紋羽病(白紋羽病/紫紋羽病)
糸状菌による病害。フザリウム属菌による。木本だけでなく、草本にも発生する。病原菌は本来、「死物寄生菌」なので、土中の枯れ葉や枯れ枝などに付着している。生きた植物が何らかの理由で衰弱すると、一気に発病することがある。
白紋羽病と紫紋羽病はよく似るが、発生条件が対照的で、前者は、よく作りこまれた肥沃な土地に発生し、後者は、開墾したばかりのやせた土地に発生する。
発生時期
【白紋羽病】3~11月
【紫紋羽病】8~10月
被害箇所
地際部分、根など。
主な症状
【白紋羽病】白色~灰白色のカビが絡みつき、淡褐色~暗褐色・灰白色などに変色して腐敗する。カビは、古くなると黒く変色する。腐敗部分の表皮をはぐと、形成層にまでカビが広がっている。被害株は徐々に生育が悪くなり、落葉したり、日中に萎れたりする。症状がひどいと、地面からの高さ2mくらいの位置まで菌糸が上ってくる。被害を受けて腐った根はもろくなり、ポキポキと容易に折れる。
【紫紋羽病】褐色~紫褐色のカビが絡みつき、腐敗する。被害株は徐々に生育が悪くなるが、花芽が多数できる、果実が小さい、などの症状を呈することもある。
対策
被害部分を深めに削り取り、薬剤を使用。病状が進行した株は周りの土とともに処分する。熱湯消毒も効果があるらしい。
【薬剤】【塗布】水で練った石灰、カケンゲル、カルスメイト、ケアヘルスO、トップジンMペースト、バッチレート、ベフランなど。
【土壌灌注・土壌混和】オーソサイド、キャプタン、キャプレート、トップグラスDF、トップジンM、フジワン、フロンサイド、フロンサイドSC、ベンレートなど。
予防策
未熟な粗大有機物(木の枝・落ち葉など)を埋めない。連作を避ける。株を弱らせない。近くに被害株があれば除去する。被害株に用いた土や器具は消毒するまで再利用しない。
白紋羽病では、土の水はけを改善する。
紫紋羽病では、土の過度の乾燥を防ぐ。土に完熟有機物を投入する。
【薬剤】【根部浸漬】オーソサイド、トップジンM、ベンレートなど。
主な被害植物
【白紋羽病】
【草花・鉢花】オモト、キク、シャクヤクなど。
【樹木・果樹】アセビ、アンズ、イチジク、イヌツゲ、ウド、ウメ、オウトウ、カエデ類、カキ、カシ類、カナメモチ、カラマツ、カンキツ類、クスノキ、クヌギ、クワ、ケヤキ、サクラ、サツキ、シャクヤク、ジンチョウゲ、スギ類、スモモ、チャ、ツガ、ツゲ、ツツジ類、ツバキ類、ナシ、ナラ、ニシキギ、ハゼノキ、バラ、ビワ、ブドウ、マサキ、モモ、ヤナギ類、ヤマモモ、リンゴなど。
【紫紋羽病】
【草花・鉢花】ユリなど。
【樹木・果樹】イチョウ、ウメ、カエデ類、カキ、カンキツ類、キリ、クリ、クルミ、クワ、サクラ、ジンチョウゲ、スギ類、ナシ、ハゼノキ、ビワ、ポプラ、マツ類、モモ、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】アスパラガス、サツマイモなど。