ビカクシダ
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原産地
熱帯アジア~オーストラリアの温帯・太平洋諸島・熱帯アフリカ・マダガスカル・南アメリカの熱帯
科
ウラボシ科
高さ
50~200cm(種類による)
花期
シダ類なので花は咲かない
形態
多年草(着生植物)
別名等
プラティセリウム/プラティケリウム/プラティケリューム(いずれも属名)/コウモリラン/スタッグホーンファーン
(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内で0~10%遮光。
【補足】生育には、やや強めの日光を必要とする。
水やり
生育期は、用土の表面が乾いたら与える(着生させた株は、全体が乾ききる直前に与える)。越冬中は、ごく控えめに。
【補足】水やりは、貯水機能を持つ貯水葉に対して行うが、古い水が常に貯まっていると腐る。ヘゴなどに着生させた株は、植え込み材料が無いため、乾かしすぎに注意。
肥料
4月、6月、9月に、固形肥料の置き肥、または週に一度の液肥。
【補足】水やりと同様、施肥も貯水葉に対して行う。見かけによらず肥料を好むので、緩効性肥料を用い、貯水葉の隙間に詰めておく。
植え替え
4月下旬~9月中旬(着生作業は7月までに済ませる)。
整姿
特に無し。
繁殖
【胞子まき】4~6月、9~10月。(土はかけない。まき床にガラス板などをかぶせ、高温多湿の環境を保つ。)
【株分け】4~9月(酷暑期は避けたほうがよい)。
耐暑性
強い。
耐寒性
【オーストラリア原産種】最低5℃を保つ。
【その他】最低13℃を保つ。
解説
- 和名は「オオジカの角」の意。特異な姿形から、根強い人気がある。ミニ観葉や苔玉としても出回る。
- 熱帯域~南半球に広範囲に分布するが、よく見かけるのは、熱帯アジア~オーストラリア原産の種類。中でも、オーストラリア原産のビフルカツムは、0℃近くでも耐えるほど耐寒性があり、乾燥にも強く、丈夫で育てやすい。単に「ビカクシダ」というと、このビフルカツムを指すことが多い。
- それ以外の種類には、同じくオーストラリア原産のスーパーバム(スペルブム)、ビーチー(ベイチー)、ヒリー、インドネシア原産のウィリンキー、リドレイ、ワンダエ、東南アジア原産のグランデ、コロナリウム、ワリチーなどがある。その他、交配種もいくつか作られている。
- 貯水葉に網目模様が入るマダガスカリエンセは、名前の通りアフリカ系の種類。なお、アフリカ産の種類と、南アメリカ産の種類は、栽培難易度の高いものが多く、マニア向け。
- ミニ観葉や苔玉として出回る幼苗は、ほとんどの場合、ビフルカツムや、その交配種らしい。
- シカの角状の部分は「胞子葉」「実葉」「フォリッジ・リーフ」などと呼び、その基部にある、丸い皿のような部分は「貯水葉」「栄養葉」「外套葉」「単葉」「裸葉」「泥除け葉」「ネスト・リーフ」などと呼ぶ。
- 「胞子葉」は立ち上がるか、長く垂れ下がり、胞子を生じる。一方、「貯水葉」は貯水組織を持つほか、中に落ち葉などを溜め込んで自家製腐葉土を作り、そこから養水分を吸収する。
注意点・病害虫
- 鉢植えでも機嫌良く育つが、鉢から抜いて水ゴケで根をくるみ、ヘゴ板などに縛り付けて着生させれば、野性味あふれる姿となる。鉢植えで育てる場合は、水ゴケ単用か、ピートモス、軽石、バークチップなどを使い、水はけ良く植え込む。
- 貯水葉が古くなると褐色に変化するが、貯水機能は残っており、株を支える役割もあるため、取り除いてはいけない。
- この仲間は人気が高く、さまざまな種類が売られているが、中には、アンディヌムやリドレイのように耐暑性・耐寒性ともに無かったり、マダガスカリエンセのように耐乾性が無いのに過湿に弱かったりで、育てにくいものもある。購入前によく調べておきたい。
各種の和名・異名
- エレファントティス(アンゴレンセの異名)
- ビフルカツム変種ウィリンキー(異名)/ナガバビカクシダ(いずれもウィリンキー)
- オオビカクシダモドキ(コロナリウム)
- グランデ(スーパーバム)
- ヒロハビカクシダ(ステマリア)
- ビカクシダ/コウモリラン/コモンスタッグホーンファーン(いずれもビフルカツム)
(※データ:大阪市基準)