チュウレンジ類
ミフシハバチ科に属する。バラの害虫として非常に悪名高い。多発するため、早期に駆除しないと、木が丸坊主にされることがある。
この仲間の成虫は、姿が似通っており、区別が付きにくい。ハチの仲間とはいえ、成虫に毒針は無く、集団で巣を作ることもない。
発生時期
4~11月
【補足事項】- ニレチュウレンジ…5~9月
- ルリチュウレンジ…5~10月
被害箇所
葉など。
形態など
老熟幼虫で体長2.5~3cm。体色は淡緑色で透明感があり、頭部が黒色~淡褐色。終齢幼虫になると、胴部に黒い小斑点が入ることが多い。よく見ると、全身に細かい毛が生えている。しばしば、体をほぼ直角に曲げ、尾部を持ち上げる、独特なポーズをとる。極暖地では被害が出ない。
- アカスジチュウレンジ…老熟幼虫で体長2cm。体色は黄緑色で、頭部は淡褐色~黄褐色。全身に黒い小斑点を持つ。年3~4回の発生。成虫は頭部と翅が黒く、胸部と腹部が赤褐色で、よく目立つ。
- チュウレンジバチ…老熟幼虫で体長1.4cm。体色は黄緑色で、頭部は黒。全身に黒い小斑点を持つ。体をほぼ二つ折りにし、全身をU字~V字型にしていることが多い。土中でマユを作り、サナギになる。サナギで越冬する。年2~4回の発生。成虫は翅と脚が黒く、黄橙色の膨らんだ腹部が目立つ。
- ニホンチュウレンジ…老熟幼虫で体長1.8cm。体色は黄緑色で、頭部は淡褐色~黄褐色。成虫はチュウレンジバチとそっくりだが、後脚が橙色である点が異なる。
- ニレチュウレンジ…老熟幼虫で体長2cm。体色は黄褐色で、全身に黒い小斑点を持つ。年2~3回の発生。成虫は黒く、胸部が赤いため、「ムネアカチュウレンジ」とも呼ばれる。
- ルリチュウレンジ…老熟幼虫で体長2~2.5cm。体色は淡黄緑色で、頭部は橙褐色。全身に黒い小斑点を持つ。土中で丸いマユを作り、サナギになる。幼虫で越冬する。年2~3回の発生。成虫は名前の通り、全身が濃い瑠璃色である。雌のみで単為生殖を行うことがあり、その場合、生まれる子虫は全て雄となる。
主な被害
葉を食害する。太い葉脈は食べずに残す。
若齢幼虫のうちは葉裏で集団生活し、一列に並んで葉の縁から食害する。老熟すると次第に分散し、単独生活に入る。
- アカスジチュウレンジ、チュウレンジバチ、ニホンチュウレンジ…いずれも、バラ科植物、特にバラを好んで加害する。また、成虫は、バラの若枝の組織を縦に切り裂いて産卵するため、枝の生長とともに傷跡が大きな裂け目となり、枝の生育が悪くなることがある。
- ニレチュウレンジ…ニレ類だけを加害する。発生は下枝から始まり、次第に上部に拡大する。
- ルリチュウレンジ…サツキ・ツツジ類だけを加害する。
対策
見つけ次第捕殺するか、被害部分ごと虫を除去する。
【補足事項】- ニレチュウレンジ…成虫は動作が鈍いため、簡単に捕殺できる。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンW、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アルバリン、アントム、ウララDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードベイトA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スケルサイドA、スターガード、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダブルアタックAL、ダントツ、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、トクチオン、トレボン、パイベニカ、ブルースカイAL、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、ベニカマイルド、マラソン、モスピランなど。
予防策
株元の落ち葉の下や浅い土中でサナギになり越冬することから、冬季、株元を掃除し、土を軽く耕す。天敵が多いので、それらを殺すような強い殺虫剤を使わない。
【補足事項】- アカスジチュウレンジ…産卵に来る成虫を捕殺する。株元の浅い土中で越冬するため、冬に軽く耕す。
- ニレチュウレンジ…株元の落ち葉の中や土中浅くで白いマユを作り、その中で越冬するため、冬に掃除し、軽く耕す。
- ルリチュウレンジ…葉裏の縁ギリギリに、少しふくらんだ茶色の丸い傷(=産卵跡)を見つけたら、その部分を切除する。
主な被害植物
【草花・鉢花】ワレモコウなど。
【樹木・果樹】サツキ、シャクナゲ、ツツジ類、ナナカマド、ニレ類、バラなど。
主な種類
アカスジチュウレンジ、チュウレンジバチ(チュウレンジハバチ)、ニホンチュウレンジ、ニレチュウレンジ(ムネアカチュウレンジ)、ルリチュウレンジなど。