園芸知識:風対策
- 風害の多くは、毎年夏~秋にかけて接近・上陸する台風による。それ以外でも、季節風や、局地的な強風(山からの吹き下ろし風など)も、風害の原因となる。なお、台風は、風害だけでなく、水害・塩害・土砂災害など、さまざまな災害をもたらす。
- 植物に強い風が当たると、鉢ごと倒されたり、茎や葉がちぎれたり、枝が折れたり、時には根元から倒されたりする。そこまで行かずとも、茎葉が傷付き、病気の原因になる。強風に当てて良いことは一つもない。
- 防風林を作ったり、防風垣で植物を囲えば、植物を風から守れるが、家庭園芸では現実的でない。最も基本的な対策は、場所ごとの風の吹き方を把握し、強風の吹く場所に、風に弱い植物を植えないことである。風に弱い植物とは、「草丈が高いわりに根が浅い・あるいは茎が細い」植物である。基本的に、草丈が低いほうが風に強い。
- リンゴやミカンのような、大きな果実が付いた枝は、強風で折れやすい。たとえ折れなかったとしても、果実がもげることがある。台風が来る前に頑丈な支柱を立て、果梗(ヘタにつながっている短い茎)をしっかり固定しておくとよい。
- 庭木などに、木製や金属製の支柱を立てている場合は、地際部分が腐ったり腐食していないか、よく確認しておく。腐っていると支柱の役割を果たさず、風であっけなく倒れる。
- 鉢植えの場合は、風で煽られて転倒し、植物が傷付いたり、鉢が割れたりする。一時的に室内に入れるのが一番良いが、それが無理なら、数鉢ずつを寄せ、まとめてヒモで縛ったり、頑丈な柱などにくくりつけておく。
- また、あらかじめ鉢を横倒しにしておくのも良い方法である。この場合は、風で鉢があちこちに転がらないよう、ヒモで柱などにくくりつけておくか、石やレンガなどで鉢の両脇を挟んで固定しておく。
- 吊り鉢や、フェンスに掛けたバスケットなどは、強い風によって落下する危険が大きいので、あらかじめ地面に下ろしておく。
- 風が止んだ後、倒れたり斜めになったりした植物があれば、出来る限り早く、元通りにする。そのまま放っておくと、枝や茎の先端だけが垂直に伸び始め、変な形に育つ。
- 植え付け後、一年も経たない木は、十分に根が張っておらず、支柱を立ててあっても、風で根元から倒されることがある。倒れた木は、新しく伸び始めた根が切れてしまっているため、そのまま立てて植え直しても、枯れてしまうことがある。それでも再生させたければ、地上部を少し切り戻し、元通り植え直した上で、しっかりした支柱を立てて固定する。
- 風で枝や茎が折れたら、折れた部分をそのままにせず、ハサミできれいに切り返しておく。木の場合は、さらに傷口に癒合剤を塗り、保護するとよい。
- 葉が飛ばされたりして、ほとんど無くなってしまっても、株が健康なら、また芽吹く。ただし、短期間に二度三度と繰り返すと株が弱り、枯れることがある。
- 強い風にあった植物は、茎葉や根に、目に見えない細かい傷が付いていることが多い。その傷から病原菌が侵入し、病気になることがあるため、風が収まったら殺菌剤を予防散布したほうがよい。
- 台風の風雨は、海水の塩分を含む。そのため、台風の通過後は、内陸部であっても塩害が発生することがある。できれば、台風の通過後すぐに、植物全体にホースで水をかけ、茎葉に付着した塩分を洗い流しておく。