ラベンダー
イメージ
原産地
地中海沿岸・北アフリカ・西アジア・カナリー諸島
科
シソ科
高さ
20~120cm
花期
【イングリッシュ系】6~8月
【ラバンディン系】7~8月
【フレンチ系】4~5月
【レース系】周年
形態
常緑小低木
収穫期
4~10月
別名等
ラバンデュラ(属名)/ラベンデルソウ/ヒロハラワンデル
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
戸外の直射日光下(7月中旬~9月上旬は50%遮光)。
【補足】デンタータとレース系のみ、越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。
水やり
土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。
【補足】多湿をとても嫌うので、雨に当てない。
肥料
4~5月と、10月に、固形肥料の置き肥(多肥にしない)。
【レース系】4~6月と、9~10月に、二週間に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。
植え替え
3月下旬~5月上旬か、9月下旬~10月下旬。
【補足】地植え株の移植は難しい。
整姿
花が一段落したら、全体を2/3~1/3程度に切り戻し、株姿を整える。(このとき、各枝に葉を残しながら切らないと、枝枯れしやすい。)
強剪定したい場合は、下記の時期に行う。(高温期に強剪定すると、そのまま枯れることが多い。)
【イングリッシュ系、ラバンディン系】2月下旬~3月上旬。
【フレンチ系(デンタータ除く)】10月下旬~11月上旬。
【デンタタ、レース系】9月下旬~10月上旬(あまり強剪定の必要はない)。
繁殖
【挿し木】4月下旬~6月下旬か、9月中旬~10月中旬(発根は遅めで、1ヵ月ほどかかる)。
【株分け】植え替えと同時期。
【タネまき】3月下旬~5月上旬か、9月中旬~10月下旬。(タネを湿ったティッシュなどに包んで密封し、一~二週間冷蔵庫に入れる「冷蔵処理」をしてからまくと、発芽率がよくなる。)
耐暑性
わりと強いが、蒸れに注意。
【イングリッシュ系】とても弱い。
耐寒性
【イングリッシュ系】強い(-20℃)。
【ラバンディン系】わりと強い(-10℃)が、極寒地では室内へ。
【フレンチ系(デンタータ除く)】やや弱く(-5℃)、寒地では室内へ。
【デンタータ、レース系】最低0℃を保つ。
解説
- ハーブの女王としてあまりにも有名。種類が多く、複数の系統に分かれており、育て方や性質が異なる。一部、斑入り葉の品種もある。
- 大きく分けて、下記の四系統がある。育てる地域によって適した品種を選べば、栽培自体は難しくない。
- イングリッシュ系…イングリッシュラベンダー、スパイクラベンダーなど。
- イングリッシュラベンダーは、最も香りの優れる、ラベンダーの代表格である。寒地向きの系統で、日本では、北海道が主要産地である。暖地で育てたい場合は、土の水はけと通風、夏の遮光に細心の注意を払い、1~2年おきに、挿し木で株を更新する。「ナナ」「ヒドコート」「ムンステッド」などの品種がある。白花種もある。花期は6~7月。
- スパイクラベンダーは、イングリッシュラベンダーに近い原種である。あまり市販されていないが、比較的耐暑性があり、よく交配親に使われる。花茎が三又になるのが特徴。花期は6~8月。
- ラバンディン系…イングリッシュ系を中心に改良された人工交配種。
- イングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの流れをくむ交配種で、耐暑性があり、かなり大株に育つのが特徴。香りも悪くない。「スーパーセビリアンブルー」「グロッソ」などが代表種。花期は7~8月。
- フレンチ系(ストエカス系)…ストエカス、ビリディス、デンタータ、スイートラベンダーなど。
- ストエカスは、花穂の上に、ウサギの耳のような大きな苞が付いているのが特徴。主に観賞用で、茎葉の香りが樟脳に似る。品種は「マーシュウッド」などが知られる。白花種もある。花期は4~5月。
- ビリディスは、株姿がストエカスに似るが、花色は白で、苞が緑色なのが特徴。葉の色も、他の系統に比べると、かなり明るい黄緑色をしている。芳香はフレンチ系と異なり、カンキツ系の香りがする。やや寒さに弱い。花期は4~5月。
- デンタータも、花の上に苞が付いているが、上記の二種類ほど目立たない。葉の縁に細かい鋸歯(ギザギザ)があるのが特徴。やや寒さに弱い。花期は4~5月だが、四季咲き性があり、秋~初冬にも開花する。
- スイートラベンダーは、イングリッシュラベンダーとデンタータの交雑種。また、アラルディーは、スパイクラベンダーとデンタータの交雑種。いずれも、株姿、性質ともに、両者のちょうど中間。四季咲き。
- レース系(プテロストエカス系)…カナリエンシス、ピンナタ(ピナータ)、ムルチフィダなど。
- カナリエンシス、ピンナタ(ピナータ)、ムルチフィダは、カナリー諸島原産で、葉が鳥の羽のように切れこんでいるため、ひとまとめにして「レースラベンダー」と呼ばれる。香りはあまりよくないが、四季咲き性で、ほぼ一年中咲くので、観賞用によい。やや寒さに弱い。なお、葉の切れ込み具合は、ムルチフィダが一番細かい。
- イングリッシュ系…イングリッシュラベンダー、スパイクラベンダーなど。
注意点・病害虫
- 秋にもつぼみが出ることがあるが、これは咲かせずに切り取ったほうがよい。ただし、デンタタやレース系などの四季咲き種は例外。
- タネまきはやや難しいので、市販の苗から始めたほうが楽。どうしてもタネから始める場合は、上記のように冷蔵処理をしてからまかないと発芽率が悪い。なお、発芽後の初期生育は遅い。
- 弱アルカリ性の土を好む。
- ハダニに注意。レース系は特に被害を受けやすい。
収穫・利用
- ラベンダーの精油は全草に含まれるが、普通は花だけを利用する。精油には、鎮静作用や虫除け効果などがある。ハーブピローやポプリなどに最適。
- ハーブティーや料理の香り付けに使うのは、イングリッシュ系だけにする。他の系統は口にしないほうがよい。
各種の和名・異名
- ヘテロフィラ(異名)/スイートラベンダー/ジャイアントラベンダー(いずれもアラルディー)
- スピカ(異名)/イングリッシュラベンダー/コモンラベンダー/トゥルーラベンダー/真性ラベンダー(いずれもアングスティフォリア)
- ラバンディン(インターメディア)(※人工交配種)
- グロッソ(インターメディア「グロッソ」)
- カナリーラベンダー/レースラベンダー(いずれもカナリエンシス)
- ストエカス(異名)/フレンチラベンダー/ストエカスラベンダー(いずれもストエカス亜種ストエカス)
- ペダンクラタ(異名)/スパニッシュラベンダー(いずれもストエカス亜種ペダンクラタ)
- ストエカス品種レウカンサ(ストエカス「アルバ」の異名)
- デンタータラベンダー/フリンジドラベンダー/フレンチラベンダー/キレハラベンダー(いずれもデンタータ)
- ピナータラベンダー/レースラベンダー/タイリンレースラベンダー(いずれもピンナタ)
- グリーンラベンダー/イエローフラワーラベンダー(いずれもビリディス)
- レースラベンダー/カットリーブドラベンダー(いずれもムルチフィダ)
- スピカ(誤った名)/スパイクラベンダー/ヒロハラベンダー(いずれもラティフォリア)
(※データ:大阪市基準)