめにするのが基本である。
- ただし、収穫を行うと株がダメージを受けるので、作業の直後に、2,000倍ほどに薄めた液肥を与えるとよい。そうすれば、株の体力が早く回復する。
耐暑性・耐寒性
- 多くのハーブ類は、ヨーロッパや地中海沿岸など、夏が比較的冷涼で乾燥する地域に自生する。しかし、日本の夏は、一部の地域を除き、きわめて高温多湿である。そのため、ハーブ類の栽培では、夏越しが大きな問題となる。
- 高温多湿に弱いハーブは、夏越しの成功率を少しでも高めるため、梅雨入り前に、必ず枝透かし(切り戻し)を行う。枝が込み入った部分を優先的に透かし、通風を図るように心がける。ただし、あまり強く切り詰めると、かえって株が弱るので注意。
- 温暖地では、いつ枯れるかわからないので、5~6月か9~10月に挿し木を行い、予備の小苗を常に用意しておくとよい。どちらかというと、秋に挿したほうが、よい苗ができる。
- 年老いた古株ほど夏越しに失敗しやすいので、2~3年おきに挿し木や株分けなどを行い、株を若返らせる。
- 大切なハーブは鉢植えにし、梅雨や秋の長雨に当てないように栽培すれば、枯らすリスクが少しは減る。
- 全てのハーブが高温多湿に弱いわけではない。ステビアや中南米原産のセージ類、バジル、レモングラス、レモンバーベナなどは、熱帯~亜熱帯地域に自生しており、暑さに強い。ただ、これらのハーブは、耐暑性があるかわりに耐寒性がないので、冬は霜除けしたり、室内に入れるなどして保護する。
- ヨーロッパや地中海沿岸地域に自生するハーブ類は、比較的耐寒性が強く、戸外で越冬できる。ただし、極寒地では危険なので、室内に入れる。
収穫について
- オレガノやタイムなど、茎葉を利用するハーブは、いつでも好きなときに収穫できるが、最適期は、植物内の有効成分が最も多くなる、開花直前~開花初期である。ただし、マーシュやロケットなど、一年草の葉菜類は、花茎が出る前に収穫を終えなければならない。
- 花や果実を利用するハーブは、花が咲いたり、果実が熟せば、その都度摘み採って収穫する。根を利用するハーブは、休眠期に入る晩秋に根を掘り上げる。
- 葉を収穫する際は、なるべく、下葉(または外側の葉)から順にかき取る。軟らかい新芽を収穫する場合は、全ての芽を摘み取ると株が弱るので、いくつか残しておく。
- どの部位を収穫するにせよ、実際の作業は、早朝~午前中に行うのが望ましい。
- 収穫したハーブを乾燥保存する場合は、ザルなどに広げ、冷房や暖房の風に直接当てると、手早く乾かすことができる。暗い場所で乾燥させると、色もきれいに仕上がる。なお、乾燥させると香りや風味が失われるハーブは、収穫したらすぐに冷凍保存するか、オイル(油)、ビネガー(酢)、ワイン、砂糖などの中に漬け込むとよい。