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素人園芸解説 -私はこう育てる-

胴枯病/腐らん病

糸状菌による病害。剪定跡や傷口からよく発病する。胴枯病はクリ、腐らん病はリンゴに発生が多い。病原菌の種類はさまざま。衰弱した木ほど被害にあいやすい。

リンゴには「銀葉病」も発生しやすい。この病気にかかると、幹や枝の樹皮が腐敗して紫色のキノコ(ムラサキウロコタケ)を生じ、葉も銀色に変色して薄くなり、光沢がなくなる。対策は腐らん病と同じ。

発生時期

【胴枯病】5~10月


【腐らん病】4~6月、9~10月

被害箇所

【胴枯病】枝、幹、根など。


【腐らん病】2年以上経った古枝、幹など。

主な症状

【胴枯病】灰褐色~暗褐色・黄褐色などをした水浸状病斑ができ、次第に拡大する。病斑は、最初は少し膨らんでおり、表面に同心円状の輪紋が現れたり、亀裂を生じたり、多数のイボができたりする。樹皮下の形成層は褐色になって腐敗し、アルコール臭を発する。病斑と健全部との境界は鮮明で、亀裂を生じる。
さらに症状が進むと、病斑部分がへこみ、表面に、白色~黄色・黒色などをした小粒を多数生じる。多湿時には、そこから、白色~黄色をした糸状の粘質物が伸びてくる。
病斑部分の樹皮をはいでみると、内部に白色~灰白色のカビが張り付き、その上に黒い小粒を生じている。
拡大した病斑が枝や幹を一周すると、それより上部が枯死する。
症状がひどいと、木全体が枯死するが、木に勢いがある場合は病斑が拡大せず、盛り上がって、がんしゅ状になる。

果実が害を受けることもあり、その場合は、芯腐れの症状を呈する。


【腐らん病】赤褐色~暗褐色の、ややへこんだ病斑ができ、次第に拡大する。病斑上には、小さな粒を多数生じる。また、病斑の輪郭は紫色。病斑部分を押さえると容易にへこみ、樹皮をはがしてみるとアルコール臭がする。多湿時には、病斑上の粒々から、糸状の粘質物が伸びてくる。

対策

被害部分を深めに削り取り、薬剤を使用。病状が進行した枝は切除する。果実に被害が出る場合は、開花期~幼果の時期に、薬剤を散布。
腐らん病の場合は、発病部分に泥を厚く塗り、その上からビニールでくるむ「泥巻き法」も効果があるらしい。


【薬剤】【塗布】カケンゲル、カルスメイト、ケアヘルスO、トップジンMペースト、バッチレート、ベフランなど。
希釈した石灰硫黄合剤を直接塗布してもよい。(葉などに付かないよう注意。)
【散布】トップグラスDF、トップジンM、ベンレートなど。

予防策

強剪定をしない。剪定後は必ず癒合剤を塗る。霜害や凍害にあわせない。株に無用な傷をつけない。土の水はけを改善する。株に水をかけない。肥料不足を改善する。株元を清潔に保つ。付近に枯死した株があれば除去する。通風を改善する。近くに被害株があれば除去する。できれば雨に当てない。発病部分を削り取った器具は消毒するまで再利用しない。

果樹類の場合は、耐病性品種を栽培する。


【薬剤】【散布】樹木類は、冬季に石灰硫黄合剤を散布。

主な被害植物

【胴枯病】

【樹木・果樹】アンズ、イチジク、イチョウ、カエデ類、カキ、カシ類、カラマツ、カンバ類、クリ、コデマリ、サクラ、シイ、スギ類、スモモ、トドマツ、ナシ、ヒノキ、モモ、リンゴなど。


【腐らん病】

【樹木・果樹】ナシ、バラ、リンゴなど。