タテハチョウ類
タテハチョウ科に属する。タテハチョウ科の成虫は、花に来る種類もあるが、発酵した樹液や腐った果実、尿、獣糞や死体(の汁液)、など、悪食が目立つ。
発生時期
- アサマイチモンジ…5~8月
- イチモンジチョウ…4~11月
- コミスジ…5~11月
- ツマグロヒョウモン…4~11月(暖地ではほぼ周年。)
- ヒオドシチョウ…4~7月
- ヒメアカタテハ…5~7月・9~11月
- ホシミスジ…4~11月
- ミスジチョウ…4~7月
- ミドリヒョウモン…4~6月
- メスグロヒョウモン…4~6月
- ルリタテハ…5~10月
被害箇所
葉など。
形態など
老熟幼虫で体長2.5~4.5cm程度。全身にトゲが目立ち毒々しいが、毒ケムシではない。葉裏や茎にぶら下がってサナギになる。種類によっては、サナギの背面に、金色や銀色に輝く、美しい突起を持つ。
- アサマイチモンジ…老熟幼虫で体長2.7cm。若齢幼虫の体色は灰緑色だが、やがて淡緑色に変わる。背中に褐色のトゲが並び、そのうち8本のトゲが特に長い。冬季は葉をつづって巣を作り、その中で越冬する。年1~4回の発生。
- イチモンジチョウ…老熟幼虫で体長2.5cm。体色は緑色で、背面に茶色のトゲが並ぶ。幼虫が枯れ葉を糸でつづり、その中で越冬する。年3~4回の発生。
- コミスジ…老熟幼虫で体長2.4cm。体色は淡褐色~灰緑色。胸部背面に三対、尾部に一対のトゲがあり、頭部にも二本の角がある。幼虫で越冬する。年1~4回の発生。
- ツマグロヒョウモン…老熟幼虫で体長4~4.5cm。体色は黒色で、背面に橙色の一本線があり、全身に黒と橙色のトゲがある。よく地面を歩き回る。暖地性で、本州中部以南に生息するが、近年、生息域を広げつつある。幼虫またはサナギで越冬する。年4~5回の発生。
- ヒオドシチョウ…老熟幼虫で体長4.5cm。体色は黒褐色で、黄白色の小斑点がある。背面に、やや長めのトゲが並ぶ。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ヒメアカタテハ…老熟幼虫で体長4cm。体色は、黒灰色地に、白と赤褐色の複雑な模様がある。全身に灰白色の短いトゲが並ぶ。暖地性だが、近年、生息域を広げつつある。年5回の発生。
- ホシミスジ…老熟幼虫で体長2.4cm。体色は濃褐色で、尾部側面に、青緑色の三角模様がある。胸部の背面と尾部に、計四対のトゲがある。幼虫で越冬する。年1~3回の発生。
- ミスジチョウ…老熟幼虫で体長2.7cm。体色は、枯れ葉のような淡褐色で、胸部の背面と尾部に、計四対のトゲがある。幼虫で越冬するが、自分のいる葉が枯れ落ちないよう、糸で枝に補強する性質がある。年1回の発生。
- ミドリヒョウモン…老熟幼虫で体長4.2~4.5cm。体色は黒色で、橙褐色のトゲが並ぶ。山間部に多い。
- メスグロヒョウモン…老熟幼虫で体長4~4.3cm。体色は黒色で、背面に橙色の線が二本入る。全身に橙褐色のトゲが並ぶ。また、胸部には、妙に長い角状突起が一対ある。卵または孵化幼虫で越冬する。
- ルリタテハ…老熟幼虫で体長4.3cm前後。体色は、黒色・淡黄色・橙褐色の横縞と、茶褐色の斑紋が複雑に入り混じる(終齢幼虫は赤茶っぽく、若齢は黄色っぽい)。全身に、乳白色と黒色をした禍々しいトゲがある。毒はないが、肌の弱い人が触るとかぶれることがある。しばしば、体を丸く曲げて休んでいる。山間部に多い。成虫で越冬する。年1~3回の発生。
主な被害
葉を多量に食害する。
【補足事項】- アサマイチモンジ…スイカズラを好んで加害する。
- イチモンジチョウ、コミスジ、ホシミスジ、ミスジチョウ…若齢幼虫は、葉の主脈を残し、そこに、食べ残した葉の残骸を付けておく性質がある。そのため、葉がぼろぼろに見える。
- ツマグロヒョウモン…スミレ類だけを加害する。近年、生息域を広げており、パンジーやビオラの害虫として、よく知られるようになった。
- ヒメアカタテハ…葉を糸でつづって袋状の巣を作り、周囲の葉を食害する。
- ルリタテハ…主にユリ科植物を加害する。
対策
見つけ次第捕殺する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンD、アースガーデンW、アーデント、アクセル、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アタブロン、アディオン、アファーム、アファームエクセラ、アプロードエース、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードジェットBT、ガードベイトA、ガードワン、カウンター、カスケード、カダンA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、クオーク、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サブリナ、サムコル、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイアジノンSL、ダイポール、ダブルアタックAL、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、デルフィン、トアローCT、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バイオマックスDF、パイベニカ、バシレックス、ファルコン、ファイブスター、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカグリーンV、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、ロムダンなど。
予防策
株全体を寒冷紗などで覆い、成虫の飛来を防ぐ。成虫は銀色に光るものを忌避するので、銀色ポリフィルムなどでマルチングする。
主な被害植物
【草花・鉢花】コンロンカ、スミレ類、タチアオイ、トウゴマ、パンジー、ビオラ、ホトトギス、ヤグルマギク、ユリ類、ワレモコウなど。
【観葉・多肉】ガジュマルなど。
【樹木・果樹】ウツギ類(スイカズラ科)、エノキ、カエデ類、サルトリイバラ、シモツケ、スイカズラ、ニセアカシア、ニレ類、ハギ、ハリエンジュ、ヒョウタンボク、フジ、ヤナギ類、ユキヤナギなど。
【ハーブ・野菜】クズ、ゴボウ、ササゲ、シオデ、シュンギク、ダイズ、ハニーサックル、ハハコグサ、ヨモギなど。
主な種類
アサマイチモンジ、イチモンジチョウ、オオウラギンヒョウモン、カバタテハ、クモガタヒョウモン、コミスジ、ツマグロヒョウモン、ツマムラサキマダラ、ヒオドシチョウ、ヒメアカタテハ、ヒョウモンチョウ(ナミヒョウモン)、ホシミスジ、ミスジチョウ、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、ヤエヤマイチモンジ、リュウキュウヒメジャノメ、ルリタテハなど。