根頭がんしゅ病
細菌による病害。アグロバクテリウム・ツメファシエンスという細菌によって、植物ホルモンのオーキシンやサイトカイニンが異常生成され、組織が腫瘍化する、一種のガンである。「樹脂病」や「胴枯病」などを誘発する。
主に樹木の病気だが、一部の草本にも発生する。比較的地温の高い時期(20~30℃)に多湿になると発生しやすい。若い苗木ほど被害にあう傾向がある。
余談だが、アグロバクテリウムは、感染時、植物の細胞内に自分の遺伝子を注入するため、遺伝子組み換え植物を作る際に、よく利用されるという。
発生時期
3~10月
被害箇所
地際近くの幹(茎)、根、接ぎ木部分など。(まれに、幹や枝にも発生する)
主な症状
褐色~黒褐色をした大小さまざまなコブができる。コブの表面はざらつく。(新しいコブは白っぽく、柔らかい。)コブは次第に大きくなり、数も増える。コブが腐敗することはないが、他の菌類が二次寄生すると、腐ることもある。やがて、株全体が枯死する。症状がひどいと、かなり高い位置(地面から5mまで)の幹や枝にも転移する。
対策
発病部分を深めに削り取り、薬剤を使用。病状が進行した株は周りの土とともに処分する。
【薬剤】【塗布】水で練った石灰、カケンゲル、カルスメイト、ケアヘルスO、トップジンMペースト、バッチレート、ベフランなど。
予防策
土の水はけを改善する。幹や根に無用な傷を付けない。土壌酸度がアルカリ性に偏らないようにする。植え替えは、地温が低く病原菌の活動が鈍い時期に行う。被害株に触れた手や器具で健全株に触れない。被害株に用いた土や器具は消毒するまで再利用しない。発病部分を削り取った器具は消毒するまで再利用しない。苗を購入する際、できれば地際と根を観察し、被害株を買わない。
【薬剤】【根部浸漬】バクテローズなど。(水和剤の希釈は、汲み置きの水で行う。)
主な被害植物
【草花・鉢花】カスミソウ、カランコエ、キク、クレマチス、シャクヤク、ダリア、ミヤコワスレなど。
【ハーブ・野菜】ニンジンなど。
【樹木・果樹】アーモンド、アカメガシワ、ウメ、カイドウ、カエデ類、カキ、カナメモチ、キウイ、キョウチクトウ、クリ、クルミ、サクラ、スモモ、セコイア、ナシ、イチイ、イチジク、イヌマキ、オウトウ、カナメモチ、ナシ、ニセアカシア、バラ、フジ、ブドウ、ボケ、ポプラ、モミノキ、モモ、ヤナギ類、ヤマナラシ、リンゴなど。