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素人園芸解説 -私はこう育てる-

サビダニ類

フシダニ科に属する。植物体に虫コブを作ることで有名な「フシダニ」の仲間には、虫コブを作らない系統が存在する。それらは、植物体にサビのような加害痕を作るため、「サビダニ」と呼ばれる。
ほぼ一年中いるが、被害が多いのは、やはり高温乾燥の季節である。被害症状がウイルス病に似ており、間違えやすいので注意。

※この仲間は、上記の通りフシダニの一種だが、加害の仕方が異なるため、分けて記載した。虫コブを作るフシダニ類については、「虫コブを作る害虫」として扱っている。

発生時期

4~11月(施設栽培では周年発生する。)

【補足事項】
  1. イチジクモンサビダニ…4~10月
  2. イボタサビダニ…5~6月
  3. カキサビダニ…4~6月
  4. キクモンサビダニ…4~10月
  5. チューリップサビダニ…周年
  6. トマトサビダニ…5~11月
  7. ニセナシサビダニ…5~7月
  8. ブドウサビダニ…6~9月
  9. マキサビダニ…6~10月

被害箇所

葉、茎、果実、花、鱗茎、新芽など。

形態など

体長0.1~0.3mm程度で、肉眼ではほとんど見えない。体色は乳白色~淡黄色。体が細長く、脚が4本しかないなど、一般的なダニのイメージとは大きく異なる姿をしている。

【補足事項】
  1. キクモンサビダニ…体長0.2mm前後で、体色は淡黄色。1980年に初めて記録された。気温25~30℃で活発に活動する。
  2. チューリップサビダニ…体長0.2mm。1979年に埼玉で初確認された侵入害虫。
  3. トマトサビダニ…0.2mm。1986年に沖縄で初確認された。

主な被害

葉や果実に寄生し、吸汁する。被害症状は、種類によって異なるが、モザイク模様が出たり、萎縮・変形したり、黄色~褐色に変色し、硬くなって生長が止まったりする。被害株は衰弱し、下葉から枯れ上がる。

【補足事項】
  1. イボタサビダニ…葉の表に寄生する。多発すると、葉が裏側に反る。
  2. キクモンサビダニ…キクの茎葉、葉柄に寄生する。被害がひどいと、茎葉や花が変形する。葉の場合は、ウイルス病の症状に似た、不明瞭な黄色い斑紋が多数できる。症状がひどいと、斑紋の部分が褐色になって壊死する。なお、この症状は、原因不明だった頃(このダニが未確認だった頃)は、「紋々病」と呼ばれていた。
  3. チューリップサビダニ…貯蔵中の球根が被害を受けると、表面が赤紫色(赤花品種のみ)~褐色になり、乾燥枯死する。枯死を免れた球根も、植え付け後、根がいじけて伸びず、茎葉にモザイク状の模様が現れ、奇形化するなどして、やがて枯れる。(気温が高いと、花にも症状が出る。)被害花には無数のダニがおり、肉眼で見ると、ホコリをかぶったように見える。
  4. トマトサビダニ…ナス科植物の地際近くの茎が、黄褐色~緑褐色になり、下葉から枯れ上がる。果実の肥大も阻害される。枯死を免れた葉も、褐色の粉を振りかけたようになる。
  5. ニセナシサビダニ…ナシに寄生し、上記のような症状を出すが、葉に毛の多い品種を好む傾向がある。
  6. ミカンサビダニ…カンキツ類の果実がよく被害を受ける。被害果は茶褐色~灰褐色に変色し、カサカサの鮫肌状になる。また、硬化して食味も悪くなる。葉が被害を受けると、変形したり、縮緬状になったりする。

対策

見つけ次第、被害部分ごとダニを除去する。または葉に勢いよく水をかけ、ダニを洗い流す。

【補足事項】
  1. キクモンサビダニ…冬至芽で越冬し、毎年発生するので、以前に被害を受けた株から、子株や挿し穂などを取らない。

【薬剤】【散布・浸漬・土壌灌注】アーリーセーフ、アクテリック、アファーム、アプロードエース、イオウ、エムダイファー、オサダン、カーラ、カスケード、カネマイト、カルホス、クムラス、グリーンダイセンM、グリーンペンコゼブ、コロナ、コロマイト、サルファー、ジマンダイセン、ダニカット、ダニゲッター、ダニ太郎、ダニトロン、テデオン、バロック、ビスダイセン、ペンコゼブ、マイトクリーン、マイトコーネ、マッチ、ユニフローサルファー、ラビライト、リーズン、レターデンなど。

(一部、殺菌剤が混じっているが、この仲間に対しては実際に有効である。)

予防策

通風を改善する。樹皮の隙間などで越冬するので、冬の間に粗皮を削り落としておく。

【補足事項】
  1. チューリップサビダニ…球根の購入時に、球根本体(外皮の内側)の色を観察し、赤紫や褐色に変色したものを避ける。
  2. トマトサビダニ…ナス科植物同士を近くで栽培しない。

【薬剤】可能なら、冬季に、石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布。

【補足事項】
  1. チューリップサビダニ…掘り上げた球根は貯蔵前に、新しい球根は植え付け前に、それぞれ、「対策」の項目に記した薬剤に浸して消毒する。

主な被害植物

【草花・鉢花】アリウム、キク、チューリップ、ペチュニアなど。

【樹木・果樹】イチジク、イヌマキ、イボタノキ、カキ、カシ類、カンキツ類、クリ、クルミ、チャ、ナシ、ブドウなど。

【ハーブ・野菜】コムギ、ジャガイモ、タマネギ、トマト、ナス、ニンニク、ネギ類など。

主な種類

イチジクモンサビダニ、イボタサビダニ、カキサビダニ、キクモンサビダニ、チャノサビダニ、チューリップサビダニ、トマトサビダニ、ニセナシサビダニ、ブドウサビダニ、マキサビダニ、ミカンサビダニ(ミカンフシダニ)など。