いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育て る-

園芸知識:切り戻し・剪定

概要

  1. 植物を放任していると、どんどん枝や茎が伸び、茂りすぎて形が崩れ、見苦しくなる。そればかりか、人間の生活の邪魔になったり、日当たりが悪くなって病害虫を受けやすくなる。そうしたな事態を防ぐために必要なのが、切り戻しや剪定の作業である。これにより、美しい姿を維持し、病虫害を抑え、花付き・実付きをよくすることもできる。
  2. 「剪定」とは、木本の枝を切って形を整える作業をいう。「整枝」ともいうが、そちらは樹形を整える作業全般を指す言葉でもあり、やや意味が広い。なお、剪定や整枝という言葉は、基本的に、木本だけに使われる言葉である。(草を剪定する、とは言わない。)
  3. 「切り戻し」は「切り戻し剪定」ともいい、枝を付け根から切り落とすのではなく、途中まで切り詰めて短くする作業である。切り戻しの目的は、姿を整えるだけでなく、新芽を出させて株の若返りを計ったり、分枝を促したりする点にもある。この言葉は剪定・整枝とは異なり、木本と草本、両方に対して使われる。
  4. やや余談になるが、枝・茎の先端部分(生長点)を人為的に摘み取り、分枝を促す作業を「摘芯」という。いちおう、株の姿を整える作業ではあるが、ハサミを使うわけでもなく(人によっては使う)、切り戻しや剪定とは意味合いが少し異なる。
  5. 長く伸びた枝や茎を、極端に短く切り縮めることを「強剪定」「強い切り戻し」などという。これらの作業は、成株の形を整えたり、若い芽を出させるために行うものであり、小さな苗に行ってはいけない。小さな苗は、枝や茎・葉を強く切られると、ショックで枯れることがある。
  6. しかし、生育旺盛な植物では、幼苗だからといって剪定や切り戻しを行わずにいると、株が暴れ放題になり、後で困る。従って、枝や茎の先端を軽く切る程度の、「弱剪定」「弱い切り戻し」を適宜行い、時間をかけて、少しずつ形を整えたい。幼い頃から伸び放題にさせていては、ろくな形に育たない。
  7. 木本・草本を問わず、植物は、地上部の一部を切り戻しや剪定で失うと、それに合わせて、地下の根の一部を自ら枯らす。(葉と根は、ある程度、対応関係が決まっており、ある葉が失われると、それに対応する根が傷む仕組みになっている。)植物は、地下の根から水を吸い、地上の葉から排出しているので、地下部と地上部のバランスが崩れると、体内の水分量も崩れて弱る。それを避けるため、自分で調整するわけである。
  8. 従って、強い切り戻し・剪定を一度に行うと、地下の根が吸い上げた水分を排出できず、植物が調子を崩す。これを避けながら強い切り戻し・剪定を行うには、一回で済まそうとせず、二年ほどかけて徐々に切るか、または、地上部を減らした分だけ、地下部も減らす。
  9. 地下部を減らす具体的な方法は、株の周りに数箇所スコップを差し込んで根を切断する「根切り」である。とはいえ、大きな庭木でもない限り、ほとんど不要。鉢植えの植物なら、植え替えと同時に切り戻し・剪定すれば、植え替えで根が傷つくので、意図的に根を傷付ける必要はない。
  10. 草本の切り戻し作業は、木本の時ほど注意を払う必要は無くで、わりと気軽に行える。強い切り戻しをしても、木本ほど簡単に枯れることは少ない。植物の種類にもよるが、下葉を一枚以上残して、節の3~5mmほど上で切れば、まず失敗しない。

作業の適期

  1. 庭木・花木・果樹などは、花芽のできる時期と部位が決まっており、剪定時期を間違えると、全く花が咲かなくなる。それ以外の植物は、春~秋の生育期間中に適宜、切り戻し・剪定を行えるものが多い。
  2. 切る時期が分からなければ、とりあえず、花が終わった直後か、花が一段落したときを狙って切る。この方法なら、植物の種類を問わず、失敗が少ない。
  3. ただし、真夏の酷暑期だけは、強い切り戻し・剪定を行わないほうがよい。枝葉を切られて失うと、少なからず植物の体力が削がれるので、夏越しに失敗することもありうる。
  4. 剪定の時期は、植物が休眠している最中~生育開始の直前が最適期である。従って、落葉樹なら12~2月、常緑樹なら3月、針葉樹なら3月・11~12月頃が目安。(もちろん例外あり。)初冬~早春にかけて行うため、「冬季剪定」「冬剪定」などと呼ぶ。なお、たとえ剪定適期であっても、開花中は剪定を行わなず、花が終わるまで待つ。(「花後剪定」という。)
  5. 樹木類において、春に伸びた新梢を切りたければ、種類を問わず、6月上旬~7月上旬頃に行う。(「夏季剪定」という。)この場合は生育期間の真っ最中なので、強剪定してはいけない。強行すると、幼木などは、ショックで枯れることがある。
  6. 適期を外して剪定すると、傷口から樹液が流れ出て、なかなか止まらず、弱ってしまう木があるので注意する。(例、カエデ、キウイ、ハナミズキ、ブドウなど。)これらの木は、晩秋~初冬に葉が全て落ちた後、年が明けるまでの間に剪定を済ませると安心。遅くとも1月中旬までに終わらせる。
  7. 植物の葉は、内部で合成した糖類を幹や枝の中に送っている。幹や枝は、葉から移動してきた糖類によって、毎年少しずつ太る。(落葉樹の場合は、秋になると葉と葉柄の間に離層ができて糖類の移動が妨げられ、紅葉・黄葉が起こる。)従って、秋、早めに剪定をすれば、その分、枝や幹へ移動する糖類の量が減るため、木の生長が少しだけ遅くなる。(ただし微々たるもの。)
  8. 落葉樹をあまり早い時期に剪定するのは好ましくないが、葉が紅葉・黄葉し始める直前から、少しずつ葉を減らしていくことは可能。秋の彼岸を過ぎた頃から、2ヵ月ほどかけて、木の様子を見ながら、徐々に剪定を行い、葉を減らしていく。強剪定したい部位があれば、落葉を待って行う。

花芽分化期について

  1. 花木や果樹類の場合、剪定の時期を間違うと、大切な花芽を切り捨ててしまう。樹木類は、花芽が分化する時期(花芽分化期=花芽のもとが作られる時期)と、花芽が分化する部位(着花習性=枝のどの部分に花芽が作られるか)が決まっている。従って、開花した後、次の花芽分化期が訪れる前に、花芽が作られる予定の枝が充実していなければ、翌年は花が咲かない。
  2. 樹木類は、春に伸びた新梢が夏~秋に充実して花芽を持つ、というパターンが一般的なので、花芽分化期は、6~8月頃が最も多い。余談になるが、この時期に水やりを控え、乾かし気味に管理すれば、花芽がたくさん付く。(いわゆる「土用干し」である。)ただし、暑い時期の水切れは、花芽どころか、枯死の危険があることを忘れてはならない。
  3. 次に、花芽が分化する部位だが、これは、樹種によって大きく異なる。例えば、春に伸びた新梢に花芽ができる木なら、「新梢の各節々にできる木」と「新梢の先端にできる木」がある。「新梢の各節々にできる木」は、初冬~早春に強剪定しても、花芽を全て切り捨てる心配が少ないが、「新梢の先端にできる木」は、強剪定すると、花芽が全て無くなってしまう。そのような木は、花後剪定に重点を置き、冬季剪定を最小限にとどめる。
  4. 四季咲き性の植物や、花期の長い植物は、「新しい枝が伸びたら、その枝に花芽分化し、すぐに咲く」ということを繰り返しており、剪定時に、花芽のことを心配をする必要はない。そのような植物は、ばっさり切っても、すぐ新しい枝が伸びて、また咲き始める。

作業時の注意

  1. いざ作業を始める前に、植物全体をよく観察し、ハチの巣などが無いか確認しておく。
  2. 切り戻しや剪定によって下葉が無くなる場合は、節の部分をよく観察する。小さな芽があれば、そのすぐ上で切る。芽のない節の上で切ると、芽吹かずに枯れ込むことがある。
  3. 植物によっては、一度花芽の出た節からは、二度と芽を吹かない。(例、ベゴニア類など。)そのような植物は、花の咲いた節の上で切っても新芽が出ないので、芽の残っている節を探し出し、その上で切る。なお、このような植物は、挿し穂を採取するときも、花の咲いたことのない節を選ばなければ、発根後も新芽を吹かず、やがて枯れる。
  4. 例えばウツギ類のように、茎や枝の内部が中空(空洞)になっている植物は、節と節の中間で切ると、切り口に水が溜まり、腐ることがあるので、必ず節のすぐ上で水平に切る。(この空洞は、節の部分で区切られており、節のすぐ上で切れば、水はほとんど溜まらない。)
  5. 接ぎ木された木を、切り戻し・剪定するときは、必ず、接ぎ木部分より上、数節を残して切る。もしも、(接ぎ木部分より下で切ると、接がれている品種を失ってしまう。
  6. 下葉が落ちて伸び上がり、見苦しくなった植物は、切り戻しや剪定を行い、節の部分から新しい腋芽を出させて仕立て直す。しかし、植物によっては、切り戻し・剪定によって葉が一枚もなくなると、芽を吹かずに枯れるものがある。そのような植物は、ハサミを入れる前に、伸び上がった茎を水平方向に誘引すると、頂芽(一番上にある芽)の生育が抑制され、下部にある古い節から腋芽が出ることがある。その腋芽が十分に育ったら、改めて、切り戻し・剪定をするとよい。一気に曲げると折れるので、何日もかけて少しずつ誘引する。
  7. また、別の方法として、本来剪定すべき枝を、傷付けて折り曲げ(完全に切断してはいけない)、先端を斜め下に向けておくと、折られた部分の少し手前や、下部にある古い節などから、新しい枝が発生することがある。新しい枝が十分大きくなったら、折り曲げた枝を切除する。この方法は、初夏~初秋にかけて行えるが、酷暑期に行うと、折り曲げた枝が萎れ、そのまま枯れることがある。
  8. 樹木類の剪定作業は、木の頂部付近から始め、徐々に下方へ降りていけば、イメージが掴みやすく、作業もやりやすい。
  9. 剪定すべき枝は、以下の通りである。「忌み枝」とも呼ぶ。
    • 重なり枝…一箇所から、複数の枝が平行に伸びたもの。不要な枝だけを付け根から切る。
    • からみ枝…他の枝にからみつくように伸びた枝。付け根から切る。
    • 枯れ枝…枯れた枝。枯れている部分を全て切る。
    • かんぬき枝…主幹の、ある箇所から左右対称に伸び、十字型を作る枝。不要な枝だけを付け根から切る。
    • 競争枝…主幹に対抗するように伸びた枝。放置すると主幹が二又になるので、付け根から切る。
    • 負け枝…既存の枝のうち、生長の勢いが、新梢より劣っている枝。付け根から切り、新梢を伸ばさせる。
    • 車枝…一箇所から、三本以上の枝が放射状・車輪状に伸びたもの。不要な枝だけを付け根から切る。(例、三本あれば真ん中を切る。)なお、ツツジ類のように、最初から車輪状に枝が出る木の場合は、樹形を乱さない限り、切る必要はない。
    • 交差枝…他の枝と交差した枝。不要な枝だけを付け根から切る。
    • 逆さ枝…枝の流れと逆方向(幹の方向)に向かって伸び、樹形を著しく乱す枝。付け根から切る。
    • 下がり枝(下向き枝、垂れ枝)…枝の流れに反し、下方に向かって伸びた枝。付け根から切る。
    • 台芽…接ぎ木された木の台木から伸びた枝。放置すると、接がれている木が枯れることがあるので、見つけ次第、付け根から切る。
    • 立ち枝…まっすぐ立ち上がって伸び、著しく樹形を乱す枝。付け根から切る。
    • 突き枝…樹冠(枝葉をひとかたまりとして見た言い方)から飛び出し、著しく樹形を乱す枝。飛び出した部分だけを切るか、付け根から切る。
    • 胴吹き枝(幹吹き枝)…太い主幹の途中から伸びた枝。付け根から切る。
    • 徒長枝…生育期間中、特に勢いよく伸びる枝。真上に伸び、樹形を著しく乱すことが多い。先端を摘芯して伸びを抑えるか、付け根から切る。
    • とも枝…二又になった枝。不要な方を切る。
    • ひこばえ…地際や地中から伸びた枝。見つけ次第、付け根から切る。なお、ツツジ類のように、株立ち(株元から細い枝をたくさん出し、ヤブ状に茂る性質)になる木の場合は、樹形を乱さない限り、切る必要はない。
    • ふところ枝…太い枝の基部付近から伸びた枝。病害虫の温床になりやすいので、付け根から切る。
    • 平行枝…複数の枝が平行に伸びたもの。不要な枝だけを付け根から切る。
    • ヤゴ…幹から多数伸びた、細い枝。見つけ次第、付け根から切る。
    • その他…勢いのない細く弱い枝、老化して葉や芽の少ない枝、病虫害を受けた枝なども、付け根から切る。
  10. 上記以外に、「間引き剪定」も重要である。やたらと密生して混み合っている枝は、内部の日当たり・風通しが悪くなり、病虫害が発生しやすい。そのような枝は、不要な枝だけを付け根から間引き、日照・通風を確保する。「枝透かし」「枝抜き」ともいう。蒸れに弱い植物は、梅雨入り前に枝透かし剪定をしておかないと、夏越しに失敗することがある。
  11. なお、忌み枝だからといって杓子定規に切り捨てるのではなく、木全体のバランスを見て、あったほうが格好良さそうな枝は残しておく柔軟さも必要。
  12. また、なぜ忌み枝が出たのか、ということにも着目したい。例えば、胴吹き枝やひこばえは、上部にある枝葉、または根が弱るなどして、木が危機感を感じ、若返りを図ろうとして出すものである。樹木類は基本的に、不要な枝は出さない。日頃の管理に問題がなかったか、今一度基本に立ち返って考えたい。
  13. いざ枝を切るときは、残す芽の方向に注意する。極端に上向きの芽を残して切ると、立ち枝や徒長枝が発生し、再度剪定する羽目になる。かといって下向きの芽を残して切ると、下がり枝や貧弱な枝が出て、やはり再度剪定しなければならなくなる。斜め上を向いた芽を残すのがセオリー。
  14. 落葉期(葉の無い時期)の落葉樹なら、芽を見れば方向が分かるが、着葉期(葉が付いている時期)の落葉樹と、常緑樹の場合は、葉の方向を参考にする。芽は、葉の付け根に隠れているからである。
  15. 芽を残して切る際は、芽の先端の3mmほど上で切るのが原則。極端にギリギリの場所で切ると、残した芽が枯れてしまうことがある。また、水平に切る場合は問題無いが、斜めに切る場合、角度は30°~45°程度とし、切り口が、残す芽の高さまでかからないよう注意する。(切り口が芽の高さにかかると、残した芽が枯れる。)
  16. 上記のように、芽の先端のすぐ上で剪定すれば、残した芽が上方に伸びて、新しい枝ができる。あまり上方向に伸ばしたくない場合は、芽の先端の数cm上で剪定すると、新しい枝が、やや横方向に伸び出すらしい。
  17. 細い枝を付け根から切る場合は、付け根を中途半端に残したりせず、最初からその枝が無かったかのように、ばっさりと切る。付け根が残ると再び芽が伸びたり、見苦しいコブ状になったり、幹まで枯れ込んだりする。ただ、直径5cmを超えるような太い枝の場合は、付け根部分の隆起(「ブランチカラー」という)を残しておいた方が、傷口の癒合が早い。
  18. 枝全体を切除するのではなく、短く切り戻したいだけなら、なるべく、葉を1枚以上残して切る。多くの木は、剪定によって葉の無い枝ができると、そのまま枯れ込みやすい。(ただし、落葉樹を冬に剪定する場合は除く。)アオキやツツジ・サツキ類のように、葉が一枚もない枝からも芽吹く樹木もあるが、あまり甘えない方が無難。特に針葉樹は、葉の無い枝から芽吹くことが、ほとんど無い。

強剪定する時は

  1. かなり太い枝を付け根から切りたい場合、上からノコギリを入れ、一気に切ろうとすると、枝の重みで幹まで大きく裂けることがあるので、いったん枝の途中で切る。手順は下記の通り。
    1. 切りたい枝の付け根から10cmくらいの部分に、下からノコギリを入れ、枝の太さの1/3くらいまで、切り込みを入れる。
    2. 切り込みを入れた部分より、数cm枝先寄りの部分に、上からノコギリを入れ、そのまま切り落とす。
    3. 枝が短くなったら、改めて、切りたい部分にノコギリを入れれば、きれいに切れる。
  2. それほど太い枝でなくとも、手で支えないと切りにくい程度の太さなら、一回で全部切ろうとしない方が無難。まず切りやすい形に切った後で、改めて切り口をきれいに整えればよい。
  3. 大きく育った木をどうしても小さくしたければ、主幹を切ることもやむを得ない。その場合は必ず、「幹の太さの1/3以上の太さがある、元気な枝」のすぐ上で切る。刃物の入れ方は、「残す太枝に対して平行」である。間違って、地面に対して平行に切ると、傷口の癒合が遅れて腐朽菌が入り、幹まで腐ってくることがあるらしい。
  4. ケヤキなどでは、株立ち樹形に仕立てる目的で、幹を地際で切断し、切り株状態にすることがある。しばらくすると、切り株からひこばえがたくさん発生するので、良いものを数本残して、他を切り除く。このとき、地面に近い位置にあるものを優先して残すと、株元が安定して良い樹形になる上、切り株部分の腐朽ダメージも最小限にとどめることができる。

作業後のケア

  1. 木の種類によっては、切り戻しや剪定による傷ができると、そこから病原菌が侵入し、枯れ込む。(例、カナメモチ、サクラ、シャラ、シラカバなど。なお、「サクラ切るバカ」は、このことから生まれた言葉。)そのような木は、直径1cm以上の切り口ができたら、専用の癒合剤か接ぎロウなどを塗って保護する。
  2. そもそも、傷に弱い木は、不要な枝が発生したら、その枝が太さ5cmに達する前に切り、大きな傷を作らないよう心がける。常に早めの剪定が肝要。
  3. 上記の樹種に限らず、太い枝を切るなどして大きな傷口を作ったら、、癒合剤を塗ったほうが無難である。性質の強い木であっても、大きな傷ができると腐朽菌に侵される危険がある。できれば、癒合剤を塗った上からアルミ箔で覆い、傷が癒えるまで守ってやる。こうすれば、傷口に雨水がかかる心配もなくなる。なお、傷口が乾いたらアルミ箔は外す。(いつまでも付けておくと、かえって腐朽病などを誘発する。)
  4. 大きな木を強剪定すると、それまで日陰だった幹や太枝に直射日光が当たるようになり、その部分が日焼けすることがある。(「幹焼け」という。)幹焼けがひどいと木全体が枯死するので、幹や太枝に麻布などを巻き付けて保護する「幹巻き」を行うか、石灰乳(水1リットルに対し、消石灰500gを混ぜたもの)などの日焼け防止剤を塗り、日光から守る。

徒長を抑えたい時は

  1. 一般的に、強い剪定をすると、その後、さらに勢いの強い徒長枝が発生し、かえって樹形が乱れる。なので、勢いの強い枝を切りたい場合は、先端部分を軽く切る程度にとどめたほうがよい。
  2. 切り戻しや剪定をせずに、徒長枝の伸びを抑制したければ、枝を水平~下に向けて誘引するか、いっそ、輪にして留めてしまうとよい。また、枝の途中(付け根付近がよい)を両手で一回ねじって、内部の組織を傷付け、一時的に養分を届きにくくする「捻枝(ねんし)」を行うのも良い方法である。
  3. あまりにも樹勢が強く、どうしても徒長枝が出たり、花芽が付きにくい場合、主幹の一部の樹皮をぐるりと環状にはぎ取る「環状剥皮」を行えば、養分が枝葉に届きにくくなり、樹勢が落ち着く。木全体の勢いを抑えたい時は、地際の樹皮をぐるりと剥ぎ、一部の枝の勢いだけを抑えたい時は、その枝の付け根の樹皮を剥ぐ。樹皮を剥ぐ幅はわずかでよく、ほんの数cmあれば足りる。なお、環状剥皮は、木に傷を付ける作業であるため、傷口から病原菌が侵入する恐れがある。従って、樹皮を剥いだ部分に癒合剤を塗っておくことが望ましい。

作業に用いる道具

  1. 切り戻しや剪定に用いる道具は、太い枝を切る「剪定バサミ」(切り刃+受け刃)、細い枝を切る「植木バサミ」(両刃)の他、ノコギリが必要である。ノコギリは、大工道具に使われるような大型のものに加えて、剪定用の小型ノコギリも備えておく。(両刃のノコギリは、関係ない枝まで傷付けるので使わない。)基本的に、直径1~2cm未満の細い枝はハサミで、それより太い枝はノコギリで切る。
  2. 「剪定バサミ」は、明治時代にヨーロッパから伝わったハサミである。コンパクトで軽く、あまり力を入れなくても切れるため、よく普及している。なお、枝に剪定バサミを入れたのはいいが太すぎて切りにくい時などに、ハサミをねじるように動かすと、刃が傷む。前後に引き回すようにして、一気に切る。
  3. 「植木バサミ」は、日本に古くからあるハサミである。別名「木バサミ」ともいう。剪定バサミとは違い、前後に動かして切ると刃が傷む。
  4. ノコギリは普通、刃を手前に引くときに切れるようになっている。従って、手前に引くときに力を入れ、押し出す的に力を抜けば、疲れにくい。なお、マツ類のように樹脂の多い木は、刃の通りが悪く切りにくいので、あらかじめ刃に機械油などを塗ってから作業を始める。また、タケ類は刃がすべりやすいため、タケ専用のノコギリか、工作用の、刃の細かいノコギリを使いたい。

刈り込みバサミ・ヘッジトリマー

  1. 生垣や大きな庭木の剪定は、いちいち一本ずつ枝を切っていては面倒で、時間と手間がかかりすぎる。そのような時は「刈り込みバサミ」を使い、一気に「刈り込み剪定」を行う。刈り込み剪定は、ツツジ・サツキ類やイヌツゲのように、強剪定に強く、節から萌芽しやすい性質を持つ木に最適な剪定方法である。
  2. 刈り込みバサミは、慣れないと、なかなか思うような形に切れない。が、いったん慣れると、非常に短時間で剪定を済ませることができる。両手でハサミの柄をしっかり持ち、利き手だけを動かして刈り込むのがコツ。両手を動かすと、きれいに刈り込めない。第一、疲れる。
  3. 刈り込みバサミには表と裏があり、刃の角度が違う。両手でハサミを持ってみて、刃がわずかに上に反っている状態が表である。表と裏で刈り込む深さが変わるので、状況にあわせて、ハサミを裏返しながら作業する。丸い部分を刈り込みたいときは、ハサミを裏返す。また、細かい刈り込みをするときは柄を短く持ち、力のいる刈り込みをするときは柄を長く持つ。
  4. 直方体・立方体形の樹形では、木の頂部が水平、かつ、平らになっているが、ここを刈り込むときは、脚立を用意し、刈り込み線と腕の高さが同じになるようにすれば作業しやすい。しばしば、斜め・でこぼこに刈ってしまうので、地面に棒を立てて水平にヒモを張り、目印にするとよい。
  5. 実際の刈り込みは、木の上部から開始し、次第に下部に向けて刈っていく。木の上部は、少々刈り込みすぎても大丈夫だが、下部を強く刈ってしまうと、その後萌芽せずに枯れ込む危険があるので、弱い刈り込みにとどめる。
  6. 直方体・立方体形の樹形の場合、まず側面から刈り込みを行い、それが終わってから上面(天端)を刈る。上方から刈り始めて次第に下方に移動するのは、上記と同じ。最後に、角の部分を軽く面取りする。
  7. 玉型・球形になっている樹形を整えるときは逆で、側面から作業を始め、徐々に頂部に向かって刈っていく。
  8. 刈り込みバサミで刈り込む場合も、できれば、あらかじめ、剪定バサミや木バサミを使い、目立つ徒長枝や立ち枝、ふところ枝などを切っておく。そのような枝がある木の整枝を、刈り込み剪定だけで済ませると、すぐに二度伸びして、せっかく整えた樹形が長持ちしない。
  9. 生垣の木がたくさんあって、刈り込みバサミだと疲れる場合は、市販の電動式ヘッジトリマー(バリカン)を使う。刈り込みバサミに比べると、仕上がりの美しさは今ひとつだが、あっという間に作業が終わる。ただし、枝の破片などが飛んでくることがあり、危険なので、必ず防護メガネを着用して使用する。騒音にも注意。

高枝切りバサミ

  1. 「高枝切りバサミ(高枝バサミ)」についても触れておく。高枝切りバサミは、長い柄の先端にハサミが付いており、手元のグリップで操作する仕組みになっている。主に、手の届かない高い位置にある枝を剪定するのに用いる。高所の剪定は、ハシゴや脚立を使えば可能だが、慣れない人がやると非常に危険。
  2. 製品によっては、オプション品として、ノコギリ刃や、薬剤散布用スプレーが付属する。また、目的の枝をつかみにくい場合に備え、先端の角度が変えられる製品もある。
  3. 高枝切りバサミのハサミは、切った枝を落とさずつかみ取るため、つかみ刃(キャッチ金具)が付いているのが普通である。そのため、熟した果実を収穫する際も、非常に便利。ハサミを入れる方向を間違うと、枝を切断した瞬間に果実が落ち、割れてしまったりするので注意。必ず、つかみ刃の付いている側を、切り落とす側に向けてハサミを入れる。
  4. どんなに注意しても、切った枝や果実を落とすことはある。なので、切り取る部分の真下に、人やペットがいないか、安全に気を配りながら作業する。
  5. 切れる枝の太さは、製品にもよるが、直径2cmくらいまでが多い。それより太い枝を切りたければ、先端のハサミを、専用のノコギリ刃に交換する。
  6. こちらも製品にもよって異なるが、高枝切りバサミは、柄の長さを、1.8~3.5mくらいまで変えることができる。多くの製品はアルミ製なので、短くして使っている間は平気だが、最大まで伸ばすと、かなり重く感じる。
  7. 高枝切りバサミは、とにかく、腕や手、首が疲れるのが欠点である。電動式の高枝切りバサミも市販されているので、疲れるのが嫌な人や、力の無い人によい。