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素人園芸解説 -私はこう育てる-

オナガエビネ/ツルラン

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原産地

日本(九州南部以南)・ヒマラヤ・中国南部~東南アジア・オーストラリア東部

ラン科

高さ

20~80cm

花期

7~10月(種類による)

形態

多年草

別名等

【オナガエビネ】カランセ・ロンギカルカラタ(学名)/カランセ・マスカ(異名)/尾長海老根

【ツルラン】カランセ・フルカタ(学名)/カランセ・トリプリカタ/カランセ・ベラトリフォリア(いずれも異名)/鶴蘭


(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

4月上旬~11月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(7月上旬~9月上旬は50~70%遮光)。
越冬中は、室内で0~10%遮光。

【補足】耐陰性が強く、かなりの日陰でも耐える。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。越冬中は、ごく控えめに。

【補足】病気の元なので、雨に当てないほうがよい。

肥料

4月上旬~6月上旬と、9月中旬~10月下旬に、10~14日に一度の液肥、または固形肥料の置き肥。

植え替え

3月下旬~4月下旬か、9月中旬~10月中旬。

【補足】2~3年に一度行う。腐った根は取り除き、生きた根は切らない。バルブ(葉の下の膨らんだ部分)が隠れる程度の深さに植える。

整姿

葉の付け根を覆う「はかま」は、害虫の住みかになるので、茶色く乾燥したら取り除く。葉のない古いバルブ(葉の下の膨らんだ部分)は、茶色くなったり、しなびていれば切り取る。花が終わったら、花茎を根元から切る。

繁殖

【株分け・バルブ伏せ】植え替えと同時期(バルブ伏せは、葉のないバルブを2~3個ずつ植え付け、芽を出させる)。

【タネまき】10~11月。(親株の根元にまくとよい。発芽まで半年以上かかり、開花までさらに4~5年かかる。)

耐暑性

強いが、強光に注意。

【山地~高山性種】弱い

耐寒性

最低8℃を保つとよい。

解説

  1. いずれも、南方系の夏咲きエビネの一種である。春咲きエビネに比べると、全体的に大型。やや寒さに弱いが、丈夫で育てやすく、花もよく咲く。
  2. ツルランは白花しかないが、オナガエビネ系の交配種は、株によって、かなり花色の濃淡に変化がある。基本的には赤紫色で、桃色や藤色、濃紅色などもある。
  3. 同様の性質を持つ夏咲きエビネ類としては、小笠原諸島に自生するアサヒエビネや、九州南部~南西諸島産のダルマエビネ(ヒロハノカラン)、ツルランとオナガエビネの自然交雑種とされる「リュウキュウエビネ」などがある。(※交雑種の「リュウキュウエビネ」は、本物のリュウキュウエビネ(学名:カランセ・オキナワエンシス)とは別物である。)
  4. 夏咲きエビネ類のうち、キソエビネやキンセイラン、ナツエビネは、耐暑性が弱く、暖地では栽培不適。なお、ナツエビネについては別ページで解説済み。
  5. 最近は、これらの夏咲きエビネ類同士を交配した園芸品種が増えており、花色や花型の幅が広がっている。交配種は、性質が丈夫なものが多く、気軽に栽培できる。

注意点・病害虫

  1. 葉が大きいため、水切れと乾いた強風は苦手である。葉先から枯れ込みやすいため、空中湿度を高めに保つのが望ましい。
  2. 春咲きエビネと同様、根が通気性を好むので、小豆~大豆大の用土を使うとよい。エビネ専用土で十分育つ。
  3. 病気は、ウイルス病が大敵。新葉や花に不規則な斑紋が現れたら要注意。
  4. カイガラムシやハダニが付きやすい。花期にはアブラムシの被害も受ける。

各種の和名・異名

  1. リュウキュウエビネ/琉球海老根/オキナワエビネ/沖縄海老根(いずれもオキナワエンシス)
  2. フォウリエイ(異名)/ダルマエビネ/達磨海老根/ヒロハノカラン(いずれもアリスミフォリア)
  3. リュウキュウエビネ/琉球海老根(オナガエビネとツルランの交雑種)

(※データ:大阪市基準)