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素人園芸解説 -私はこう育てる-

バイモユリ/フリチラリア

イメージ

原産地

アジア~地中海沿岸・北アメリカ西部

ユリ科

高さ

5~150cm(種類による)

花期

3~6月(種類による)

形態

秋植え球根

休眠期の管理

鉢のまま乾かすか、掘り上げて乾いた土に埋める

別名等

フリティラリア


(※各種の和名・異名はページの一番下にまとめた)

日照

9月下旬~6月上旬の生育期は、戸外の直射日光下(花後すぐ~葉が枯れるまでは30%遮光)。
休眠期は、日光に当てなくてよい。

【補足】少し耐陰性があるが、なるべく日光に当てる。

水やり

生育期は、土の表面が乾けば与える。休眠期は、ごく控えめに。

【補足】雨に当てないほうがよい。乾燥に弱いが、休眠中に過湿になると腐る。

肥料

2月と、4月に、小量の固形肥料を置き肥、加えて、10月下旬~11月下旬と、花後すぐ~5月上旬に、7~10日に一度、2000倍以上に薄めた液肥を施す。

【補足】窒素(N)は控えめに。腐りやすいので、元肥は入れないほうが安全。晩春からは無肥料とする。
薄い液肥に加えて、さらに二週間に一度、ブドウ糖の1000倍液を施すと効果的。

植え替え

9月上旬~10月下旬、5号鉢に3~5球(大球性種は6号鉢に1球)。

【補足】深さ3~5cm、地植えは深さ5cmで5~20cm間隔(大球性種の地植えは、深さ10cmで30cm間隔)。鉢植えは1~2年、地植えは2~5年に一度植え替える(あまり頻繁な植え替えは好ましくない)。
球根は、深い裂け目があるほうが上。

整姿

草丈が高くなる種類は、支柱を立てる。地温の上昇と乾燥から守るため、株元をマルチングする。

繁殖

【分球・鱗片挿し】植え替えと同時期。

【タネまき】採ってすぐにまく。(タネの乾燥保存は不可。実生苗は、発芽まで1年、開花まで5~6年かかる。)

耐暑性

弱い。

【コバイモ、バイモユリ】わりと強い。

耐寒性

とても強い(-25~-30℃)が、土を強く凍らせない。

解説

  1. チューリップに近縁の植物で、近年、人気が上昇している。大きく分けて、草丈が高く球根も大きい大球性種と、比較的草丈が低く球根も小さめの小球性種がある。
  2. 大球性種には、黄色~朱赤色の花を下向きに咲かせるインペリアリスや、黒紫色の花を穂状に咲かせるペルシカなどがある。いずれも草丈は1m前後。インペリアリスには、葉に斑が入る品種もある。
  3. 小球性種には、バイモユリやクロユリ、コバイモのほか、赤みを帯びた茶褐色で先端が黄色い花を咲かせる矮性種のウバブルピス(アッシリアカ)、黒紫色花の矮性種ダビシー、黄花を咲かせるプディカ、淡黄緑色と赤褐色の二色咲きになるポンティカ、黒紫色と黄色の二色咲きになるミハイロフスキー、白花または赤紫色花で、花弁に市松模様が入るメレアグリスなどがある。これらは、鉢植えなら比較的栽培しやすいが、暖地では、長年の維持は難しい。
  4. バイモユリは中国原産で、フリチラリアの仲間では最も栽培容易。花付きは良くないが、球根が充実すると淡黄色の花が咲く。やや地味ながら、昔から茶花として人気がある。葉の先端が巻きひげ状になり、物にからみつく性質がある。そこそこ耐暑性があり、暖地でも栽培できる。
  5. クロユリの仲間には、北海道の低地に自生するエゾクロユリと、中部地方以北の高山に生え、草丈が低いミヤマクロユリがある。普通、「クロユリ」の名で売られるのは前者である。黒紫色の花を下向きに咲かせ、人気があるが、花に異臭があり、ハエが集まってくる。八重咲き種もある。
  6. コバイモの仲間は日本に広く自生しており、アワコバイモ、イズモコバイモ、カイコバイモ、コシノコバイモ、トサコバイモ、ホソバナコバイモ、ミノコバイモなどがある。山野草扱いが一般的。雰囲気はバイモユリに似て、とても小型で、草丈5~20cm程度。やや暑さに弱いものの、フリチラリアの仲間としては栽培容易なほう。

注意点・病害虫

  1. この仲間は、独特な渋い花色が好まれるが、暑さに弱い種類が多く、暖地ではかなり育てにくい。寒地なら、どの種類でも栽培できるが、極端な寒さも嫌うため、強く凍らせないよう防寒する。
  2. 本来、地植え向きの植物で、落葉樹の東側が適する。肥沃な土を好む。適地なら4~5年くらい植えっ放しにできる。なお、植え付けが遅れたり、深植えしたりすると、翌春開花しない。
  3. 暖地では気候が適さないため、鉢植えのほうが扱いやすい。山野草専用土など、粒の粗い、水はけ・水もちのよい土で植えるが、それでも一年でダメになることが多い。大球性の種類は特に難しい。
  4. 球根に深い溝がある種類は、乱暴に扱うと、球根が真っ二つに割れるので注意。
  5. クロユリの球根は、表面の鱗片がはがれやすいため、丁寧に扱う。なお、この鱗片を植え付けて肥培すれば、球根を殖やすことができる。
  6. この仲間は、やや石灰質の土を好む。日本原産のコバイモの仲間も例外ではない。

余談

  1. 「フリチラリア」という属名の由来は、この花の市松模様が、チェスの盤に描かれた市松模様「フリチラリー」に似ていることから。
  2. 水あげがよく、切り花に向くが、インペリアリスやクロユリのように、花に異臭を持つ種類があるので注意する。
  3. バイモユリは、昔から、咳止め薬として用いられてきたらしい。

各種の和名・異名

  1. ホソバナコバイモ(アマビリス)
  2. イズモコバイモ/出雲小貝母(アヤコアナ)
  3. ヨウラクユリ/瓔珞百合/クラウンインペリアル(いずれもインペリアリス)
  4. カイコバイモ/甲斐小貝母(カイエンシス)
  5. クロユリ/黒百合(カムチャツケンシス)
  6. ミヤマクロユリ/深山黒百合(カムチャツケンシス変種アルピナ)
  7. ジャポニカ変種コイズミアナ(異名)/コシノコバイモ(いずれもコイズミアナ)
  8. ミノコバイモ/美濃小貝母(ジャポニカ)
  9. コロルコウィア・セウェルゾウイー(セウェルゾウイーの異名)
  10. デルフィネンシス(ツビフォルミスの異名)
  11. ツンベルギー/バーティシラタ(いずれも異名)/バイモユリ/貝母百合/バイモ/貝母/アミガサユリ/テンガイユリ(いずれもバーティシラタ変種ツンベルギー)
  12. ミカイロフスキー/ミカエロフスキー(いずれもミハイロフスキー)
  13. アワコバイモ/阿波小貝母(ムライアナ)
  14. モザイクリリー/スネークズヘッドフリチラリー(いずれもメレアグリス)
  15. スカーレットフリチラリー(レクルバ)

(※データ:大阪市基準)