ウチョウラン/サツマチドリ
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原産地
日本(関東以西~九州)・朝鮮半島南部
科
ラン科
高さ
7~30cm
花期
5~8月
形態
春植え球根(着生~半着生植物)
別名等
【ウチョウラン】ポネロルキス・グラミニフォリア変種グラミニフォリア(学名)/オルキス・グラミニフォリア/ギムナデニア・グラミニフォリア(いずれも異名)/羽蝶蘭/烏頂蘭/烏蝶蘭/岩蘭/胡蝶蘭/有馬蘭/風蘭草
【サツマチドリ】ポネロルキス・グラミニフォリア変種ミクロプンクタタ(学名)/薩摩千鳥
(※その他の種類の和名・異名はページの一番下にまとめた)
日照
3月下旬~11月中旬の生育期は、戸外で10~30%遮光(花後すぐ~9月上旬は50%遮光)。
越冬中は、日光に当てなくてよい。
水やり
生育期は、土の表面が乾けば与える(乾き気味に管理)。休眠期は、ごく控えめに。
【補足】葉の付け根に水がたまると、確実に腐って枯れる。夏に根が蒸れると、あっけなく枯れる。
肥料
4月に、固形肥料の置き肥、加えて、4月中旬~6月中旬と、9月中旬~10月上旬に、10~14日に一度の液肥。
【補足】芽出しの直後に置肥をすると、開花率が上がる。
植え替え
2月下旬~4月上旬。
【補足】1~3年に一度行う。3~4号鉢に5球、深さ1~2cm。群生を好むので、密植する(株間は1cm)。
元気に育っていれば、数年間据え置き栽培した方がよい。
整姿
特に無し。
繁殖
【分球】植え付け時。
【タネまき】3~4月か、9~11月(親株の根元にまくか、ダンボール箱に清潔な用土を入れ、その中にまく)。
耐暑性
わりと強いが、強光と蒸れに注意。
【ニョホウチドリ、ヒナチドリ】とても弱い。
耐寒性
やや弱く(0~-10℃)、凍らせない。
解説
- ウチョウランは、本州~九州の岩場に生える小型の野生ランである。変種として、鹿児島県の下甑島に産するサツマチドリ、房総半島南部に産するアワチドリ、佐賀県の黒髪山に産するクロカミラン、長崎県の平戸島に産するクロシオチドリなどがある。これらのうち、ウチョウラン以外は寒さに弱い(最低0℃を保つ)。
- 北海道~四国の高冷地に自生するヒナチドリと、日光の女峰山に産するニョホウチドリは、ウチョウランの近縁種で、育て方もほぼ同じ。ただし、こちらは高温多湿に弱い。
- 他に、アワチドリ系園芸品種のユメチドリや、ウチョウランとヒナチドリの交配種、スズチドリなどもある。
- 近年、品種改良が進み、花色が豊富になり、耐暑性も強くなった。値段も下がっており、気軽に楽しみたい。
注意点・病害虫
- 植え付け用土には、山野草専用土の他、硬質鹿沼土、焼赤玉土、日向土などを配合して用いる。(いずれも小粒を。)また、シダ類であるイワヒバやシノブの根元に穴を開けて球根を入れ、すき間にケト土を詰める、という植え方もある。
- 球根の上下を間違えて植えると芽が出ない。尖った黒っぽい芽のあるほうが上。
- 葉の付け根に水がたまると、高確率でそこから腐るので、頭から水をかけるのは厳禁。雨にも当てない。もし水がたまってしまったら、すぐにティッシュペーパーなどを当て、吸い取る。なお、自生地では下向きに枝垂れて生えており、水がたまることは無いらしい。
- 冬の休眠中は植えっ放しでよいが、球根を掘り上げ、バーミキュライトなどの清潔な土に埋めて保存することもできる。その場合、様子見を兼ねて月に一度くらい霧吹きで水やりをし、過度の乾燥を防ぐ。面倒なら、土を少し湿らせ、ビニール袋や発泡スチロール箱などに入れて密閉する。
- 気温が上がるにつれ、葉が枯れる病気が出やすい。定期的に殺菌剤を散布したほうがよい。
- ハダニが付きやすいが、葉に水をかけにくい植物なので、発生初期に殺ダニ剤を散布する。
各種の和名・異名
- シロバナウチョウラン/白花羽蝶蘭(ラミニフォリア変種グラミニフォリア品種アルビフローラ)
- クロカミラン/黒髪蘭(グラミニフォリア変種クロカミアナ)
- アワチドリ/安房千鳥(グラミニフォリア変種スズキアナ)
- ヒナチドリ/雛千鳥(チドリ)(※学名と和名が類似)
(※データ:大阪市基準)