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素人園芸解説 -私はこう育てる-

ナモグリバエ・ハモグリバエ類

ハナバエ科、ハモグリバエ科に属する。やや暖地性の虫で、冬が温暖な地域では、ほぼ一年中悩まされる。

発生時期

周年(冬季の発生は、暖地や加温施設内に限られる。)

【補足事項】
  1. アヤメハモグリバエ…5~7月
  2. カーネーションハモグリバエ…6~11月
  3. キツネノボタンハモグリバエ…3~10月
  4. トマトハモグリバエ…6~11月
  5. ナモグリバエ…3~11月
  6. ハコベモグリハナバエ…4~7月
  7. マメハモグリバエ…6~11月
  8. ヨメナスジハモグリバエ…4~11月

被害箇所

葉、つぼみ、花、若い茎など。

形態

【成虫の形態】体長2~2.5mm程度の、小さなハエ。体色は、灰褐色や黄褐色など。


【幼虫の形態】老熟幼虫で体長2~4mm程度の、小さなウジ。体色は、淡黄色、淡黄緑色、黄褐色など。脚は無い。

【補足事項】
  1. ナモグリバエ…葉の中で蛹になる。
  2. ハモグリバエの仲間…蛹になるとき、葉の外に出て土中に潜る。
  3. マメハモグリバエ…体色は淡黄色。北アメリカ原産で、日本では、1990年に静岡で初確認された。

主な被害

【成虫の被害】雌虫が葉に傷を付け、吸汁・産卵する。被害部分は、ごく小さな、白~淡黄色の斑点が多数できる。


【幼虫の被害】葉や茎、つぼみの内部に食入し、内部をトンネル状に食害する。被害部分は、虫の進んだ跡が、曲がりくねった白い線のように見える。被害がひどいと、葉が真っ白になったり、変形したり、枯れたりする。

【補足事項】
  1. ナスハモグリバエ…多犯性で、ニンジンのような幅の狭い葉でも食入する。
  2. ナモグリバエ…マメ類の場合、葉の基部(托葉)に好んで食入し、しばしば、葉全体を枯らす。
  3. フジタマモグリバエ…葉肉に潜るのではなく、フジの脇芽の付け根に侵入し、コブ状に肥大させる。被害芽は正常に展開しなくなる。
  4. モグリハナバエの仲間…若い葉の表皮を残して葉肉だけを食うため、大きな袋状の、白っぽい空洞ができる。茎やつぼみ、花に食入することもあり、生長を止めてしまう。

対策

【成虫の対策】見つけ次第捕殺するが、逃げられやすい。


【幼虫の対策】見つけ次第、葉の中の虫をつぶす。被害部分を切除した場合は、必ずその場で処分する。しおれた程度なら、幼虫は十分生育できるため、そのまま放っておくと、新たな発生源となる。

【幼虫の薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、カウンター、カスケード、コロマイト、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダントツ、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、トクチオン、トリガード、トレボン、プレオ、プレバソン、ベストガード、ベニカ、ベニカD、マッチ、マラソン、モスピランなど。

【注意点】薬剤に強い耐性を持つ。(特に、マメハモグリバエは最強。)虫が葉の内部にいるため、薬剤の効果が薄い。

予防策

隠れ家となる周辺の雑草を除去する。天敵が多いので、それらを殺すような強い殺虫剤を使わない。株の購入時によく観察し、被害痕のあるものを持ち込まない。
株とその周囲を、近紫外線反射フィルムで覆う。銀色に光るものを忌避するため、銀色ポリフィルムやアルミホイルなどでマルチングする。黄色に引き寄せられるので、黄色粘着トラップを吊るす。

主な被害植物

【草花・鉢花】アスター、アヤメ、エビネ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、カンラン、キク、キンギョソウ、キンセンカ、クリサンセマム、ケイトウ、サクラソウ、サルビア、シネラリア、宿根アスター、宿根カスミソウ、スイートピー、セラスチウム、ダリア、デージー、トルコキキョウ、ナスタチウム、ナデシコ類、ハナショウブ、ヒマワリ、ヒョウタン、プリムラ、フロックス、ペチュニア、ベニバナ、ホオズキ、マーガレット、マリーゴールド、メランポジウム、ラナンキュラス、ルドベキアなど。

【樹木・果樹】ウリノキ、エゴノキ、サザンカ、シオジ、ソヨゴ、チャ、ツバキ類、トベラ、ニシキギ、フジ、フヨウ、マサキなど。

【ハーブ・野菜】インゲン、ウリ類、エダマメ、エンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カモミール、キャベツ、キュウリ、クレソン、ゴボウ、コマツナ、サラダナ、シシトウ、シソ、ジャガイモ、シュンギク、食用ホオズキ、スイートマジョラム、スイカ、セロリ、ソラマメ、ターサイ、ダイコン、ダイズ、タンジー、チンゲンサイ、トウガラシ、トウガン、トマト、ナス、ニガウリ、ニンジン、ネギ類、ハクサイ、ハコベ、パセリ、ビーツ、ピーマン、フェンネル、ブロッコリー、ホウレンソウ、ミント類、メロン、レタス類など。

【ラン】エビネ、カンラン、シュンラン、シンビジウム、リカステなど。

主な種類

アカザモグリハナバエ、アシグロハモグリバエ、アヤメハモグリバエ、イネハモグリバエ、イネヒメハモグリバエ、インゲンモグリバエ、エンドウハモグリバエ、キクハモグリバエ、キツネノボタンハモグリバエ、チャハモグリバエ(チャノハモグリバエ)、テンサイモグリハナバエ、トクナガハモグリバエ、トマトハモグリバエ、ナスハモグリバエ、ナモグリバエ、ネギハモグリバエ、ハコベモグリハナバエ(ハコベハナバエ)、フジタマモグリバエ、マメハモグリバエ、ヨメナスジハモグリバエなど。