いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

チランジア

イメージ

原産地

北アメリカ南部~南アメリカ

パイナップル科(またはブロメリア科)

高さ

1~300cm(種類によって差が激しい)

花期

4~9月(種類による)

形態

多年草(着生植物)

別名等

ティランジア/チランドシア/エアプランツ/エアープランツ


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

【銀葉種】4月中旬~11月上旬の生育期は、西日を避けた戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は30~50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり。


【緑葉種】4月中旬~11月上旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、室内の日当たり

水やり

【銀葉種】生育期は、7~10日に一度のシリンジ(株全体に霧吹き)、加えて、月に一度のソーキング(株全体を6~12時間、水に沈めた後、逆さにして葉の間の水を捨てる)。(乾燥を好むので、特に乾き気味に管理。)
越冬中は、月に2~3回のシリンジのみ。


【緑葉種】生育期は、1~2日に一度のシリンジ(株全体に霧吹き)、加えて、7~10日に一度のソーキング(株全体を6~12時間、水に沈めた後、逆さにして葉の間の水を捨てる)。
越冬中は、月に2~3回のシリンジのみ。


【補足】ソーキングを長時間行うと株が窒息するため、12時間を限界とする。夜間に気孔を開く性質があるので、夕方~早朝に水やりを行うと効果的とされるが、日中でも吸水するので、夜間の水やりにこだわりすぎる必要はない。
葉の合わせ目に水をためると、そこから腐ることがある(タンクタイプを除く)。系統がわからなければ、とりあえず銀葉種並みに扱ってみる(その場合、緑葉種などは、水不足のために生育が遅くなる)。

肥料

4~10月に、週に一度、1,000倍以上に薄めた液肥を施す(株全体に液肥をかける)。

【補足】特に施さなくても支障はない。濃い肥料は危険。

植え替え

4月下旬~6月上旬か、9月中旬~10月上旬(鉢植えの場合のみ)。(着生作業は4~6月に行う。)

整姿

特に無し。

繁殖

【子株採取】5~9月(開花後に出ることが多い)。

【タネまき】採ってすぐにまく。(毛が付いたままのタネを二日間水につけ、コルク板などになすりつける。実生苗の生長はとても遅く、開花まで5~10年かかる。)

耐暑性

わりと強いが、強光と蒸れに注意。

耐寒性

多くの種類は最低5℃を保てばよいが、10℃あるほうが安全。

解説

  1. パイナップル科の植物は、「アナナス」「ブロメリア」などと総称され、非常に多くの種類を擁する。このチランジア属の植物は、「エアープランツ」の名で知られる。
  2. 株姿や性質から、次のような系統に分けられる。園芸品種も年々増えている。
    • 銀葉種…細かい毛のような鱗片(「トリコーム」という)で覆われ、株全体が白っぽく見える種類。乾かし気味に育てる。主な種類は、アルビダ、イオナンタ、キセログラフィカ、クロカタ、ストラミネア、ハリシー、パレアセア、プルモサ、テクトルム、マグヌシアナなど。
    • 緑葉種…目立つ鱗片が少なく、葉が緑色に見える種類。わりと水好き。主な種類は、グァテマレンシス、クロロフィラ、シアネア、トリコロール、ブッツィー、ブラキカウロス、ブルボサ、フラベラータなど。
      • タンクタイプ(タンクブロメリア)…株元が少し膨らみ、そこに葉の基部が重なり合って、貯水機能を持つ種類。葉は緑色。水を好み、鉢植えでよく育つ。主な種類は、ビフロラ、ビリディフローラ、プンクツラータ、レイボルディアナなど。
        なお、株姿こそ似るが、「壺型種」と呼ばれるグループ(セレリアナなど)とは別物である。
    • 中間種…銀葉種と緑葉種の中間型。ただし、現在はこのような分類をせず、どの種類も、銀葉種または緑葉種に入れるようである。
  3. 成株になると花が咲く。花色は紅、青紫、白、黄などで、同時に葉が赤く染まる種類もあり、観賞価値が高い。花が終わると、親株は数年以内に枯れるが、新たに子株が複数出て、だんだん数が殖えていく。
  4. 枯れた花をそのままにしておくと、結実することがある。完熟するとはぜて、長い綿毛のついたタネが現れる。このタネを親株の近くに付けておくなどすると発芽し、実生苗が得られる。実生苗の生育はきわめて遅い。
  5. しばしば、裸のままバラ売りされたり、コルクや木の枝に接着剤で付けた状態で売られている。が、シアネアのように、常に鉢植えで市販される種類もある。
  6. よく見かけるキセログラフィカやハリシーは、ワシントン条約で保護されている種類。市販品は増殖品のため、栽培可。
  7. 市販されている種類のうち、コルビー(イオナンタ・スカポサ)やベリッキアナ、マグヌシアナなどは暑さに弱く、暖地では長生きしない。セレリアナやブッツィー、プラジオトロピカ、プルプレア、マツダエなども暑さを嫌うが、こちらは風通しに気を付ければ何とかなる。
  8. アンドレアナやフンキアナ、ブルボサなどは、意外にも寒さに弱く、最低10℃を保つ。
  9. 耐寒性が強いのは、クシフィオイデス、フィリフォリア、ベルゲリなど。暖地なら、寒風にさらしたり凍らせたりしなければ、戸外でも越冬する。その他、アエラントス、アルゲンティナ、ウスネオイデス、カリギノサ、メラノクラテルなども、比較的耐寒性がある。
  10. 初めて栽培するなら、アエラントス、アラウジェイ、アルゲンティナ、アルビダ、アルベルティアナ、イオナンタ、イキシオイデス、エーレルシアナ、エクセルタ、カピタタ、カプットメデューサエ、キセログラフィカ、クシフィオイデス、コンコロール、シアネア、ジュンセア、ジュクンダ、ストリクタ、ストレプトカルパ、ストレプトフィラ、テクトルム、テヌイフォリア、デュラティー、トリコロール、ハリシー、パレアセア、ファシクラタ、ブラキカウロス、プルイノサ、プンクツラタ、ベイレイ、ベルゲリ、レクルビフォリアなどがおすすめ。一般向けの園芸店や百円ショップにある市販品には、あまり気難しい種類がないので、値段の安いものから気軽に挑戦を。

注意点・病害虫

  1. 百円ショップなどでもよく見かけるが、管理の悪い店だと、店内で既に枯れていることも珍しくない。
  2. 根は、木や岩などに張り付くためのものといっても過言ではなく、他のアナナス類に比べると、養水分を吸収する力が弱い(タンクタイプを除く)。そのため、水やりや施肥は株全体にかけ、株の表面の鱗片から直接吸収させる。
  3. 空気中の水分を吸収するので水やり不要といわれるが、それは、霧や夜露がしばしば発生する自生地での話。生き物なので、当然水やりは必要である。葉が丸まったり、シワがよったら水切れの合図。
  4. 水やりの際は、霧吹きで行えば、与えすぎずにすむ。余裕があれば、ソーキング(株全体を6~12時間水に沈める)も併用すると効果的。腐れ防止のため、水やり後は株を振り、しっかり水気を切る。
  5. 緑葉種ではないが、ウスネオイデスやマレモンティーなどは、茎葉が非常に細いため、水切れに弱い。春から秋まで、ほぼ毎日、水を与える必要がある。冬は、加湿器のある部屋に置くと機嫌がよい。
  6. アナナス類には、一度花が咲くと、その株からは二度と咲かない性質があり、チランジアも例外ではない。しかし、花後に数個の子株を吹くので、それを上手に育てると、1~3年くらいで、また花を付ける。
  7. この仲間は、何よりも風通しを好むので、ヘゴ板や木の枝、コルク板などに着生させ、雨が直接かからない場所に吊り下げるとよい。
  8. 着生させるには、根が伸びて張り付くまで、針金か糸で縛り付けておくが、きちんと付くまで何カ月もかかる。そんなに待てなければ、グルーガンや木工用ボンドでくっ付ける。その場合、根元の中心部分(発根部)を避けて接着剤を塗らないと、発根を妨げるので注意。
  9. 着生に成功すれば、根を長く伸ばしてがっちり張り付き、引っ張ったくらいでは外れない。この状態になると株が安定して機嫌がよくなり、生長速度も上がる。
  10. 緑葉種など高い空中湿度を好む種類は、着生させて吊り下げる方法だと、湿度が足りないため、生長が遅い。吊るした株の真下に頻繁に打ち水をすると、空中湿度が上がりよく育つが、面倒である。軽石か洋蘭専用土を使い、鉢植えにするとよく育つ。
  11. 病虫害はほとんど無い。たまにカイガラムシやハダニなどが付くが、ソーキングでほぼ壊滅できる。

各種の和名・異名

  1. クラベル・デル・アイレ(アエラントス)
  2. ウンカ(アルゲンティナの異名)
  3. スカイプラント(イオナンタ)
  4. スパニッシュモス/サルオガセモドキ(いずれもウスネオイデス)
  5. キアネア/ハナアナナス/タチハナアナナス(いずれもシアネア)
  6. シルシナータ(パウシフォリア)
  7. イムノラム(ハリシー)
  8. ブラキカウロス・ムルチフロラ(ベルティナの誤った名)
  9. ハナアナナス/ブルーフラワードトーチ(いずれもリンデニー)
  10. メリディオナリス(レクルビフォリアの異名)

(※データ:大阪市基準)