園芸知識:冬越し
概要
- 植物は、自生地がどんなに過酷な気候でも、逃げることができない。そのため、環境に対する適応能力は動物より優れている。しかし、いくら幅広い適応能力を持っていても限度はある。
- 日本の気候は基本的に、春と秋は比較的過ごしやすく、夏と冬は、温度と湿度が極端に変化する。従って、この二つの季節をいかに無事に過ごさせるかが、栽培成功の大きな鍵を握る。このうち、夏の過ごさせ方は、「夏越し」のページでも述べたように、かなりの苦労が伴うが、冬の過ごさせ方は、夏越しほど難しくない。そもそも、夏と違って、冬はほとんどの植物が活動を停止し、休眠しているため、少々悪い環境に置いたところで大したダメージにならない。
- ただ、夏越しの失敗は、何日もかけて植物が徐々に衰弱し、最後に枯れる、という形になるので、途中で気付けば助けることも可能だが、冬越しの失敗は、たった一度の霜や、わずか数時間の低温に合わせただけでも訪れる。しかも、気付いたときには、すでに手遅れであることが多い。
- 寒い日に、水切れでもないのに植物が萎れていたり、葉に黒~褐色の点々が出ていたり、葉の一部または全体が黒くなっていたりすれば、低温障害である可能性が高い。症状の程度が軽ければ、すぐに暖かい室内に移し、その後は低温にあわせないよう注意しながら、しばらく様子を見る。なお、多肉植物の場合、一夜にして多肉質の茎がブヨブヨになることがあるが、この場合は、まず助からないと思ったほうがよい。
- 晩秋~早春にかけて見られる「霜」は、放射冷却によって地表面の熱が奪われたときに発生する。具体的には、植物体の温度が0℃以下となったために、空気中の水分が氷結し、付着したものである。植物に与えるダメージは凄まじく、耐寒性の弱い植物なら、一夜にして全滅することも珍しくない。
- 霜害は秋~春にかけて起こるが、どちらかというと、備えのできている秋~冬より、春のほうが被害がひどい。植物の冬芽は、固く締まっている間は寒さに強いが、春になって気温が上がり、少しずつほぐれてくると、どんどん耐寒性が落ちていく。そこに遅霜が来ると、大ダメージとなる。
- 霜が降りるのは、夜間に雲がなく晴れ渡り、風も無く、明け方急激に気温の下がる日である。上空から冷たい空気が下降して地上に溜まり、それが霜をもたらすため、空気が停滞しないよう、かき回すと効果がある。茶畑に大きな風車があるのは、そのためである。(茶は遅霜の害を受けやすい。)
- 天気予報で出される予想最低気温は、地表面の温度ではなく、地表面からの高さ150cmの位置の気温である。霜が降りる日は、放射冷却により、地表面の温度がそれより低くなるため、予想最低気温が0℃でないからといって油断すると、悲惨な結末を迎えかねない。だいたい予想最低気温が5℃以下になると、霜が降りる可能性が出てくる。
- 冬越し成功のためには、日頃から気象予報に注意し、予想最低気温をチェックするのはもちろん、強い寒波の到来や、湿度、霜、季節風などの情報をしっかり把握しておくことが何より大切である。
- 植物の耐寒性を示す言葉として、下の三種類がある。
- 非耐寒性…常夏の熱帯~亜熱帯地域が主な自生地で、全く耐寒性が無い。
- 半耐寒性…亜熱帯~温帯地域が自生地であることが多く、ある程度の耐寒性があり、温暖な地域なら、簡単な防寒をすれば、戸外でも越冬できる。
- 耐寒性…温帯~寒帯地域に自生する植物で、寒さに強く、露地で越冬可能。ただし、ひと口に「耐寒性植物」といっても、その耐寒性には幅があり、北海道の内陸部などの極寒地では露地で越冬できないものも含まれる。
- 非耐寒性の植物は、越冬中に必要な温度が保たれないと、ほとんどの生命活動を停止し、深い休眠に陥ってしまう。そうなると耐寒性は高まるが、春になっても、かなり気温が上がらないと休眠から覚めない。そのため、生育期間が短くなり、生育や開花に支障が出る。越冬中の温度が低いほど休眠も深くなり、春の覚醒が遅れるので、越冬中の温度はなるべく高く保ちたい。
- 半耐寒性植物は、一部、ある程度の低温にさらされないと、花芽ができない、花茎が伸びない、等の性質を持つものがある。(例、ノビル系デンドロビウムやハゴロモジャスミン、クンシランなど。)そうした植物は、ギリギリまで戸外に置いて寒さにあわせておく。室内に置くにしても、寒い部屋を選ぶ。
- 耐寒性植物は、低温にあわないと、春からの生育に支障が出ることが多い。なので、十分に寒さにさらし、しっかり休眠させる。ただ、幹や茎葉を傷めないよう、最低限の防寒は施しておきたい。
- 寒さに弱いからといって、秋、大して寒くもないのに早々に室内に入れたり、防寒対策を施すような過保護をするのは逆効果である。植物は生き物なので、周囲の環境の変化に適応する力を持っている。そこで、秋が深まったら水やりの間隔を徐々に長くして回数を減らし、その上で、傷まない程度の低温にギリギリまでさらすと、植物の適応力が鍛えられ、耐寒性が高まる。これを「ハードニング」という。
- 水やりの間隔を広げるのは、土を乾き気味にするためである。しおれない程度に土が乾いていると、植物内の樹液濃度が高まり、耐寒性が強くなる。(体内水分が濃縮されると凍結しにくくなるため。)
- 冬の水やりは、春~秋の水やりよりも慎重に行う。根の活動が鈍っている分、土が乾きにくく、過湿に陥りやすいためである。越冬中に過湿になると、まず確実に冬越しに失敗する。(一見、成功したように見えても、春になってから一気に枯れる。)生育期の水やりは、土の表面が乾いたら行うのが原則だが、越冬中は、土が鉢底まで乾ききるのを待って与えるよう心がける。少しくらいしおれても、過湿害で枯らすよりマシである。
- 肥料の三大要素の一つであるカリ(K)は、耐暑性だけでなく、耐寒性も高める働きがある。冬が来る前に、少し多めに施しておくとよい。
- 最も簡単な冬越し対策は、室内に入れることである。非耐寒性の植物なら、夜~明け方でも室温が下がらない、暖かい場所に置く。半耐寒性の植物なら、玄関など、あまり加温しない場所に置く。いずれも、窓越しの日光が当たり、暖房機の温風や、冷たいすき間風が直接当たらない場所を選ぶ。
- 植物が大きく育ちすぎて、室内にスペースが取れなければ、9~10月頃に挿し木をして小苗を作り、その小苗だけを室内に入れる、という方法もある。この場合、戸外の親株は見捨てることになるが、枯れたと思っていた親株が翌春に芽吹くなど、意外な耐寒性を発見できることもある。
- 室内の、よく日が当たる窓際は、日中は暖かいが、夜は急激に冷え込む。非耐寒性の植物を窓際に置いている場合、夕方になったら鉢を窓際から離し、部屋の中央付近に移動する。
- 室内の暖かい空気は天井付近に集まりがちなので、鉢植えは、なるべく高い場所に置く。吊り鉢も、できるだけ高い位置に吊るす。
- 夜間に暖房を切る家庭では、明け方5~7時の時間帯に、室温が最も低くなる。なので、午前5時台に暖房器具の電源が入るよう、タイマー設定しておくとよい。その方が、起きてきた人間にも快適である。ただ、室温が15~18℃もあれば足りるので、あまり高温に設定しすぎない。
- 暖房で加温している間は、空中湿度の低下に注意する。機密性の高い住宅では、しばしば乾燥し、湿度が50%を切ることも珍しくない。いくら室温が確保されても、湿度が低いと、葉が枯れ込んだり、花やつぼみが黄色くなって落ちたりするので、なるべく湿度60~70%ほどを保ちたい。
- 植物の周囲の湿度を上げるには、茎葉に霧吹きを行う方法が知られるが、暖房中の室内では、すぐ乾いてしまうので、加湿器を使ったほうが楽。
- また、室内に一鉢だけポツンと置くよりも、複数の鉢を固めておいたほうが、お互いに湿度を保ち合い、良い結果となる。一鉢しかなければ、水盤など平らな容器に浅く水を張り、底にレンガなどの足場を置いて、その上に鉢を載せれば、湿度を保てる。このとき、鉢の底が少しでも水に触れると、過湿害の原因となるので注意する。
- 加温に用いる暖房器具は、エアコンやストーブ、ファンヒーターなど、部屋全体を暖めるタイプがよい。コタツやハロゲンヒーターなど、ごく一部だけを暖めるタイプは、植物の加温器具としては扱いにくい。ただし、電気毛布やホットカーペットなどは別で、これらは、上に鉢を並べれば、下からほのかに熱が伝わり、鉢全体を温めてくれるので、使いやすい。ただし鉢内の温度が上がりすぎるのは良くないので、設定温度は低めに。
- 暖房器具を一切使わなくても、加温する方法はある。例えば、鉢を冷蔵庫の上に置くと、天板から放出される熱が植物を温めてくれる。(鉢をたくさん置きすぎると、冷蔵庫の放熱を妨げるので注意。)冷蔵庫に限らず、電源を入れっ放しの電化製品は意外と熱源になるので、上に鉢植えを置き、その熱を利用させることができる。ただし、温まっている部分に葉が直接触れると、その部分だけ、葉焼けを起こしたような状態になるので注意。また、ハイドロカルチャーなど、中に水が入っている鉢は、水がこぼれると危険なので、絶対に電化製品の上に置かない。
- 残り湯の入った浴槽にフタをし、その上に鉢を置く方法もある。ただし浴室は、明け方急に温度が下がることがあるので注意。比較的耐寒性があって湿度を好む、シダ植物などに向く方法といえる。
- 半耐寒性の植物は、やや耐寒性があるため、特に加温しなくても、室内に入れるだけで足りる。(室温が氷点下になるような部屋は不可。)少しでも良い状態で冬越しさせるには、夜間のみ、段ボール箱やビニール袋、エアーキャップ(商品名「プチプチ」)、薄手の毛布、新聞紙などをかぶせてやる。保温効果は大して期待できないが、保湿と風除けになる。
- 断熱性に優れる発泡スチロール箱を用いると、かなり良い状態で冬越しできる。フタ付きなら、なおよい。夜になったら鉢ごと発泡スチロール箱に入れ、フタをして密閉すると、その後、室内の温度が下がっても、箱内の温度はあまり下がらない。この方法なら、非耐寒性植物の冬越しも容易になる。
- 室内で越冬させていた植物は、3月頃から順次戸外に出せるが、4月下旬頃までは遅霜にあう危険があるので、夕方には室内に取り込む。ここで油断すると、冬の間の苦労が水の泡となる。
- 最高の状態で冬越しさせるには、温室を持つのが一番である。庭に戸建ての立派な温室を設置し、冷暖房設備・照明設備・循環扇・換気扇を完備すれば、どんな植物でも思いのままである。また、家を改築してサンルームを持つのもよい。しかし、いずれも場所や費用が大問題で、よほど本格的に植物を栽培しない限り、現実的ではない。そもそも、そのような大掛かりな設備がなくても、工夫次第で植物は育てられる。
- もっと気軽な温室が欲しければ、市販の「ワーディアンケース」や「ビニール温室」が最適。「ワーディアンケース」とは、金属や木でできた枠に透明なアクリル板やガラス板を張った、室内用のミニ温室である。「ビニール温室」とは、金属製または樹脂製の骨組みに透明なビニールをかぶせたもので、単に「フレーム」とも呼ぶ。いずれも本物の「温室」とは違い、加温設備を持たない。従って、「温室」と呼ぶのは少々語弊がある。
- ワーディアンケースやビニール温室のような簡易温室は、戸外か室内の、日当たりのよい場所に置いて用いる。日中は、太陽光で内部が高温になりやすいので、入り口を開け、換気するのを忘れない。夕方には閉め、中に冷たい空気を入れないようにする。
- 市販の簡易温室を買わなくても、見た目を気にしなければ、似たようなものが自作できる。例えば、普通の物置棚に大きなポリ袋をすっぽりかぶせれば、ビニール温室になる。また、適当な箱の中に鉢を入れ、透明なビニールでフタをすれば、これまたビニール温室ができる。その他、観賞魚用の水槽や、昆虫用の飼育ケースなども、上部をアクリル板やガラス板などでふさぐなどすれば、簡易温室の代わりになる。その上に、段ボール箱やエアーキャップ(商品名「プチプチ」)、毛布などを併用すると、さらに良い結果となる。
- ホームセンターなどで見かける、大型の金属製ラックは、ホコリ除け用のビニールカバーが一緒に売られていることがある。両方購入すれば、かなり立派なビニール温室ができる。(もっとも、素直にビニール温室を買ったほうが安上がりである。)
- 市販の簡易温室に付属するビニールカバーを戸外で使用すると、数年で傷み、劣化して穴が開いたり、開閉用のファスナーが壊れたりする。温室補修用の専用ビニールテープを使えば、ある程度は自分で補修できるが、ビニールカバーが別売りされているか、購入前に確認しておきたい。なお、簡易温室の製品型番が分からないと、どのカバーを買えばよいか分からなくなるので、型番を控えておくか、取扱説明書を保管しておく。なお、別売りのビニールカバーは、意外と値段が張る。
- これまで述べたような簡易温室に、植物用蛍光灯やヒーター、サーモスタットなどを設置すれば、さらに本格的になる。なお、戸外では暖房の効率が悪く、電気代がかさむので、ヒーターとサーモスタットの設置は、室内に置く場合に限る。
- 植物用のヒーターがなければ、湯たんぽや電気アンカ、ヒヨコ電球、ペット用ヒーターなどで代用する。ただし、電気を使う加温器具は、水がかかると火災の原因になりかねないので注意する。また、加温器具と植物の距離が近すぎたり、茎葉が直接触れたりすると、高温のために葉焼けを起こすので、十分に距離をとる。
- 電気アンカやヒヨコ電球、ペットヒーターなど、電気を使う加温器具は、サーモスタットと併用すれば、温室内の温度が上がり過ぎない。ペットヒーターは仕様上、あまり温度が上がらず、しかも防水仕様であることが多いので、この中では最も使いやすい。
- 簡易温室内に、加温設備とサーモスタットを一緒に設置した場合は、夜間のみ、外側にビニールや毛布などをかぶせると保温効果が高まり、電気代の節約になる。
- 温室内の温度が上がりすぎると、高温のために植物がバテるので、「最高最低温度計」を設置し、温度変化に気を配りたい。最高最低温度計には、一日の最低温度と最高温度を記録する機能があり、植物の近くに設置すれば、寒すぎたり暑すぎたりしていないか、ひと目でわかる。普通の温度計より割高だが、かなり役立つので、できれば使用したい。
- 一日の最低温度と最高温度の差は、15℃以内に抑えるのが理想的。一日の温度差が大きすぎると、植物が調子を崩す。最高最低温度計があれば温度差がわかりやすいが、持っていなければ、普通の温度計で測定する。測定する時刻は、最低温度は午前5~7時頃、最高温度は午後1~2時頃がよい。
- 耐寒性の強い「耐寒性植物」は、戸外で越冬させられる。とはいえ、寒さの厳しい寒冷地では、地面への植え付けや植え替え・タネまきなどの作業を、秋に行わず、春まで待ったほうが無難。
- 耐寒性植物は、低温に対しては確かに強い。しかし、乾いた季節風や強い霜に当て放題にすると、茎葉が枯れ込むなどの害が出る。また、植わっている土がひどく凍ると根が傷み、やはり茎葉が枯れ込む。
- 地植えの植物には、霜柱も大敵である。霜柱が立つと、植物が土から持ち上げられ、根が切れたり乾燥してしまい、放置すると枯死する。早めに気が付いたら、足で霜柱を踏みつぶして植物を埋め直す。
- どんなに寒そうでも、お湯をかけるのは厳禁。植物にお湯をかけると、高温で細胞が傷み、結局、大ダメージを与えてしまう。また、霜柱を溶かすのにお湯を使うと、地面に染みこんで冷め、次回の霜柱発生の原因となる。
- 寒風や霜、霜柱から、地植えの植物を守るには、寒冷紗や不織布の「べたがけ(支柱などを使わず、直接かぶせること)」が有効である。寒冷紗や不織布はとても軽く、下の植物がつぶされる心配はない。
- ビニールやエアーキャップ(商品名「プチプチ」)をかぶせてもよいが、これらは通気性が無いので、中が蒸れないよう風通し穴を開けるか、弓形の支柱を使ってトンネルにし、一方を風通し用に開けておく。こまめに世話ができるなら、夜間のみ、風通し穴をふさいで密閉してやる。
- べたがけが見苦しくて嫌なら、株元の地面をマルチングするだけでもよい。この場合、地上部の枯れ込みには目をつぶる。マルチングに用いる素材には、稲ワラやバーク、ピートモス、腐葉土などが適する。なお、花壇や畑では、ビニールや、専用マルチングシートに穴を開け、その穴に植物を植え込む、という方法がよく使われる。黒色のビニールやマルチングシートを使えば、地温を高く保つ効果も期待できる。
- 冬に地上部が全て枯れる植物の場合、その上に、落ち葉や土を高さ10cmほど盛っておくとよい。ただそれだけで、かなりの効果がある。春になったら、新芽を傷付けないよう注意しながら、盛り土を丁寧に除去する。
- 小さな苗なら、半分に切ったペットボトルの上半分をかぶせておく。この場合、昼間はフタを開けて換気し、夜には閉めてやる。
- その他、寒風の吹いてくる方角(北寄りの方角)に、支柱を立てて寒冷紗やよしずを張ったり、枯れたササ竹を挿しておく、という簡単な対策もある。冬野菜によく使われる方法である。
- 積雪の多い地域では、積もった雪が地温や湿度を一定に保つので、べたがけやマルチングの必要はない。春まで葉を出さない球根植物や、冬に地上部を枯らす宿根草は、積雪地域のほうがかえって生育がよい。ただ、地上に小さな冬芽を残すなど、雪の重みでつぶされそうな植物は、春を待ってから植え付けたほうがよい。
- 雪が庭木の上に積もると、重みで枝が曲がったり折れたり、幹が裂けたりするので、払い落とす。しかし、豪雪地帯では無茶な話なので、造園業者に頼むなどし、雪吊りや雪囲いを。
- 株立ち樹形(地際からたくさんの細い枝が林立している樹形)の木なら、数本の主枝をまとめてヒモで縛り、固定すれば、枝が裂けるのを防げる。また、一本の幹が伸び上がる樹形の木なら、しっかりした支柱を立て、木全体を支柱にぐるぐる巻きにして固定すれば、枝折れを防げる。(文章ではうまく表現できないが、要するに、木全体の形を、「縦に細長い円錐形」に近づけるのがコツ。)雪が数mも積もる地域でなければ、そのような簡単な雪対策で足りる。
- 鉢植えの植物は、鉢壁を通して、低温が鉢土まで伝わりやすく、地植えの植物に比べて害を受けやすい。地面に穴を掘り、鉢ごと埋めてしまえば、地植えの植物と同様の対策を取ることができる。
- 鉢植えのまま戸外で越冬させるなら、それなりの対策を施したい。南向きの壁に鉢をぴったり寄せて置いたり、常緑樹の下に移動させたり、軒下に取り込んだりするだけでも、かなり違ってくる。
- また、寒冷紗や不織布、ビニール、エアーキャップ(商品名「プチプチ」)などで、植物と鉢全体をくるめば、保湿と防風の効果が期待できる。ヒモでぐるぐる巻きにすれば、風で飛ばされる心配もない。茎葉だけでなく、鉢の部分までしっかりとくるむのがコツ。なお、上のほうで述べたように、ビニールやエアーキャップは通気性がないので、小さな穴をたくさん開けておく。
- ぐるぐる巻きが見苦しければ、穴のあいた透明ビニールと支柱がセットになった市販品を利用すれば、少しはすっきりした印象になる。鉢用とプランター用がある。
- ビニール温室などの簡易温室があれば、戸外の軒下などに設置し、その中に鉢を入れるとよい。ただ、多くの鉢をぎゅうぎゅう詰めにすると、内部の風通しが悪くなり、真冬でも病気が発生するので注意する。
- 積雪の多い地域では、上のほうで述べたように、あえて雪に埋めることで植物を保温できる。が、この方法は、地面から水分が供給される、地植えの植物にしか適用できないらしい。鉢植えの植物を雪に埋めると、積雪下で土が乾燥し、水切れを起こして枯れることがあると聞く。
- 戸外で鉢植えの植物が凍ってしまったら、そのまま無加温の玄関などに入れ、時間をかけてゆっくり溶かす。あわてて暖かい室内に入れたりすると、急激な解凍のために植物の細胞が壊れ、助かるものも助からない。