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素人園芸解説 -私はこう育てる-

アスプレニウム

イメージ

原産地

アジアの熱帯~亜熱帯・太平洋諸島

アスプレニウム科(またはチャセンシダ科)

高さ

50~150cm

花期

シダ類なので花は咲かない

形態

多年草(着生植物)

別名等

アスプレニウム・ニドゥス(学名)/ネオットプテリス・ニドゥス(異名)/ニダス/シマオオタニワタリ/島大谷渡/タニワタシ/谷渡し/バーズネストファン


(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり(暖地なら戸外で霜除け)。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】シダ類としては、比較的乾燥に強い。株の中心の、黒っぽい塊状部分にも水をかける。

肥料

5~9月に、10~14日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

【補足】見かけによらず肥料を好む。株の中心の黒っぽい塊状部分にも液肥をかけ、緩効性肥料を置く。

植え替え

4月下旬~10月上旬(酷暑期は避けたほうがよい)。

【補足】すぐ根詰まりするので、なるべく毎年行う。

整姿

特に無し。

繁殖

【胞子まき】4~9月。(土はかけない。まき床にガラス板などをかぶせ、適湿の環境を保つ。)

【小株採取】4~10月(ダウシフォリウムのみ可能)。

耐暑性

強い。

耐寒性

最低5℃を保つとよい。

解説

  1. かなり種類が多いが、園芸上、「アスプレニウム」というと、アジア~太平洋諸島に広く自生するシマオオタニワタリと、伊豆諸島や四国以南に自生するオオタニワタリの二種類を指す。最もよく見かけるのは、シマオオタニワタリの小型品種「アビス」である。いずれも放射状に広がる葉が昆布のようで、ビニールのような光沢がある。
  2. シマオオタニワタリとオオタニワタリの二種については、アスプレニウム属(チャセンシダ属)から分離し、ネオットプテリス属(オオタニワタリ属)に分類することもある。
  3. シダの仲間なので、花は咲かず、葉裏に胞子をつける。シマオオタニワタリは、葉の主脈の両脇に、控えめに胞子が出るだけ(葉幅の1/2まで)だが、オオタニワタリは、葉裏の大部分(2/3以上)に、びっしり胞子が出る。
  4. モーリシャスやレユニオン島原産のダウシフォリウムは、葉に細かい切れ込みが多く入り、かなり雰囲気が異なる。葉脈上に子株を付ける性質がある。
  5. 葉に子株を生じる種類は他にもあり、ツンベルギー、ブルビフェルムなどが該当する。日本に自生する同属のクモノスシダやヒノキシダも、葉先から子芽を出す。
  6. その他、タマシダに似た櫛状の葉を持つカミガモシダ、チャセンシダなども栽培される。

注意点・病害虫

  1. 温暖な季節に、葉裏の胞子を削り取って清潔なまき床にまき、ガラス板などの覆いをかぶせて湿度を保てば、容易に殖やせる。胞子が前葉体に育ったら、徐々に覆いを外し、外気に慣らす。
  2. 着生植物だが、普通の培養土に植えても問題ない。ただし、水はけよく植え込み、過湿に気を付ける。
  3. この仲間は、株の中心に落ち葉などを溜めて自家製腐葉土を作り、そこから養水分を吸収する。従って、水やりや施肥も、株の中心部に集中的に行う。
  4. シダ類はナメクジがよくつくので、しっかり駆除しておく。放置すると、見るも無残な姿となる。なお、シマオオタニワタリの品種「フィンブリアツム」は葉がボロボロだが、ナメクジにやられたわけではなく、元からである。

余談

  1. オオタニワタリの新芽は食用になるらしい。

各種の和名・異名

  1. アビスシダ(ニドゥス「アビス」)
  2. オオタニワタリ/大谷渡(アンティクウム)
  3. トラノオシダ/虎の尾羊歯(インシスム)
  4. アオガネシダ/青金羊歯(ウィルフォーディー)
  5. リュウキュウトリノスシダ/琉球鳥の巣羊歯(オーストララシクム)
  6. カミガモシダ/上賀茂羊歯(オリゴフレビウム)
  7. オニヒノキシダ/鬼檜羊歯/鬼桧羊歯(ケンゾイ)
  8. コバノヒノキシダ/小葉檜羊歯/小葉桧羊歯(サレリイ)
  9. フィリティス・スコロペンドリウム(異名)/コタニワタリ/小谷渡/ハーツタン/ハーツタンファーン/ディアタンファーン(いずれもスコロペンドリウム)
  10. モーリシャススプリーンワート(ダウシフォリウム)
  11. スダレシダ/簾羊歯(ツンベルギー)
  12. イワトラノオ/岩虎の尾(テヌイカウレ)
  13. チャセンシダ/茶筅羊歯(トリコマネス)
  14. イヌチャセンシダ/犬茶筅羊歯(トリプテロプス)
  15. ヌリトラノオ/塗虎の尾(ノルマレ)
  16. アオチャセンシダ/青茶筅羊歯(ビリデ)
  17. マザーファーン/マザースプリーンワート(いずれもブルビフェルム)
  18. ヒノキシダ/檜羊歯/桧羊歯(プロロンガツム)
  19. トキワトラノオ/常盤虎の尾歯(ペキネンセ)
  20. シモツケヌリトラノオ/下野塗虎の尾(ボレアレ)
  21. ヒメナスプレニウム・ホンドエンセ(異名)/ホウビシダ/鳳尾羊歯(いずれもホンドエンセ)
  22. クルマシダ/車羊歯(ライティイ)
  23. コウザキシダ(リトエンセ)
  24. イチョウシダ/銀杏羊歯(ルタ-ムラリア)
  25. クモノスシダ/蜘蛛の巣羊歯(ルプレクティー)
  26. トキワシダ/常盤羊歯(ヨシナガエ)

(※データ:大阪市基準)