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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ヤマノイモ

イメージ

原産地

日本(本州以南)・中国~東南アジア

ヤマノイモ科

高さ

2~5m(つる性)

花期

7~9月

形態

春植え球根

別名等

ディオスコレア・ジャポニカ(学名)/山の芋/ヤマイモ/山芋/ジネンジョ/ジネンジョウ/自然薯/ジャパニーズヤム


ナガイモ/長芋/ヤマイモ/山芋/チャイニーズヤム(いずれもバタタス)

日照

4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外の直射日光下。
越冬中は、日光に当てなくてよい。

【補足】耐陰性があり、多少の日陰なら耐える。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。休眠期は、断水する。

【補足】7月以降の水切れは、イモの肥大に悪影響があり、亀裂が入る原因にもなる。

肥料

春の元肥の他、6月と、8月に、固形肥料の置き肥。

植え替え

4月上旬~5月上旬。6号鉢に1球、深さ3~5cm、株間30~35cm。

【補足】細長く尖ったように見える方を上にする。

整姿

つるがよく伸びるので、しっかり誘引する。6月下旬頃、株元にマルチングをすると、真夏の乾燥を防げる。

繁殖

【ムカゴ採取】10~11月。

【分球】植え付け時。

耐暑性

とても強い。

耐寒性

強い(-10~-20℃)が、寒地では室内が無難。

解説

  1. ヤマイモ類は、下記のような系統に分かれる。ここで取り上げた「ヤマノイモ」とは、このうち、ジネンジョのことである。
    • ジネンジョ(自然薯)…山野に生える野生種。作物として栽培されることは少ない。イモは円柱状で、きわめて細長く、あちこち曲がっている。
    • ダイジョ(大薯)…亜熱帯~熱帯性。日本での栽培例は少ない。イモはジャガイモに似た、いびつな球状。(一部に、細長いものや扇形をした系統もある。)
    • ヤマイモ(山芋)
      • イチョウイモ…イモは扇形。
      • ツクネイモ…イモはいびつな球状。地方品種が多い。
        • ヤマトイモ(大和芋)…表皮が黒っぽいもの。
        • イセイモ(伊勢芋)…表皮が白っぽいもの。
      • ナガイモ…イモは円柱状。野菜売り場で普通に見かける。
    ただし、地方によって、イモの名前がよく入れ替わるのでややこしい。例えば、イチョウイモの一種を「ヤマトイモ」「ツクネイモ」と呼ぶ地域もある。
  2. つるが旺盛に伸び、暑さにも強いので、フェンスなどに這わせれば日除けになる。ただし、あまり分枝しない上、葉が密に茂る植物ではないので注意。
  3. 葉に斑が入る品種もあり、観賞に適する。なお、冬は地上部が枯れ、イモやムカゴだけが残る。
  4. 雌雄異株である。雄花は上向きに、雌花は下向きに付く。
  5. 葉脇にムカゴがよく付き、これを植え付ければ簡単に殖やせる。
  6. ヤマノイモによく似たオニドコロは、葉が互生(互い違いに付くこと)する、ムカゴができない、塊根が苦い、などの違いがある。また、日本の自生は北海道~九州までである。こちらは毒性があるので、間違えない。単に「トコロ」とも呼ぶ。(学名もディオスコレア・トコロという。)
  7. その他、カエデドコロやタチドコロなども、日本の山地に自生している。いずれも花は淡い黄色。食用にはしない。

注意点・病害虫

  1. ムカゴは、下向きに垂れたつるによく付くが、あまりたくさんのムカゴが付くと、地下のイモの肥大が悪くなる。そのため、食用に栽培される他のヤマイモ類(イチョウイモ、ナガイモ)は、つるを地面に這わせるか、支柱を立てて上向きに誘引し、なるべくムカゴが付かないよう配慮する。
  2. 放任していると、周囲にムカゴをばらまき、勝手にどんどん殖える。
  3. この仲間は、ネコブセンチュウの被害を受けやすいので、連作しない。
  4. 病気は、炭疽病やウイルス病に注意する。もっとも、市販の種イモは、たいてい、最初からウイルスに罹病しているらしい。

余談

  1. 10~2月頃に採取できるイモは、長さ1m以上にもなり、食用になる。が、非常に細長く伸びることから、鉢植えでの収穫は無理がある。よいイモが欲しければ、地植えに限る。植え付け予定地は、最低でも深さ1m以上掘り、よく耕す。「袋栽培」でも作れる。連作は不可。
  2. ムカゴも食用になる。
  3. 食用種のヤマイモ類も、基本的に育て方は変わらない。ナガイモ以外は暖地性なので、寒地で栽培するときは、本格的な冬がくる前に収穫を終える。収穫は11月頃から可能。
  4. ナガイモの種イモは、植え付け前に、重さ100~150gくらいずつ、ぶつ切りにする。イチョウイモやツクネイモの種イモは、重さ50~70gくらいずつに切り分けるが、この時、縦方向に分割するのがコツ。刃物を使わず、手で割ってもよい。種イモの傷口が乾いたら植え付け可能だが、ナガイモ以外のイモは、切り口を下に向けて植えると腐りにくい。
  5. ダイジョは10℃以下で腐ってしまうので、鹿児島・熊本以南の極暖地でなければ作りにくい。貯蔵性も低い。最近は、肉色が紅紫色をした「紫ヤマイモ」が人気である。その他、肉色が紅色の品種もあるらしい。
  6. ヤマノイモの仲間のイモは、正確には根ではなく、かといって茎でもない、「担根体」という物である。この仲間にしか見られない、特殊な器官らしい。

(※データ:大阪市基準)