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素人園芸解説 -私はこう育てる-

軟腐病

細菌による病害。気温32~33℃の高温多湿期に発生が多い。適湿環境下では、1m/1日の速度で感染が広がるといわれる。
腐敗性の病気は数多いが、この軟腐病は、病原菌が分泌するペクチン分解酵素による悪臭を伴うのが大きな特徴。ただし、悪臭自体は軟腐病の病原菌が発しているのではなく、他の細菌による。

イチゴ軟腐病は、病名こそ同じだが、糸状菌によるまったく別の病気である。

発生時期

4~11月(6~8月に最も多い。)

被害箇所

球根、茎、葉、葉柄の基部、地際部分、結球部分、根、果実、苞など。

主な症状

水浸状に軟化した部分ができ、急激に黒褐色になって腐敗する。腐敗部分は悪臭を放ち、溶けて繊維質のみが残る。被害株は枯死し、干からびる。小さな株では、全体が溶けるように一気に腐敗する。被害株の茎を切断すると、維管束が褐色に変色している。

果実にも発生するが、貯蔵中に被害にあうことが多い。
球根植物に発生すると、球根の内部が黄褐色に変色し、枯死する。こちらも貯蔵中に発生することがある。

対策

被害株は周りの土とともに処分する。


【薬剤】【散布・土壌灌注】ICボルドー、Zボルドー、アグリマイシン20、アグリマイシン100、アグレプト、アタッキン、園芸ボルドー、オキシラン、オキシンドー、カスミン、カスミンボルドー、カセット、カッパーシン、キノンドー、クプラビットホルテ、コサイド3000、コサイドDF、コサイドボルドー、サンボルドー、スターナ、ストマイ、ソタールWDG、テレオ、ドイツボルドーA、ドウグリン、銅ストマイ、ドーマイシン、ナレート、バイオキーパー、バクテサイド、バリダシン、ビスダイセン、ヒトマイシン、マテリーナ、有機銅、ロブドーなど。
【塗布】トリクロサンを含有する薬用石鹸を患部に塗布すると、ペクチン分解酵素の働きを妨げるらしい。

【注意点】薬害が出るので、チューリップやハクサイには銅剤を使用しない。

予防策

土の水はけを改善する。連作を避ける。通風を改善する。被害株から子球や子株、タネ、挿し穂などを取らない。被害株に触れた手や器具で健全株に触れない。株に無用な傷を付けない(特に地際部分)。分球など、やむを得ず傷を付ける場合は、刃物を消毒しながら作業する。
被害株に用いた土や器具は消毒するまで再利用しない。(ただし、土壌消毒しても菌はすぐ復活する。)株に水をかけない。できれば雨に当てない。窒素肥料を控える。近くに被害株があれば除去する。株元をマルチングするなどし、雨で跳ね上がった泥が株に付かないようにする。

タマネギの場合は、雨の日の収穫を避ける。
ハクサイでは、タネを早まきしない。耐病性品種を栽培する。


【薬剤】【散布・土壌灌注・球根浸漬・根部浸漬】上記と同じ。

主な被害植物

【草花・鉢花】アイリス類、カラー、キク、クロッカス、サクラソウ、シクラメン、シネラリア、ジャーマンアイリス、セントポーリア、ダリア、チューリップ、ナデシコ類、ヒアシンス、ヒャクニチソウ、プリムラ、ユリなど。

【樹木・果樹】キウイなど。

【ハーブ・野菜】カブ、カリフラワー、キャベツ、キュウリ、サフラン、サトイモ、サラダナ、ジャガイモ、セージ、セロリ、ダイコン、タマネギ、チンゲンサイ、トウガラシ、トマト、ナス、ニラ、ニンジン、ネギ、ハクサイ、パセリ、ピーマン、ブロッコリー、ボリジ、ラッキョウ、レタス類など。

【ラン】アングレカム、イワチドリ、エビネ、オドントグロッサム、オンシジウム、カトレア、カンラン、シュンラン、シンビジウム、デンドロビウム、デンファレ、パフィオペディラム、バルボフィラム、バンダ、ファレノプシス、フラグミペディウム、マキシラリア、マスデバリア、ミルトニアなど。