ハオルチア
イメージ
原産地
南アフリカ・ナミビア
科
ツルボラン科(またはアロエ科・ススキノキ科・ユリ科・ワスレグサ科)
高さ
3~10cm
花期
5~6月・9~10月
形態
多年草
生育型
春秋型
別名等
ハワーシア/ハオルシア/ハウオルチア/ハウオルシア
オブツーサ(クーペリ系交配種の総称)
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月中旬~9月上旬は50~60%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。
【補足】やや柔らかい日光下で育てたほうが、葉色がよくなる。
水やり
生育期は、土の表面が乾いて3~4日後に与える(多肉植物なので、乾き気味に管理)。夏越し中は、月に二~三度とし、越冬中は、月に一度とする。
【補足】真夏は特に乾き気味に管理しないと、下葉が腐る。
肥料
4~5月と、9~10月に、月に一度の液肥、または少量の固形肥料を置き肥。
植え替え
2月下旬~5月下旬か、9月下旬~10月中旬。
【補足】1~2年に一度行う。植え替え後、数日経ってから水やりを再開する。根は毎年更新されるので切り詰める必要は無い。
整姿
よく子吹きするので、生育期に適宜株分けする
繁殖
【葉挿し・根伏せ・根挿し】4月中旬~6月上旬か、9月中旬~10月中旬。
(葉挿しは、葉を付け根から外し、切り口が乾いてから挿す。根伏せと根挿しは、根の太い部分を切り取り、上下を間違えないよう植え付けるが、太いゴボウ状の根を持つ種類でしか行えない上、芽吹きが遅い。)
【株分け】植え替えと同時期。
【タネまき】採ってすぐにまく。
耐暑性
強いが、強光と過湿に注意。
耐寒性
最低5℃を保つとよい。
【補足】高温にあわせない。
解説
- 古くから熱狂的な愛好家の多い多肉植物である。南アフリカに多くの原種が自生しており、しかも変異に富む。
- 最近の遺伝子解析により、ハオルチア属の仲間から、ツリスタ属とハオルチオプシス属が分離独立した。これにより、「ハオルチア」は、三つの属から成る園芸植物となった。
- ハオルチアは、大きく分けて、ムニムニした軟らかい葉を持つ「軟葉系」と、ザラつく硬い葉を持つ「硬葉系」に分かれる。なお、ツリスタ属とハオルチオプシス属に分離されたのは、「硬葉系」に属する種類である。
- よく見かけるのは、古くから栽培される「十二の巻」である。硬葉系の代表種で、ツリスタ属に属する。しばしば、多肉植物の寄せ植えに一緒に植え込まれている。「ゼブラハオルチア」の別名通り、葉に白い横縞模様がある。
- 主な種類は、下記のようなものがある。
- 硬葉系…コエルマニオルム、ソルディダ、ツベルクラタ、ニグラ、ヘレイ、マルギナタ、ミニマ、レインワルディー、「五重塔」「シジマ」「秋天星」「十二の巻」「瑞鶴」「鷹の爪」「天涯」「白蝶」「白羊宮」「冬の星座」「松の雪」「ミニドーナツ」「雷鱗」「竜鱗」「瑠璃殿」など。
- 軟葉系…アラクノイデア、アラネア、ウィミー、エメリアエ、オブツサ、ギガス、クーペリ、グラシリス、グロボシフローラ、コレクタ、コンプトニアナ、シンビフォルミス、スプレンデンス、ツルギダ、デケナヒー、バディア、パラドクサ、ピクタ、ピグマエア、プベッセンス、ベヌスタ、ボルシー、マルミアナ、ミラビリス、ムチカ、レイトニー、ロックウッディー、「京の華」「玉扇(ぎょくせん)」「毛蟹」「寿」「紫禁城」「祝宴」「白兎」「青雲の舞」「静鼓」「宝草」「特網コレクタ」「万象(まんぞう)」「水蓮華」「夢殿」など。
- 軟葉系は、葉の先端に透明な「窓」と呼ばれる部分があり、ここに、さまざまな色や模様が入る。株によって色や模様が異なるため、収集し甲斐がある。
- 「玉扇」「万象」は、多肉質の葉を途中で水平に切断したような、奇妙な姿をしている。アラネアやギガス、ボルシーなどは、葉の縁に軟らかな白いノギがたくさんあり、全体が白っぽく見える。
- 株が充実すると、長い花茎を伸ばし、光沢のある白い花をたくさん咲かせる。
注意点・病害虫
- グラミニフォリア、コレクタ、「玉扇」「万象」など、一部の種類は、根が太く肥大し、ゴボウ状である。このような根を持つ種類は、特に過湿に敏感なので、水加減に注意。特に、真夏に過湿になると、下葉から腐りやすい。根挿しで殖やせる。
- 多くは栽培容易だが、デシピエンシスやロックウッディーなど、暑さに弱い種類もある。
- 根が太く長いので、やや深めの鉢を用いる。
- 根につくワタムシに注意。
余談
- この仲間は、分類に混乱がみられるようで、正式名称と流通名、原種と交配種などが入り乱れ、名前・出自のはっきりしない個体がある(特にオブツーサ系)。特定の種類にこだわって入手したい時は、やや注意を要する。
- この仲間の生育型は、文献によって、「冬型種」だったり「夏型種」だったり「春秋型種」だったりする。実際は、真夏と真冬に一時的に止まるものの、ほぼ一年中生育している。「春秋型」の扱いが妥当か。
各種の和名・異名
ツリスタ属の種類。
- パピロサ(異名)/冬の星座/ドーナツ冬の星座(いずれもマキシマ)
- 瑞鶴(マルギナタ)
ハオルチア属の種類。
- 松の雪(アテヌアタ)
- 摩耶の雪(アテヌアタ変種クラリペルラ)
- セタタ(異名)/綾衣絵巻(いずれもアラクノイデア)
- ギガス(アラクノイデア変種スカブリスピナ)
- オブツーサ/ディエルシアナ/雫石(いずれもクーペリ変種トルンカタ)
- ピリフェラ錦/白斑ピリフェラ/ミルキー(いずれもクーペリ変種ピリフェラ「バリエゲイテッド」)
- 宝草/紅牡丹(いずれもクスピダタ)
- 京の華(シンビフォルミス変種アングスタタ)
- 玉緑(ツルギダ)
- 氷砂糖(ツルギダ「バリエゲイテッド」)
- 竜鱗(テッセラタ)
- 玉扇(トルンカタ)
- 曲水の宴(ボルシー)
- アラネア(ボルシー変種アラネア)
- 万象(マウガニー)
- 寿(レツーサ)
ハオルチオプシス属の種類。
- 黒鮫(ニグラ)
- ハオルチア・トルツオサ(異名)/五重塔(いずれもビスコサ)
- 十二の巻/ゼブラハオルチア(いずれもファスキアタ)
- 金城(マルガリティフェラの斑入り品種)
- 瑠璃殿(リミフォリア)
- 星の林(レインワルディー変種アーキバルディアエ)
(※データ:大阪市基準)