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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ウラシマソウ/ムサシアブミ

イメージ

原産地

東アジア~ヒマラヤ・東南アジア・アラビア半島・ヨーロッパ南部~西部・北アフリカ東北部・北アメリカ東部~メキシコ

サトイモ科

高さ

20~120cm(種類による)

花期

4~6月

形態

秋植え球根

別名等

アリサエマ(属名)/テンナンショウ/天南星/コブラリリー/ジャック・イン・ザ・プルピット


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

10月上旬~7月上旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(花後すぐ~葉が枯れるまでは50%遮光)。
休眠期は、涼しい日陰。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。休眠期は、ごく控えめに。

【補足】腐りやすいとはいえ、用土の乾かしすぎは禁物。空中湿度も高めに保つ。

肥料

秋の元肥の他、2月上旬~6月中旬に、週に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

植え替え

9月上旬~12月上旬、5号鉢に1~3球。

【補足】深さ5cm。3年に一度行う。

整姿

特に無し。

繁殖

【分球】植え付け時(種類によっては、子球ができにくい)。

【タネまき】採ってすぐにまく。(果肉をきれいに落とす必要はない。発芽は翌春と遅いため、その間、乾かさない。)

耐暑性

わりと強いが、地上部が無いので存在を忘れない。

耐寒性

やや弱く(-5℃)、凍らせない。

【ウラシマソウ】強い(-25℃)。

解説

  1. この仲間は全てテンナンショウ属に属する。日本でも各地に自生が見られ、いろんな種類があるが、暑さに弱く気難しいものが多い。比較的育てやすいのは、ウラシマソウ、ムサシアブミ、ユキモチソウなど。斑入り葉の品種もある。
  2. ウラシマソウは、花軸の先端部(付属体という)が糸状に伸び上がり、途中から垂れ下がる。これを浦島太郎の釣糸に見立ててこの名が付けられた。近い仲間にナンゴクウラシマソウ、ヒメウラシマソウなどがある。なお、ヒメウラシマソウの花を正面から見ると、ミミズクの顔に似ている。最近は、緑色花(素心花)や、濃赤花の品種も出ている。
  3. ムサシアブミは、仏炎苞の形が、鐙(あぶみ=馬具の一種で、馬に乗ったときに足を載せる部分)に似ているため、この名がある。
  4. ユキモチソウは、その名の通り、花軸の先端部が、白い丸餅のような形をしている。触ると軟らかい。
  5. その他、アマミテンナンショウ、キリシマテンナンショウ、マイヅルテンナンショウ、ミツバテンナンショウ、モモイロテンナンショウなどが栽培される。モモイロテンナンショウは中国産。花は白~淡桃色で、芳香がある。比較的耐寒性が強い(-15℃)。
  6. 日本各地の山地で見られるマムシグサも同じ仲間である。栽培されることは少ない。
  7. この仲間の多くは雌雄異株で、球根がやせると雄に、球根が肥え太ると雌に性転換することで知られる。(成熟前の幼株は無性、つまりどちらでもない。)立派な花を咲かせ、結実させるには、手持ちの株をしっかり肥培し、雌株にする必要がある。

注意点・病害虫

  1. 春になると芽を出して開花し、気温が高くなると葉を枯らして休眠する。(休眠に入る時期は、種類によって異なるが、普通は6~7月頃。)夏の直射日光に当てると葉が焼け、一気に枯れて休眠してしまう。短い生育期間に、どれだけ長く葉を残しておけるかが、栽培成功の鍵を握る。早くに枯らすと、球根が肥大しない。なお、花後に結実した場合は、タネが熟するまで休眠しない。
  2. 耐寒性は今一つで、地植えは、関東地方南部以西の暖地向き。それ以外の地域では鉢植えにし、無加温の室内で越冬させた方が安全。
  3. ウラシマソウは親球の寿命が短い。数年おきに子球を分けて、後継株を育てておく。
  4. この仲間は葉が大きく、強風に弱い。葉が折れると生育に悪い影響が出るため、鉢の置き場所に注意。支柱を立てるのもよい。
  5. 結実すると、橙~赤色の果実がたくさん固まって付き、秋に完熟して、茎ごと倒れる。中のタネを取り出してまくと、簡単にふやせる。なお、種類によっては、タネまき後一年目は茎葉を出さず、地下で球根を作ることに専念するものがある。
  6. 高温期になると、球根が腐る病気が発生しやすい。できれば定期的に殺菌剤を土中に灌注する。なお、球根の腐敗を恐れるあまり、潅水量を控え目にしすぎると、新芽が傷む。
  7. 有毒植物だが、球根は、漢方で去痰の薬として用いる。

各種の和名・異名

  1. ホソバテンナンショウ/細葉天南星(アングスタツム)
  2. カミコウチテンナンショウ(イシズチエンセ亜種ブレビコルム)
  3. イナヒロハテンナンショウ(イナエンセ)
  4. ツンベルギー亜種ウラシマ(異名)/ウラシマソウ/浦島草(いずれもウラシマ)(※学名と和名が同一)
  5. アシウテンナンショウ(オバレ変種オバレ)
  6. ヒメウラシマソウ/姫浦島草(キウシアヌム)
  7. キシダマムシグサ(キシダ)
  8. モモイロテンナンショウ/桃色天南星/モモバナテンナンショウ/桃花天南星(いずれもキャンディディッシムム)
  9. クルマバテンナンショウ(コンサンギネウム)
  10. キリシマテンナンショウ/霧島天南星/ヒメテンナンショウ/姫天南星(サゼンソー)
  11. ユキモチソウ/雪餅草/歓喜草(いずれもシコキアヌム)
  12. ジャポニクム(異名)/マムシグサ/蝮草(いずれもセラツム)
  13. オオマムシグサ/大蝮草(タケダエ)
  14. ナンゴクウラシマソウ/南国浦島草(ツンベルギー亜種ツンベルギー)
  15. アメリカテンナンショウ(トリフィルム)
  16. シマテンナンショウ/島天南星(ネギシ)
  17. マイヅルテンナンショウ/舞鶴天南星(ヘテロフィルム)
  18. コウライテンナンショウ/高麗天南星(ペニンスラエ)
  19. ヒトツバテンナンショウ/一つ葉天南星(モノフィルム)
  20. スルガテンナンショウ/駿河天南星(ヤマテンセ変種スギモトイ)
  21. ムサシアブミ/武蔵鐙(リンゲンス)
  22. ミミガタテンナンショウ(リンバツム)
  23. ヒロハテンナンショウ/広葉天南星(ロブスツム)

(※データ:大阪市基準)