サボテン類
イメージ
原産地
南北アメリカの温帯~熱帯
科
サボテン科
高さ
0.02~20m(種類による)
花期
周年(種類による)
形態
多年草または常緑半低木
生育型
夏型
別名等
仙人掌/シャボテン/カクタス
(※系統ごとの通称・俗称はページの一番下にまとめた)
(※各種の和名・異名はこちらのページにまとめた)
日照
4月上旬~11月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は30~50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。
【補足】日光不足になると、細長く徒長したり、白っぽくなったりする。種類によっては、越冬中に日光不足になると開花しない。
水やり
生育期は、土の表面が乾いて2~3日後に与える(多肉植物なので、乾き気味に管理)。夏越し中は、月に二~三度とし、越冬中は、月に一度か、断水する。
【補足】腐るもとなので、雨に当てない。種類によっては、越冬中に水が多いと、開花しにくい。
例外的に、「兜丸」は、温度を5℃以上に保ちつつ、霧吹きなどで月一~二度、水やりをする。
肥料
4~5月に、固形肥料の置き肥。
【補足】生育が盛んな株は、5~7月と、9~10月にも、2週間に一度の液肥を施す。
植え替え
3月下旬~5月中旬か、9月上旬~10月上旬(春のほうがよい)。
【補足】1~3年に一度行う。(入手しやすい種類の多くは植え替えを好むので、なるべく毎年行う。)植え替え後、数日経ってから水やりを再開する。
例外的に、「有星類(アストロフィツム属に見られる、表面に白い点々がある種類)」は根が弱いため、切り詰めない
整姿
日光不足で細長く伸びてしまった株は、挿し芽などで更新する。
繁殖
【子株採取】植え替えと同時期。
【タネまき】4月上旬~6月上旬(土はかけない)。
【挿し芽・胴切り・接ぎ木】3月下旬~7月上旬か、9月。(挿し芽は、挿し穂を1~2日置き、切り口が乾いてから挿す。胴切りは、草丈の1/2より少し上の部分で水平に切断し、切り口から子株を出させる。)
耐暑性
わりと強いが、真夏は半休眠状態。
【補足】暑さに弱い種類も少なくないので、できる限り涼しく過ごさせる。特に、蒸れは禁物。
耐寒性
種類によるが、最低5℃を保つと無難。
【補足】高温にあわせない。
解説
- サボテン科は、100以上の属に分かれ、擁する原種・園芸品種は数千にも及ぶ。そのため、草姿や性質はきわめて変化に富み、その栽培法を一概に括るのは乱暴なのだが、なんとか、基本的な事柄をまとめてみた。
- サボテンは多肉植物の一種だが、あまりにも仲間が多いため、普通は「サボテン・多肉植物」と、分けて表記する。サボテンの特徴は、トゲの生えるフワフワした部分「刺座」(「アレオーレ」ともいう)を持つことである。サボテン以外の多肉植物の中にも、サボテンに似た姿をしたものがあるが、「刺座」を持たないため、サボテンとは区別される。
- サボテンは、大きく分けて、玉サボテン・柱サボテン・ウチワサボテンの三つの形態がある。また、用途によっても、美しい花を楽しむ種類・面白い姿形を楽しむ種類・個性的なトゲを楽しむ種類、に分かれる。
- 普及している主な種類だけでも、かなりの数に昇る。ごく一部の例を挙げると、アストロフィツム「鸞鳳玉」、アポロカクタス「金紐」、エキノカクタス「金鯱」、エキノセレウス「ローマエビ」、エキノプシス「花盛丸」「金盛丸」「短毛丸」、エリオカクタス「金晃丸」、オプンチア「大丸盆」「金烏帽子」、カマエセレウス「白檀」、ギムノカリキウム「海王丸」、セレウス「ヤマカル柱」、セレニセレウス「袖ヶ浦」、ノトカクタス「菫丸」、ハーゲオセレウス「黄金柱」、パロディア「緋繍玉」、ヒロセレウス「三角柱」、ブラジリカクタス「雪晃」、マミラリア「黄金司」「月影丸」、ミルティロカクタス「竜神木」、レブチア「緋宝丸」「宝山」、ロホホラ「烏羽玉」など。
- カマエセレウスとロビビアの属間交配で生まれた「カマエロビビア」、エキノプシスとロビビアの属間交配で生まれた「ロビビオプシス」など、人工属もいくつか作られている。
- ディスコカクタスやメロカクタスの仲間は、成株になると、頂部に綿毛を密生し、帽子をかぶったような「花座」を作る。花はここから咲く。
- 球形や円柱形、団扇状の種類が多いが、中には、「岩牡丹」「亀甲牡丹」「姫牡丹」などのように、厚い葉が放射状に重なり合い、株全体が蓮華の花のような形をした種類もある。
- 木の葉サボテンといわれる、「杢キリン」や「桜キリン」は、一見、小さな木のような姿だが、れっきとしたサボテンの仲間で、「刺座」も持つ。
- 全体が真っ赤な「緋牡丹」や、全体が淡黄色の「山吹」のように、葉緑素を全く持たないサボテンは、単独では生きられないため、葉緑素を持つ別種のサボテンに接ぎ木して育てる。台木には、「黄大文字」「三角柱」「仙人閣」「袖ヶ浦」「太郎閣」「竜神木」、ウチワサボテンの仲間、杢キリンの仲間などが適する。くれぐれも台木を枯らさないように。(台木を枯らしてしまったら、新しい台木に接ぎ直す。)
- 百円ショップなどで見かける、インテリア用のミニサボテンは、タネから育てられたもので、多くの場合、正式名称が明示されていない。しかし、比較的育てやすい種類が多い。鉢が窮屈な上に、用土がノリで固められていることが多いため、入手したら早めに土を落として植え替える。
- なお、シャコバサボテンやクジャクサボテン、月下美人、リプサリスなども、森林性サボテンの一種だが、性質や栽培方法が異なるため、ここでは触れない。いずれも別ページで解説済み。
- トロピカルフルーツとして知られるピタヤ(ドラゴンフルーツの仲間)は、三角柱とも呼ばれ、接ぎ木の台木に使われる。食べた果実からタネを採ってまくことも可能。これも別ページで解説済み。
注意点・病害虫
- 多肉植物なので、用土の水はけに注意する。赤玉土や軽石砂などを主体としたサボテン専用土を使うのが無難。過湿にして腐らせてしまったら、腐った部分を刃物で切り落としてから、挿し木で仕立て直す。
- トゲが危ないので、植え替えなどの作業は、革手袋をはめて行う。ウチワサボテンのトゲは、カギ状になっており、刺さると非常に抜けにくい。
- 多くの種類はそれなりの耐暑性を持つが、夏を涼しく過ごさせるに越したことはない。なお、アメリカ南西部(アリゾナ州・コロラド州・ニューメキシコ州など)~メキシコの高地に自生する種類は、高山植物的な性質を持ち、栽培が難しい。なお、サボテン・多肉植物の世界では、そのような植物を「難物」と呼ぶ。
- 寒さにも比較的強く、最低5~8℃を保てばよい(例外あり)。冬はゆっくり休眠させ、加温しない。ウチワサボテン類は、暖地なら戸外で越冬できるものが多い。
- カイガラムシが付きやすいので、ボルンなどの専用殺虫剤で駆除する。少数なら、歯ブラシなどでこすり落とす。また、根に付くネジラミ類は、被害が見えにくく、植え替え時に気付くことが多い。オルトランなどで駆除する。
- すそ腐病になると、地際に近い部分が褐色に腐敗し、その後乾燥して灰白色になる。株が枯れることはないが、不安定になるので、挿し木などで仕立て直したほうがよい。
- ウイルス病にかかると、モザイク模様や奇妙な斑紋、えそなどを生じる。また、天ぐ巣病にかかると、細い茎節がホウキ状に発生する。いずれも治療不可能で、周囲に伝染するので処分する。
- サボテンの接ぎ木は、その他、生育の遅い種類を早く大きくしたい場合や、弱った株を仕立て直したい場合などにも行われる。手順は下記の通り。
- 台木の接合予定部を水平に切る。このとき、先端1cmほどを必ず切除し、台木の生長を完全に止めるのを忘れない。また、接合予定部は、なるべく、組織が若く活着しやすい、高い位置(先端に近い位置)を選ぶ。
- 台木の切り口の周囲を少し削ぎ落とし、面取りをする。これを怠ると、時間が経つにつれて、切り口の中央が陥没し、穂木が活着しない。
- 穂木の接合予定部を水平に切る。切る位置はお好みで。
- 台木と同様、穂木も、切り口の周囲を少し削ぎ落として、面取りをする。穂木が小さく、作業しにくければ、無理に行う必要はない。
- 接合予定部が乾かないうちに、穂木を台木の上に置き、切り口同士を密着させる。もし切り口が乾いてしまったら、もう一度、切断からやり直す。
- 上から手早く糸をかけ、接合部がずれないよう、しっかりと固定する。接合部がぐらつくと、台木と穂木の切り口から粘液が出て、活着が悪くなる。
- 作業後は、接ぎ木部に水をかけないように管理する。穂木を固定する糸は、接ぎ木後5~7日間は外さないようにする。
余談
- サボテンの仲間は、全草が食用になるらしい。中には、「烏羽玉」やパチャノイのように、麻薬成分を含む種類もある。日本国内で入手できる「烏羽玉」は成分を含まないと聞いたことがあるが、詳細は不明。(おそらくウソ。)
- サボテンステーキは、ウチワサボテンのトゲ無し種(「バーバンク団扇」など)から作るらしい。あくまでもサボテンなので、肉のように美味しいものではない。
系統ごとの通称・俗称
- 牡丹サボテン(アリオカルプス属の総称)
- 毛柱類(エスポストア属の総称)
- ウチワサボテン/団扇サボテン(オプンチア属の総称)
- 多稜玉(ステノカクタス属の総称)
- オールドマンカクタス(セファロセレウス属の総称)
- 花座サボテン(ディスコカクタス属、メロカクタス属の総称)
- 強刺類/バレルカクタス(いずれもフェロカクタス属の総称)
- 木の葉サボテン(ペレスキア属の総称)
- イボサボテン(マミラリア属の総称)
- タークスキャップ(メロカクタス属の総称)
各種の和名・異名はこちらのページにある。(あまりに数が多いため、別ページに分けた。)
(※データ:大阪市基準)