葉枯病
糸状菌による病害。ひと口に「葉枯病」といっても、多くの種類があり、病原菌の種類も、ピシウム属菌、フザリウム属菌などさまざま。比較的低温で、湿度が高いと発生しやすい。やや弱った株が被害にあう傾向がある。
なお、イネの「白葉枯病」は、細菌による全く別の病気である。
発生時期
【褐色葉枯病】4~9月
【環紋葉枯病・黒葉枯病】4~10月
【先葉枯病・白葉枯病】5~10月
【葉枯病】3~11月
【輪紋葉枯病】4~6月・9~10月
被害箇所
葉の縁、葉先、葉、葉柄、茎、果梗、果実など。
主な症状
【褐色葉枯病】葉の縁や葉先などに、暗褐色の小斑点が多数でき、次第に融合・拡大する。やがて、円形~不整形で暗褐色~灰褐色をした大型病斑を形成し、葉が急激に枯れる。病斑上に、スス状のカビを生じることがある。病斑と健全部の境界は鮮明。
【環紋葉枯病】円形で淡褐色~灰褐色をした、やや盛り上がった同心円状の病斑ができ、次第に融合・拡大する。病斑の中心は灰白色、輪郭は淡褐色~紫黒色。病斑の裏側には、白いカビが絡みつく。病斑と健全部の境界は鮮明。被害葉は早期に落葉する。
【黒葉枯病】葉に、不整形で黒褐色をした病斑を生じる。病斑の周囲は、やや黄色く変色する。症状がひどいと葉が枯れる。葉柄に発病すると、病斑部分がへこむ。
【先葉枯病】葉の先端付近に、褐色の小さな斑点ができ、次第に拡大して、葉先から灰褐色~灰白色になって枯れ込む。病斑は、葉の先端部だけにとどまる。周辺が黄色く変色することもある。古い病斑上には、小さな黒い粒を生じる。
【白葉枯病】葉先から淡褐色になって枯れ込む。病斑部分は、その後、灰褐色~灰白色に変わり、しばしば、表面に黒い斑点を生じる。病斑と健全部の境界は褐色をしており、鮮明。症状がひどいと葉が枯れ落ちる。
【葉枯病】円形~不整形で、褐色~黒褐色・赤褐色・黄褐色・赤紫色・灰白色などをした病斑ができ、次第に拡大する。病斑の中心は灰白色に変色することがある。病斑上には、同心円状の輪紋や小さ黒点を生じることが多い。病斑と健全部の境界は、やや不鮮明。葉先や葉の縁、葉脈上に発生することが多い。
マツ類の場合、症状が特殊で、黄褐色の斑点が多数でき、その後、葉全体が緑色と灰褐色の縞模様になる。
【輪紋葉枯病】褐色~赤褐色の小斑点ができて次第に拡大し、円形~不整形で褐色~茶褐色・灰褐色などをした同心円状病斑を形成する。病斑の輪郭は暗褐色~紫褐色。病斑と健全部の境界は、やや不鮮明。被害葉は落葉する。
対策
被害部分を全て除去し、薬剤を使用。
【薬剤】【散布】ICボルドー、Zボルドー、エムダイファー、オーソサイド、キャプタン、キャプレート、クプラビットホルテ、グリーンダイセンM、グリーンペンコゼブ、コサイド3000、コサイドDF、コサイドボルドー、サンボルドー、ジマンダイセン、ストロビー、ターフトップDF、ダコニール1000、ダコレート、テレオ、ドイツボルドーA、銅ストマイ、ドーマイシン、トップグラスDF、トップジンM、トリアジン、パスポート、ビスダイセン、フルピカ、フロンサイド、フロンサイドSC、ベルクート、ベルクローブ、ペンコゼブ、ベンレート、ベンレートT、ホーマイ、ポリオキシンAL、ポリベリン、ラビライトなど。
予防策
通風を改善する。十分な日照を確保する。株元を清潔に保つ。近くに被害株があれば除去する。株に水をかけない。できれば雨に当てない。葉に無用な傷を付けない。土の水はけを改善する。肥料不足を改善する。
ユリ類では、連作を避ける。窒素肥料を控える。
【薬剤】【散布】上記と同じ。樹木類は、冬季に石灰硫黄合剤を散布。
主な被害植物
【褐色葉枯病】
【樹木・果樹】サザンカ、チャ、ツバキ類、リンゴなど。
【ラン】シンビジウムなど。
【環紋葉枯病】
【樹木・果樹】アンズ、ウメ、カエデ類、コブシ、サクラ、サルスベリ、モモ、ブドウ、ヤマブキ、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】ミョウガなど。
【黒葉枯病】
【ハーブ・野菜】ニンジンなど。
【先葉枯病】
【樹木・果樹】カシ類、キンモクセイなど。
【白葉枯病】
【樹木・果樹】イヌマキなど。
【葉枯病】
【草花・鉢花】キキョウ、キク、キンギョソウ、グラジオラス、シュンラン、ポピー、ユリなど。
【樹木・果樹】アンズ、イヌツゲ、カキ、クリ、サツキ、ツゲ、ツツジ類、マツ類など。
【ハーブ・野菜】イチゴ、シュンギク、ショウガ、セリ、セロリ、トウモロコシ、ニンニク、ミョウガ、ヤマイモなど。
【ラン】イッケイキュウカ、エビネ、オドントグロッサム、オンシジウム、カンラン、シンビジウム、デンドロビウム、バルボフィラム、ビフレナリア、マスデバリア、ミルトニア、モルモデスなど。
【輪紋葉枯病】
【樹木・果樹】カエデ類、サザンカ、ツタ、ツバキ類、ハナミズキなど。