シャチホコガ類
シャチホコガ科に属する。集団でひどく暴食するため、早期に駆除しないと、木が丸坊主になり、衰弱する。
発生時期
4~10月
【補足事項】- オオトビモンシャチホコ…4~7月
- シャチホコガ…5~7月・9月
- セグロシャチホコ…5~7月・9~11月
- セダカシャチホコ…7~9月
- ツマキシャチホコ…7~10月
- ホソバシャチホコ…7~10月
- ムクツマキシャチホコ…7~9月
- モンクロシャチホコ…8~10月
被害箇所
葉など。
形態など
老熟幼虫で体長2~5cm。体色は赤褐色や黒色、淡緑色など。種類によっては、さまざまな色が複雑に入り混じる。
この仲間は、種類によって、幼虫の姿が著しく異なる。大きく分けて、「名の由来になったシャチホコ型のもの」「毛深いケムシ型のもの」「普通のイモムシ型のもの」の三つがある。
- ウスイロギンモンシャチホコ…老熟幼虫で体長3.5cm。体色は灰褐色で、表面がテカテカしている。サナギで越冬する。年2回の発生。
- ウスキシャチホコ…老熟幼虫で体長5cm。体色は淡緑白色で、体側面に、白~淡黄色の線が一本入る。サナギで越冬する。年2回の発生。
- オオエグリシャチホコ…老熟幼虫で体長4.4~4.5cm。体色は緑白色~淡灰色で、背面に白、側面に淡黄色の縦線を持つ。サナギで越冬する。年2回の発生。
- オオトビモンシャチホコ…老熟幼虫で体長5cm。体色は、赤褐色~黄褐色地に、黒い小斑紋が複雑に入る。全身に微毛がある。頭部は黒。卵で越冬する。年1回の発生。
- ギンシャチホコ…老熟幼虫で体長4.5cm。体色は黄緑色で、胴の側面と頭部が褐色。背中に、枝分かれした大きな突起が七つ並ぶ。尾脚が無いため、いつも尾部を斜め上に持ち上げている。サナギで越冬する。年2回の発生。
- シャチホコガ…老熟幼虫で体長4.5cm。体色は褐色~黒褐色で、頭部と尾部が大きく、背中が鋸歯状になっている。また、一般的なイモムシのイメージとは異なり、胸脚と尾脚が異様に長い。静止時は、頭部と尾部を大きく反らした、独特なポーズを取る。葉をつづってマユを作り、サナギで越冬する。年2回の発生。
- シロシャチホコ…老熟幼虫で体長3cm。体色は淡黄色~赤褐色。体型は、上記のシャチホコガによく似る。サナギで越冬する。年2回の発生。
- セグロシャチホコ…老熟幼虫で体長3.5cm。体色は赤褐色で、背中に黒と黄色の縦線がある。さらに黒線上には、白と赤の小斑点が並ぶ。胸部背面に、コブと黒い毛束があり、ドクガ類の幼虫に似るが、無毒である。幼虫で集団越冬する。年3回の発生。
- セダカシャチホコ…老熟幼虫で体長5~6.5cm。体色は淡緑白色で、体側面に白い斜線が入っており、スズメガ類の幼虫を思わせる。(ただし、スズメガ類の特徴である尾角は無い。)気門の周囲が赤褐色で目立つ。年2回の発生。サナギで越冬する。
- タテスジシャチホコ…老熟幼虫で体長3cm。体色は、黄色と黒の縞々模様。頭部は橙色で、小さな黒い斑紋がある。サナギで越冬する。年2回の発生。
- ツマアカシャチホコ…老熟幼虫で体長3~4cm。背面は灰白色。体側面は黒く、黄橙色の小斑紋が並ぶ。全身にまばらな体毛を持つうえ、背面に黒いコブがあるため、ドクガ類の幼虫に似るが、無毒。サナギで越冬する。年2~3回の発生。
- ツマキシャチホコ…老熟幼虫で体長5cm。体色は、黒と赤橙色の縦縞模様で、全身に長い毛がある。若齢幼虫は赤橙色一色。サナギで越冬する。年2回の発生。
- トビスジシャチホコ…老熟幼虫で体長3.5cm。体色は黄緑色で、背中に小さな突起が並ぶ。サナギで越冬する。年2回の発生。
- ナカグロモクメシャチホコ…老熟幼虫で体長3.5cm。体色は淡緑色で、背面には菱形、頭部と尾部には三角形の、大きな褐色模様がある。若齢幼虫は黒褐色で、背面に淡緑色の斑紋が二つある。尾脚が長い二本の突起に変化しており、刺激されると、その先端から、さらに糸状突起を出す。サナギで越冬する。年2回の発生。
- ホソバシャチホコ…老熟幼虫で体長4cm。体色は、淡褐色と濃褐色が入り交じり、胸部側面に、わずかに黄緑色がある。サナギで越冬する。年2回の発生。
- ムクツマキシャチホコ…老熟幼虫で体長4.5cm。体色は、黒地に白い線模様と赤褐色の斑紋が目立つ。
- ムラサキシャチホコ…老熟幼虫で体長4cm。体色は、頭部と背面が黒褐色で、体側面が淡黄緑色。頭部に角のような突起が二つあり、尾脚が突起状に長く伸びる。サナギで越冬する。年2回の発生。
- モンクロシャチホコ…老熟幼虫で体長5cm。若齢幼虫は赤褐色だが、終齢になると黒紫色に変わる。全身に白~淡黄色の毛がある。普段から、尾部を少し持ち上げていることが多い。刺激されると、頭部と尾部を反らすため、「シリアゲムシ」「フナガタケムシ」などの別名がある。秋、土中浅いところでサナギになり越冬するが、羽化するのは翌年の夏。年1回の発生。成虫の翅の模様が特徴的で、人の顔のように見える。
主な被害
葉を多量に食害する。
【補足事項】- ウスキシャチホコ…イネ科植物だけを加害する。
- オオトビモンシャチホコ…マメ科植物だけを加害する。
- モンクロシャチホコ…秋にバラ科樹木(特にサクラ類)を食い荒らす害虫として有名だが、終齢幼虫は多食性で、バラ科以外の植物も加害する。
対策
見つけ次第捕殺する。若齢幼虫のうちは群れているので、見つけ次第、被害部分ごと虫を除去する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アファーム、アファームエクセラ、アプロードエース、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードジェットBT、ガードベイトA、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、クオーク、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイアジノンSL、ダイポール、ダブルアタックAL、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、デルフィン、トアローCT、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイオマックスDF、パイベニカ、バシレックス、ファルコン、ファイブスター、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、ロムダンなど。
【注意点】サクラの場合、新緑の時期に薬剤を散布すると、薬害が出やすいので注意。トアローなどのBT剤を使うと良い。
予防策
誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。種類によっては、樹皮のすき間などで越冬するので、粗皮を削り落としておく。
【補足事項】- セグロシャチホコ…幹や根の粗皮の隙間や割れ目などで集団越冬するので、きれいに削り落としておく。
- ナカグロモクメシャチホコ…樹皮のすき間などでマユを作り越冬するので、探して駆除する。
【薬剤】可能なら、冬季に、石灰硫黄合剤を散布。
主な被害植物
【観葉・多肉】ササ類、ススキ、タケ類など。
【樹木・果樹】アカメガシワ、アベマキ、アンズ、イイギリ、イスノキ、ウメ、エゴノキ、エニシダ、エンジュ、オウトウ、オニグルミ、カイドウ、カエデ類、カシ類、カシワ、クヌギ、クリ、クルミ、ケヤキ、サクラ、サンザシ、シデ類、シナノキ、シラカバ、スグリ類、ズミ、スモモ、ドロノキ、ナシ、ナラ類、ニレ類、ハギ、バラ、ハリエンジュ、ハンノキ、ビワ、フジ、ブナ、ボケ、ポプラ、マルメロ、ミズキ類、ムクノキ、ムクロジ、モモ、ヤシャブシ、ヤナギ類、ユスラウメ、リンゴなど。
【ハーブ・野菜】マメ類など。
主な種類
【ア行】アオシャチホコ、ウスイロギンモンシャチホコ、ウスキシャチホコ、オオエグリシャチホコ、オオトビモンシャチホコ、オオモクメシャチホコ、
【カ行】ギンシャチホコ、クロツマキシャチホコ、クロテンシャチホコ、
【サ行】シーベルスシャチホコ、シャチホコガ、シロシャチホコ、シロテンシャチホコ、セグロシャチホコ、セダカシャチホコ、
【タ行】タカサゴツマキシャチホコ、タテスジシャチホコ、ツマアカシャチホコ、ツマキシャチホコ、ツマジロシャチホコ、トビスジシャチホコ、トビマダラシャチホコ、トビモンシャチホコ、
【ナ行】ナカキシャチホコ、ナカグロモクメシャチホコ、ナントシャチホコ、ニッコウシャチホコ、ネスジシャチホコ、
【ハ行】ハイイロシャチホコ、バイバラシロシャチホコ、ブナアオシャチホコ、ホソツマキシャチホコ、ホソバシャチホコ、
【マ行】ムクツマキシャチホコ、ムラサキシャチホコ、モクメシャチホコ、モンクロシャチホコ(サクラケムシ、シリアゲムシ、フナガタケムシ、フナムシ)、
【ヤ行】ユミモンシャチホコ、
【ラ行】ルリモンシャチホコなど。