ヤママユガ類
毒ケムシではないものの、オオミズアオ、クスサン、ヒマサンなどは、人によってはかぶれるので注意。
ヤママユガ科に属する。かなり大型の虫で摂食量が多いため、多発すると丸坊主にされる。また雑食性が強く、被害樹の種類は多岐にわたる。
この仲間の成虫は口が退化しており、何も食べない。
絹糸を採るカイコガも同じ仲間だが、人間が飼い慣らしたものなので、野生には存在しない。
発生時期
- ウスタビガ…4~6月
- エゾヨツメ…4~6月
- オオミズアオ…5~7・9~10月
- クスサン…4~7月
- シンジュサン…7~10月
- ヒメヤママユ…4~6月
- ヤママユ…4~6月
被害箇所
葉など。
形態など
老熟幼虫で体長5~10cmと大型。体色は淡青緑色~黄緑色で、やや丸みを帯びた、太めのイモムシ。体に、ごく短い毛が生える。危険を感じると上体を持ち上げ、胸の前で両脚を密着させて、お祈りしているような威嚇ポーズを取る。基本的に、年1回しか発生しない。
- ウスタビガ…老熟幼虫で体長6cm。体色は黄緑色で、体側面に黄色い細線が入る。胸部背面に二本、尾部に一本、小さな突起を持つ。一齢幼虫は全身黒っぽく、二齢~四齢までは淡黄緑色と黒のツートンカラー。(ただし個体差が大きく、ほぼ淡黄緑色一色の個体もある。)刺激されると鳴き声を上げる。マユの形が独特で、細長いヒモで枝にぶら下がる。晩秋に成虫になり、卵で越冬する。年1回の発生。
- エゾヨツメ…老熟幼虫で体長5cm。体色は黄緑色で、体側面の黄色い細線と、背面の斜線が目立つ。終齢幼虫以外は、頭部と胸部に一対ずつと、尾部に一本、計五本の長い角を持つ。サナギで越冬する。年1回の発生。
- オオミズアオ…老熟幼虫で体長7~8cm。一齢幼虫は黒っぽいが、二齢になると赤褐色になる。黄緑色になるのは三齢以降。背中がゴツゴツしている。体毛はまばら。多発することはない。サナギで越冬する。年2回の発生。成虫も大型で、チョウのような姿をしており、青白色の美しい翅を持つ。
- クスサン…老熟幼虫で体長8~10cm。若齢幼虫は黒いが、四齢以降になると黄緑色になり、青みを帯びた白い長毛が密生する。別名「シラガタロウ」。俵型のマユはレース状で、中が透けて見えており、「スカシダワラ」と呼ばれる。幹の割れ目や枝の分岐部などにかためて産卵し、そのまま卵で越冬する。年1回の発生。
- シンジュサン…老熟幼虫で体長5cm。体色は緑色を帯びた青白色で、黒い小斑点がある。若齢幼虫は淡黄色。体毛は無く、代わりにトゲ状の突起を多数持つ。サナギで越冬する。年1~2回の発生。
和名は、食樹であるニワウルシの別名「シンジュ」から来ている。人間に飼い慣らされた養蚕用の亜種があり、「ヒマサン」「エリサン」と呼ばれる。 - ヒメヤママユ…老熟幼虫で体長5.5~6cm。体色は黄緑色。終齢幼虫以外は、背面の黒線と赤い斑紋が目立つ。背中に青みを帯びた短い毛が密生し、しかも、ハサミでカットしたように長さが揃っている。(よく見ると、その中から、長い毛がまばらに伸び出ている。)卵で越冬する。年1回の発生。
- ヤママユ…老熟幼虫で体長5.5~7cm。体色は青みを帯びた黄緑色で、側面に黄色い細線が入る。体毛はまばら。マユから、上質の「天蚕糸」が採れる。卵で越冬する。年1回の発生。
主な被害
葉を多量に食害する。
対策
見つけ次第捕殺する。若齢幼虫のうちは群れているので、見つけ次第、被害部分ごと除去する。
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予防策
誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。枝や幹に産み付けられた卵塊で越冬する種類が多いが、この卵塊は大きく目立つので、見つけ次第除去する。
主な被害植物
【樹木・果樹】アカメガシワ、アセビ、アンズ、イチョウ、ウメ、ウルシ、エゴノキ、エノキ、オニグルミ、カイドウ、カエデ類、カキ、カシ類、カシワ、カツラ、カバノキ、カマツカ、キハダ、クスノキ、クヌギ、クリ、クルミ、ケヤキ、サクラ、ザクロ、サルスベリ、サンゴジュ、シラカバ、スモモ、ドロノキ、ナラ類、ナンキンハゼ、ヌルデ、ハゼノキ、ハナミズキ、ハンノキ、ヒイラギ、ブナ、プラタナス、ボケ、ミズキ類、モチノキ類、モモ、リンゴなど。
主な種類
ウスタビガ(ヤマガマス)、エゾヨツメ、オオミズアオ、クスサン、シンジュサン、ハグルマヤママユ、ヒメヤママユ、ヤママユ(ヤママユガ)など。