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素人園芸解説 -私はこう育てる-

炭疽病

糸状菌による病害。病原菌は、植物体に侵入しても、そのまま潜伏し、その植物(全体または一部)が弱ったときに初めて発病する。そのため、古い葉や傷のある部分から発病することが多い。
従って、一株が発病したら、症状がなくても周囲の株全てに薬剤を散布する必要がある。また、病原菌は土中に残るので、薬液を土壌灌注する。気温が22~26℃で湿度が高いと発生しやすい。
細長い葉の先端から発病し、次第に枯れこんでくる症状は、「葉先枯病」とも呼ばれる。

発生時期

4~11月(最多発生は6~9月)

被害箇所

葉、茎、枝、葉柄、果実、芽、花弁、がく、花茎、つる、球根など。

主な症状

褐色~黒褐色・黄緑色などをした小斑点ができ、次第に拡大する。やがて、円形~楕円形で灰褐色~黒褐色・赤褐色・黄褐色・赤紫色・橙色などをした、ややへこんだ病斑を形成する。病斑は同心円状で、中心が灰白色~淡褐色になっていて破れやすい。病斑の輪郭は濃褐色~紫褐色・黒褐色など。病斑と健全部の境界は鮮明。
古い病斑上には、黒色または淡紅色の小粒を多数生じたり、橙黄色のカビが生えたりする。多湿時には、病斑から粘液が出ることもある。

葉の場合は、縁から発病することが多く、症状がひどいと、萎縮・変形する。また、細長い葉は、葉先から枯れ込む。(枯れた部分には、濃褐色の縞模様がある。)幼葉よりも、やや衰えた古い葉に発病する傾向がある。
枝や茎の場合は、節の部分に発生しやすく、病斑部分がくびれて曲がることがある。また、病斑が拡大して茎・枝を一周すると、それより上部が枯れる。

イチゴに発生すると、株の中心(クラウン)が、内部まで赤褐色~茶褐色に変色する。
モモの場合、病原菌に侵入された新梢は、必ず葉が筒状に巻くので、そのような新梢は切り取って処分する。

対策

被害部分を全て除去し、薬剤を使用。


【薬剤】【散布・土壌灌注・種苗粉衣】ICボルドー、Zボルドー、アミスター10、アミスター20、アリエッティC、アントラコール、インダー、エムダイファー、園芸ボルドー、オーソサイド、オキシラン、オキシンドー、キノンドー、キャプタン、キャプレート、クプラビットホルテ、クリアパッチDF、グリーンダイセンM、グリーンペンコゼブ、ゲッター、サルバトーレME、サンドファンM、サンボルドー、ジマンダイセン、ストロビー、スペックス、ダイパワー、ダコニール1000、ダコレート、ツインサイドDF、ドイツボルドーA、ドウグリン、トップグラスDF、トップジンM、トリアジン、トリフミン、バイオトラスト、バイコラール、バイレトン、パスポート、パルノックス、ビスダイセン、プラウ、プラタン、フローラガードAL、フロンサイド、フロンサイドSC、ヘリテージ、ベルクート、ベルクローブ、ペンコゼブ、ベンレート、ホーマイ、ホーマイコート、ホクガード、ポリオキシンAL、ポリベリン、ボンジョルノ、マネージ、マネージM、有機銅、ラビライト、ラリー、リドミルMZなど。

【注意点】薬害が出るので、スモモにはビスダイセンを使用しない。

予防策

土の水はけを改善する。通風を改善する。株に水をかけない。できれば雨に当てない。株に無用な傷を付けない。株元を清潔に保つ。十分な日照を確保する。窒素肥料を控える。近くに被害株があれば除去する。耐病性品種を栽培する。連作を避ける。使い古しの土に植えない。株元をマルチングするなどし、土の跳ね上がりを防ぐ。酸性の土を改善する。

野菜類の場合は、被害株から子株やタネを取らない。野菜の種類によっては種子伝染するので、健全なタネをまく。前年作った作物の残骸上で病原菌が越冬するため、冬になる前に片付ける。


【薬剤】【散布・土壌灌注・種苗粉衣】上記と同じ。樹木類は、冬季に石灰硫黄合剤を散布。

主な被害植物

【草花・鉢花】オモト、ガーベラ、カンラン、キンギョソウ、キンセンカ、コスモス、シクラメン、シャクヤク、スイートピー、スズラン、ストック、スミレ、ゼラニウム、タチアオイ、ダリア、トルコキキョウ、ニチニチソウ、パンジー、ベゴニア類、ユリなど。

【観葉・多肉】アイビー、アナナス類、アンスリウム、エスキナンサス、オモト、カラテア、クロトン、ゴムノキ類、サクララン、サボテン類、サンスベリア、ディフェンバキア、ドラセナ類、ハラン、ポトスなど。

【樹木・果樹】アオキ、アカシア、アジサイ、イチジク、ウメ、オウトウ、オリーブ、カエデ類、カキ、カナメモチ、カンキツ類、キウイ、キョウチクトウ、クリ、クルミ、コデマリ、サザンカ、サツキ、サンゴジュ、シキミ、シャクナゲ、シュロ、スモモ、チャ、ツゲ、ツバキ類、ニセアカシア、ネクタリン、ハリエンジュ、ヒイラギナンテン、ビワ、ボタン、マサキ、マンゴー、マンリョウ、モッコク、モモ、ヤツデ、ヤナギ類、リンゴなど。

【ハーブ・野菜】イチゴ、インゲン、エダマメ、エンドウ、カボチャ、キュウリ、コマツナ、ジャガイモ、シュンギク、スイカ、ダイコン、タマネギ、ネギ、ホウレンソウ、マクワウリ、メロン、ヤマイモ、ユウガオ、ラディッシュなど。

【ラン】アカカリス、アツモリソウ、エピデンドラム、エビネ、エリア、オドントグロッサム、オンシジウム、カタセタム、カトレア、シクノチェス、シュンラン、シンビジウム、スタンホペア、スパソグロティス、セレニペディウム、セロジネ、デンドロビウム、ネオムーレアナ、パフィオペディラム、パフィニア、バルボフィラム、バンダ、ビフレナリア、ファイウス、ファレノプシス、フラグミペディウム、プレウロサリス、ペスカトレア、マキシラリア、マスデバリア、ミルトニア、リカステなど。