キリガ類
ヤガ科に属する。ヨトウムシの仲間なので、姿が似る。この仲間の成虫は、種類によって、春に活動するもの、秋に活動するもの、秋~翌春に活動するもの、に分かれる。
※同じ仲間のアカバキリガは、「ハマキムシ」の一種として扱っている。
発生時期
4~7月
被害箇所
葉、つぼみ、花、果実など。
形態など
老熟幼虫で体長3~8cm程度。体色は淡褐色~暗褐色、淡緑色など。土中で越夏して秋に羽化し、成虫で越冬する。いずれも年1回しか発生せず、多発することもない。
【補足事項】- アヤモクメキリガ…老熟幼虫で体長5.5~6cm。体色は淡緑色で、黒で縁取られた白い小斑点が並ぶ。体側面には、淡黄色の縦線が走る。土中で夏を越して晩秋に成虫となり、そのまま越冬する。年1回の発生。
- エゾモクメキリガ…老熟幼虫で体長4.5~5cm。体色は淡緑色で、黄色の小斑点が並ぶ。胸部には、やや目立つ黄色の斑紋が四つある。静止時は上体を反らしている。サナギで越冬する。年1回の発生。
- カバイロミツボシキリガ…老熟幼虫で体長4cm。体色は黒っぽく、細く白い縦線が目立つ。頭部は橙褐色。成虫で越冬する。年1回の発生。
- キバラモクメキリガ…老熟幼虫で体長5~5.5cm。体色は淡褐色~暗褐色で、胸部背面に黒い模様がある。終齢幼虫以外は全身緑色。成虫で越冬する。年1回の発生。
- シマキリガ…老熟幼虫で体長3~4cm。体色は淡緑色で、頭部は黒。卵で越冬する。年1回の発生。
- シラオビキリガ…老熟幼虫で体長3.5cmほど。体色は淡灰褐色で、体側面に、淡色の波状模様が並ぶ。卵で越冬する。年1回の発生。
- シロヘリキリガ…老熟幼虫で体長3cm。体色は黒褐色で、橙色の細い線模様が複雑に入る。全身に、まばらに毛がある。サナギで越冬する。年1回の発生。
- タカオキリガ…老熟幼虫で体長3.5cmほど。体色は黄緑褐色だが、黒色部が目立つ。サナギで越冬する。年1回の発生。
- ノコメトガリキリガ…老熟幼虫で体長3.5~4cm。体色は褐色~黒褐色。胸部背面に黒い模様がある。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ヒロバモクメキリガ…老熟幼虫で体長4.5~5.5cm。体色は茶褐色または緑色で、側面に濃色の線が走る。尾部の背面が少し盛り上がっている。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ミツボシキリガ…老熟幼虫で体長3.5~4cm。体色は淡黄色で、背面に白の細い縦線が三本と、太い黒線のシマシマがある。成虫で越冬する。年1回の発生。
主な被害
葉やつぼみ、花弁、果実の表面などを食害する。
ハマキムシほど明確ではないが、葉を糸で綴って巣を作ることがある。また、時には、果実やつぼみに大穴をあけ、シンクイムシのように内部に食入することもある。
【補足事項】- カバイロミツボシキリガ…シナノキの葉を糸でつづり、食害する。
- シラオビキリガ…ブナ科樹木の葉を糸でつづり、食害する。
- タカオキリガ…スギ、モミ類などの針葉樹を加害する。
- ノコメトガリキリガ…萌芽した芽や、開花した花を次々に食害するため、果樹では甚大な被害となる。その他、ツバキなどのつぼみに孔をあけて食入することも多い。
- ミツボシキリガ・シマキリガ…いずれもエノキの葉を糸でつづり、食害する。
対策
見つけ次第捕殺する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アファーム、アファームエクセラ、アプロードエース、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードジェットBT、ガードベイトA、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、クオーク、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイアジノンSL、ダイポール、ダブルアタックAL、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、デルフィン、トアローCT、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイオマックスDF、パイベニカ、バシレックス、ファルコン、ファイブスター、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、ロムダンなど。
【注意点】果樹の場合、薬剤を散布すると、ハチやアブなどの訪花昆虫に悪影響がある。
予防策
特に無し。
【補足事項】- ノコメトガリキリガ…冬、枝に生み付けられた卵を殺すため、石灰硫黄合剤を散布する。
主な被害植物
【草花・鉢花】アイリス類、ユリなど。
【樹木・果樹】アベマキ、ウメ、エニシダ、エノキ、カイドウ、カキ、カシ類、カシワ、クヌギ、サカキ、サクラ、スギ、スモモ、ナシ、ナラ類、ニレ類、ブナ、ボケ、モミ類、モモ、ヤナギ類、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】イタドリ、エダマメ、エンドウ、キクイモ、ゴボウ、ジャガイモ、スイバ、ダイズなど。
主な種類
アヤモクメキリガ(アヤモクメ)、エゾモクメキリガ、カシワキリガ、カバイロミツボシキリガ、カバキリガ、キバラモクメキリガ、シマキリガ、シラオビキリガ、シロヘリキリガ、スモモキリガ、タカオキリガ、チャイロキリガ、ニレキリガ、ノコメトガリキリガ(ノコメキリガ、モモノハナムシ)、ヒロバモクメキリガ、ミツボシキリガ、ヨモギキリガなど。