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素人園芸解説 -私はこう育てる-

リンドウ

イメージ

原産地

日本(沖縄除く)・朝鮮半島・中国・台湾・インド北西部・シベリア・南ヨーロッパ

リンドウ科

高さ

3~150cm(種類による)

花期

【春咲き種】3~6月

【秋咲き種】8~11月

形態

宿根草または一~二年草

別名等

ゲンチアナ・スカブラ変種ブエルゲリ(学名)/竜胆/龍胆/ササリンドウ/笹竜胆/ササバリンドウ/笹葉竜胆/オコリオトシ


(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

戸外の直射日光下(7月上旬~9月上旬は30~50%遮光)。

【補足】日光が当たらないと花が開かない。

水やり

土の表面が乾けば与える(水切れは厳禁)。

【補足】病気が出やすいため、花や葉に水をかけない。

肥料

【春咲き種】花後すぐ~7月上旬と、10月に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。

【秋咲き種】3月下旬~7月上旬と、9月に、固形肥料の置き肥、または10~14日に一度の液肥。


【補足】いずれも、窒素(N)は控えめに。

植え替え

【春咲き種】9月下旬~11月上旬。

【秋咲き種】3月上旬~4月中旬。


【補足】いずれも1~2年に一度行う。根を切られることを嫌うため、なるべく傷めない。

整姿

高性種には支柱を立てる。秋咲き種は、5月中旬に、高さ10cm程度に切り戻し、伸びすぎを抑える。(矮性種は、5~7月の間に1~2回摘芯すると、形よく茂る。)花が盛りを過ぎてきたら、こまめに摘み取る。

繁殖

【挿し芽】4月下旬~6月下旬か、9月。(秋に行うと、翌年用の芽ができないうちに地上部が枯れることがあるので、初夏のほうがよい。挿し芽は、エゾリンドウやオヤマリンドウ、「いわて乙女」など、腋芽の出ない種類では行えない。)

【株分け】植え替えと同時期。

【タネまき】2~3月か、11~12月(採ってすぐにまけば、翌春発芽する)。

耐暑性

やや弱く、強光と乾燥に注意。

耐寒性

とても強い(-25℃)。

解説

  1. リンドウの仲間は、アフリカを除くほぼ世界中に分布しており、とても種類が多い。大きく分けて、春~初夏にかけて開花する「春咲き種」と、夏~秋に開花する「秋咲き種」があり、それぞれ管理の仕方が異なる。いずれも耐寒性が強い反面、耐暑性に欠けるため、寒地のほうが育てやすい。
  2. 春咲き種は、さらに、多年草種と、一~二年草種に分かれる。多年草種には、アコーリス「アルペンブルー」や、原種のアングスティフォリア、クルシー、プンクタタ、ベルナなどがある。プンクタタは春咲き種としては草丈が高く、60cmくらいになる。どの種類も暑さに弱いため、断熱鉢や抗火石鉢に植えるか、ロックガーデンに用いる。
  3. 春咲き種の一~二年草種には、ガビサンリンドウやコケリンドウ、ハルリンドウ、フデリンドウなどがある。タネで殖やすが、やや発芽率が悪い。翌春に開花させるには、6~8月にタネをまく。やはり暑さに弱いため、高温期は、できるだけ涼しく過ごさせる。
  4. 秋咲き種は、原種のシノ・オルナタ、ファーレリー、アサマリンドウ、イシヅチリンドウ、エゾリンドウ、エゾオヤマリンドウ、オヤマリンドウ、キリシマリンドウ、コベニリンドウ、トウヤクリンドウ、ミヤマリンドウ、モモイロイシヅチリンドウ、ヤクシマリンドウ、リンドウ(ササリンドウ)などがある。このうち、エゾリンドウ、オヤマリンドウ、リンドウの三種類は草丈が高くなる。
  5. 秋咲き種は、春咲き種に比べると耐暑性がある。ただし、エゾリンドウやオヤマリンドウ、トウヤクリンドウ、ミヤマリンドウなどは高山性で、暑さを嫌う。人気品種のエゾオヤマリンドウ「いわて乙女」も同様で、これは耐病性まで弱いので、暖地では育たない。
  6. 秋になるとよく見かける、草丈の低い鉢植えは、キリシマリンドウやツカサリンドウ、ナツリンドウ、ミヤマリンドウなどを元にして作られた交配種・園芸品種である。一般的なのは、交雑系のシンキリシマリンドウと、甘木系(福岡県甘木市で育成された品種の総称)の「福寿盃(ふくじゅはい)」など。
  7. 草丈の低い鉢植えリンドウは総じて性質が丈夫で、耐暑性がある。最近は品種改良がさらに進み、従来の青紫一色花ばかりではなく、「白寿」のように花が二色咲きになる美しい品種も登場している。放任していると茎が長く伸び、下葉から枯れ上がるため、春以降、5~6月の間に数回摘芯しておく。
  8. 近年は、草丈の高いエゾリンドウ系の品種と、矮性のシンキリシマリンドウ系の品種、双方の性質を受け継ぐ、新しい交配種も登場している。草丈は両者の中間程度だが、エゾリンドウ系が持つ花色の美しさと、シンキリシマリンドウ系が持つ性質の強さ、両方を併せ持つ。
  9. リンドウの花色は、白~桃~紅~青紫色がほとんどだが、プンクタタは、茶色の小斑点が入る黄色の花を咲かせる。また、トウヤクリンドウの花は淡黄緑色をしている。
  10. 茎の長い切り花が出回っているため、草丈の高い植物と思われがちだが、ほとんどの種類は、草丈25cm以下と小型である。

注意点・病害虫

  1. 多年草種のリンドウは、暖地で大株に育てると、とかく枯れ込みやすい。一つの株を長く栽培しようとするのではなく、毎年初夏に挿し芽をして、株を更新しながら栽培を続ける。
  2. やや酸性の土を好む。連作は嫌う。
  3. ウイルス病にかかると、葉に不規則な縞模様が入ったり、萎縮したりするので処分する。
  4. 害虫は、アブラムシやセンチュウの被害にあう。

余談

  1. 市販の切り花は、エゾリンドウやオヤマリンドウなど、花弁があまり開かない原種がもとになっている。(オヤマリンドウにいたっては、花が全くといっていいほど開かず、つぼみと区別が付かない。)そのため、どうしても花が開きにくいが、ぬるま湯で水切りすると少し開くことがある。雌しべを摘み取っておくと、花が長持ちする。
  2. 「リンドウ」という名前は、本来、秋咲き種の「ゲンチアナ・スカブラ変種ブエルゲリ」という原種に与えられた標準和名である。しかし、このゲンチアナ属の仲間全体を「リンドウ」と総称することが多いことから、混乱を避けるため、本来のリンドウ(=ゲンチアナ・スカブラ変種ブエルゲリ)を、「ササリンドウ(またはササバリンドウ)」と呼び替えるようになったらしい。
  3. ヨーロッパ原産のコマチリンドウは、草丈がとても低く、淡紅色の花を咲かせる。リンドウ科の植物だが、リンドウ属(ゲンチアナ属)ではなく、ケンタウリウム属に属する。やや暑さに弱く、秋まき一年草として扱われるが、夏越しできれば秋にも開花する。寿命が短いため、ときどきタネで更新する。

各種の和名・異名

  1. コチアナ/エクシサ(いずれも異名)/チャボリンドウ/矮鶏竜胆(いずれもアコーリス)
  2. トウワタリンドウ(アスクレピアデア)
  3. トウヤクリンドウ/当薬竜胆(アルギダ)
  4. クモイリンドウ/雲居竜胆(アルギダ変種イガラシイ)
  5. トランペットゲンチアン(クルシー)
  6. アサマリンドウ/浅間竜胆(シコキアナ)
  7. トウリンドウ/唐竜胆(スカブラ)
  8. キリシマリンドウ/霧島竜胆(スカブラ変種ブエルゲリ品種プロクンベンス)
  9. コケリンドウ/苔竜胆(スクァロサ)
  10. ナツリンドウ/夏竜胆(セプテンフィダ)
  11. フデリンドウ/筆竜胆(ゾリンゲリ)
  12. ハルリンドウ/春竜胆(ツンベルギー)
  13. タテヤマリンドウ/立山竜胆(ツンベルギー変種ミノール)
  14. トウオヤマリンドウ/唐御山竜胆(トリフロラ)
  15. エゾリンドウ/蝦夷竜胆(トリフロラ変種ジャポニカ)
  16. トリフロラ品種モンタナ(異名)/エゾオヤマリンドウ/蝦夷御山竜胆(いずれもトリフロラ変種ジャポニカ品種モンタナ)
  17. ミヤマリンドウ/深山竜胆(ニッポニカ)
  18. アルプスリンドウ(ベルナ亜種アングロア)
  19. オヤマリンドウ/御山竜胆(マキノイ)
  20. ヤクシマリンドウ/屋久島竜胆(ヤクシメンシス)
  21. クモマリンドウ/雲間竜胆/リシリリンドウ/利尻竜胆(いずれもヤメシー)
  22. イイデリンドウ/飯豊竜胆(ヤメシー変種ロブスタ)
  23. コベニリンドウ(ローダンサ)
  24. グレートイエローゲンチアン(ルテア)
  25. ガビサンリンドウ/峨嵋山竜胆(ルビクンダ)
リンドウ属(ゲンチアナ属)以外の種類。
  1. コマチリンドウ/小町竜胆(ケンタウリウム・コンフェルツム)

(※データ:大阪市基準)