サトイモ
イメージ
原産地
中国・インド・マレー半島
科
サトイモ科
高さ
50~100cm
花期
9~10月
形態
春植え球根
収穫期
9~11月
別名等
コロカシア・エスクレンタ(学名)/里芋/タイモ/田芋/芋/タロ/コイモ/イエイモ
蓮イモ/といも/いもがら/といもがら(いずれもギガンテア)
京イモ/台湾イモ(いずれも筍イモ)
海老イモ(唐芋)
日照
4月中旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下。
休眠期は、日光に当てなくてよい。
【補足】少し耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。観葉植物として育てている株は明るい日陰でもよい。
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(湿った場所を好むので、水切れは厳禁)。休眠期は、断水する。
肥料
5~9月に、固形肥料の置き肥。
【補足】観賞専用の種類はイモ目当てではないので、施肥も少なめでよい。
植え付け
4月中旬~5月上旬、深さ5~6cm、株間30~40cm。
【補足】種イモは、とがったほうを上にして植える。農家では、3月頃、加温下で種イモを植えて芽出し作業を行う(「伏せ込み」という)が、省略し、直接植え付けてもきちんと育つ。
整姿
植え付け後、芽が複数出てきたら、勢いのよい芽を一つ残して、他は全てかき取る。
葉が3枚になったら、株元に土寄せをする(寄せる土は厚さ5cm)。以降、1ヵ月ごとに厚さ10cmの土寄せをする。
繁殖
【分球】植え付け時。
耐暑性
とても強い。
耐寒性
最低5℃を保つ。
【補足】高温にあわせない。
解説
- 「里芋」の名は、ヤマイモ(山芋)に対し、人里で作られるイモの意。もともと水辺の植物で、水切れを極度に嫌う。
- 皮をむいた葉柄を「ずいき」と呼び、食用にする。全ての品種でずいきが採れるわけではない。
- 葉柄の色は、緑色の系統と赤紫色の系統(赤芽系)がある。ずいきを採るのは、サトイモ特有のえぐみが少ない赤芽系のほう。
- 品種によって、親イモを食べる「親イモ専用種」、子イモを食べる「子イモ専用種」、親イモと子イモを食べる「親子兼用種」、親イモ・子イモ・ずいきを食べる「ずいき兼用種」、ずいきを食べる「ずいき専用種」に分かれる。それぞれ、地方ごとに多様な品種がある。
- 子イモ専用種には「石川早生」「土垂(どだれ)」、親イモ専用種には「筍芋(京芋)」、親子兼用種には「大和早生」、ずいき兼用種には「セレベス」「唐芋(とうのいも)」「八つ頭」、ずいき専用種には「蓮芋」「都芋」などがある。
- 「八つ頭」は、サトイモとしては小型の品種で、親イモと子イモが完全に一体化しており、両方を食べる。ずいきも採れる。水盤に置いて水栽培したものが、時折、観葉植物として売られている。食用兼観賞用の品種。
- 京都や静岡で作られる「海老芋」は、上記の「唐芋」の一種で、イモがエビのように曲がっている(性質ではなく、土寄せをして曲がらせる)ため、この名がある。高級品。もちろん、ずいきも採れる。
- サトイモの仲間は、大きな葉に見ごたえがあり、観葉植物として扱われることもある。葉が黒紫色の「ブラックマジック」のように、観賞専用の品種もある。これは強い日光に当てないと、葉が黒くならない。なお、観賞専用の品種は、普通は食用にしない。
- 大株に育つと、ごく稀に、秋に開花することがある。「蓮芋」は比較的咲きやすいらしい。
- 熱帯性の植物なので寒さに弱いが、暖地では、掘り残したイモが土中で越冬し、翌春に芽吹くことがある。
注意点・病害虫
- とても大型の野菜で、しかも水切れを嫌うため、地植えに向く。鉢植えなら10号鉢に一株が目安。観賞専用にするなら、もう少し小さな鉢でもよい。
- やや酸性の土(pH5.5~6)を好む。連作は不可。一度作ったら4~5年空ける。
- 種イモを選ぶときは、肩(上部)の部分が丸く、大きいものを選ぶ。
- 種イモや用土が悪いと、乾腐病が発生し、収穫が皆無になる。
- 汚斑病にかかると、葉脈に沿って、淡褐色~黒褐色をしたシミのような病斑ができ、葉が汚らしくなる。病気が進行すると葉が枯れるが、生育後期なら、放置しても差し支えない。(生育前半に発病した場合は、被害葉を取り除く。)
- ウイルス病にも、比較的かかりやすい。
- 害虫は、アブラムシやハダニ、ヨトウムシ、バッタなどが付く。
収穫・利用
- 8月下旬頃から小さなイモを早どり収穫できる。それをゆでた料理を「衣かつぎ(きぬかつぎ)」という。
- 収穫作業は晴天の日に行い、茎葉を切り捨てて、日なたでよく乾燥させる。収穫後のイモは腐りやすいので、ゆでて冷凍保存する。生のまま保存する場合は、よく乾かして新聞紙に包み、温度変化の少ない冷暗所に置く。
- 葉柄が緑色の系統は、収穫したイモにえぐみが残っていることがある。えぐみの正体はシュウ酸カルシウムなので、調理前に下茹ですれば減少する。なお、春まで長期間保存した場合も、えぐみは自然に消える。
- 寒冷地以外の地域では、地面を深さ50cmほど掘って、収穫したイモを、芽を吹かないよう逆さまにして埋め、その上に土を盛ってビニールシートなどを被せておけば長期間保存できる。
(※データ:大阪市基準)