カイガラムシ(特記ページ)
発生時期
周年加害する性質上、幼虫または雌成虫の姿が特に目立つ時期を記す。
- アオキシロカイガラムシ…幼虫は5月・7~8月
- イセリアカイガラムシ…成虫は5~11月、幼虫は6月・8月・10月
- イボタロウムシ…幼虫は6~7月
- イヌガヤワタカイガラムシ…幼虫は5~6月
- ウメシロカイガラムシ…幼虫は5~9月
- オオワタコナカイガラムシ…幼虫は3~6月
- オオワラジカイガラムシ…成虫は4~6月、幼虫は12月
- カキノキカキカイガラムシ…幼虫は5~6月
- カシカキカイガラムシ…幼虫は5~6月・8~9月
- カメノコロウカイガラムシ…幼虫は6~7月
- グミシロカイガラムシ…幼虫は5~6月
- クワコナカイガラムシ…幼虫は5~8月
- ケヤキフクロカイガラムシ…成虫は5~6月
- サルスベリフクロカイガラムシ…幼虫は5~6月・8~9月
- セスジコナカイガラムシ…幼虫は5~6月
- タケシロオカイガラムシ…幼虫は6~8月(幼虫)
- タケハダカカイガラムシ…幼虫は6~8月(幼虫)
- タケフクロカイガラムシ…幼虫は5月・7月
- タマカタカイガラムシ…幼虫は5~6月
- チャノマルカイガラムシ…幼虫は5~6月
- ツツジワタコナカイガラムシ…成虫は5~6月
- ツバキクロホシカイガラムシ…幼虫は5月・7~11月
- ツバキワタカイガラムシ…幼虫は5~6月
- トビイロマルカイガラムシ…幼虫は5~10月
- ナシシロナガカイガラムシ…成虫は6~4月
- バラシロカイガラムシ…幼虫は6~10月
- ヒモワタカイガラムシ…成虫は5~6月
- フジツボカイガラムシ…成虫は5~9月、幼虫は5月
- マキアカマルカイガラムシ…幼虫は6~8月
- マサキナガカイガラムシ…幼虫は5~9月
- マツカキカイガラムシ…幼虫は5~6月・8~9月
- マツコナカイガラムシ…幼虫は6月
- マツモグリカイガラムシ…成虫は4~5月・8~10月
- ルビーロウカイガラムシ…成虫は5~10月、幼虫は6~8月
形態など
【カタカイガラムシ類・カタカイガラモドキ類】- イボタロウムシ…体長10mm。体色は暗赤褐色~黒褐色。雄の幼虫が分泌するロウは、「イボタロウ」「白蝋」などと呼ばれ、ロウソクの他、医療・工業・工芸などに利用される。雌成虫が越冬する。年1回の発生。
- アカメガシワカタカイガラムシ…体型は、やや長方形。白い粉状物質をかぶる。
- イヌガヤワタカイガラムシ…体長4~5mm。色は黄褐色~茶褐色。白い綿状の卵嚢が目立つ。年1回の発生。
- カメノコロウカイガラムシ…体長4mm。白~淡桃色のロウ状物質で覆われている。この仲間では珍しく、成虫になっても歩いて移動する。雌成虫が越冬する。年1回の発生。
- クロカタカイガラムシ…色は黒褐色。熱帯地域からの侵入害虫で、温室内でよく殖える。
- タマカタカイガラムシ…体長4~5mmで、まん丸な形。色は茶褐色。年1回の発生。
- ツノロウカイガラムシ…体長6~9mmと大型。カイガラはロウ状で、色は淡灰白色~淡桃色。カイガラの形はやや歪で、背面にツノ状突起がある。雄虫もいるらしいが、普段は雌虫だけで単為生殖する。暖地性で、寒地には生息しない。雌成虫が越冬する。年1回の発生。
- ツバキワタカイガラムシ…体長3.5~4.5mm。色は淡黄色で、扁平な楕円形をしている。5月頃、白い卵嚢を出す。
- ハンエンカタカイガラムシ…体長2~3mm。色は黄褐色~褐色。年2回の発生。
- ヒモワタカイガラムシ…体長5~6mm。色は淡黄色で、褐色の縦線模様がある。形は楕円形。5月下旬頃、きわめて長い、輪状の白い卵嚢を作り、遠目にもひどく目立つ。3齢幼虫が樹上で越冬する。
- ヒラタカタカイガラムシ…色は淡灰褐色で、小判型。葉裏で集団生活する。雌虫だけで単為生殖する。
- ミカンワタカイガラムシ…体長5mm。色は淡黄緑色で、黒褐色の縦線が一本ある。幼虫で越冬する。
- ミズキカタカイガラムシ…体長5mm。色は黄褐色。
- モミジワタカイガラムシ…体長8~11mmと大型。色は褐色で、円形。5月頃、白い綿状の卵嚢を付ける。雌成虫で越冬する。年1回の発生。
- ルビーロウカイガラムシ…体長3~4mm。色は赤褐色で、丸形。雌虫だけで単為生殖する。インドからの侵入種で、日本では1987年に長崎県で初確認された。暖地性で、寒地には生息しない。雌成虫が越冬する。年1回の発生。
【コナカイガラムシ類】
- オオワタコナカイガラムシ…体長3~4mm。体色は淡褐色で、白いロウ状物質で覆われる。体型は楕円形。5月頃、白いひも状の卵嚢を作るため、よく目立つ。
- クワコナカイガラムシ…体長3~4.5mm。体色は黄褐色~暗褐色で、白い粉で覆われる。尾が長め。綿状の卵嚢を作る。卵で越冬する。
- セスジコナカイガラムシ…体長3.5~5mm。体色は白色で、粉状物質で覆われる。ワラジムシ状。
- タケシロオカイガラムシ…体長は真っ白で、綿状物質で覆われる。体から、細く長い「ろう管」が一本伸び出ており、とても目立つ。成虫になると定着し、歩き回らない。成虫で越冬する。年1回の発生。
- チガヤシロオカイガラムシ…体長3~5mm。雌虫だけで単為生殖する。海外からの侵入種。成虫になると定着し、歩き回らない。年1~2回の発生。
- ツツジコナカイガラムシ…体長3~3.5mm。体型は楕円形。葉裏に、白く細長い卵嚢を作る。樹皮の隙間、葉の間、葉の付け根などで幼虫が越冬する。年1回の発生。
- ナガオコナカイガラムシ…体長3~4mm。長い糸状の尾が二本生えており、目立つ。
- ナスコナカイガラムシ…体長3mm程度。雌虫だけで単為生殖する。海外からの侵入種。
- フジコナカイガラムシ…体長2.5~4mm。体色は暗褐色で、白い粉で覆われる。年3回の発生。
- マツコナカイガラムシ…体色は橙黄色で、白い綿状物質で覆われる。体型は楕円形。老木に多い。幼虫で越冬する。年1~3回の発生。
- マツモトコナカイガラムシ…体長3~3.5mm。体色は紫褐色で、白い粉で覆われる。暗い場所を好む。幼虫で越冬する。年3回の発生。
- ミカンヒメコナカイガラムシ…体長2.5~3mm。体色は淡黄褐色で、白い粉で覆われる。幼虫で越冬する。
- ミカンネコナカイガラムシ…体長1.1mm。体色は短黄白色で、白い粉で覆われる。生涯、土の中から出てこない。幼虫で越冬する。
【フクロカイガラムシ類】
- ケヤキフクロカイガラムシ…体長3mm。色は灰白色で、白い綿状物質をまとう。年1回の発生。
- サルスベリフクロカイガラムシ…体長3~4mm。色は白だが、紫色がかった褐色の個体もある。幹に生み付けられた卵嚢で越冬する。年2~3回の発生。
- タケフクロカイガラムシ…白色で楕円形。老熟幼虫で越冬する。年2回の発生。
【フサカイガラムシ類】
- フジツボカイガラムシ…体長4~6mmと大型。色は褐色で、半球形。名前の通り、フジツボに似る。年1回の発生。
【マルカイガラムシ類】
- アオキシロカイガラムシ…体長1.5~3mm。色は灰白色で、洋ナシ型。
- アカホシマルカイガラムシ…色は焦茶色で、真ん中に赤褐色の模様がある。海外からの侵入種。本来は熱帯性で、温室内を好む。
- ウメシロカイガラムシ…体長2~2.5mm。色は白~灰白色で、円形。カイガラの中央付近に、赤褐色の丸い模様がある。雄虫は体長1mmで、細長い。雌成虫で越冬する。年2~3回の発生。
- カキノキカキカイガラムシ…体長3mm。色は褐色~淡褐色で、縁の部分が淡灰色。年2回の発生。
- カシカキカイガラムシ…体長2.5~3cm。色は茶褐色~黒褐色で、やや細長い。
- カマクラカキカイガラムシ…体長2~3mm。色は茶褐色~黒紫色で、光沢があり、かなり細長い。暖地に多い。雌成虫と雌幼虫が越冬する。年2回の発生。
- グミシロカイガラムシ…体長2mm。色は灰白色で、円形。
- クリシロカイガラムシ…体長2.5~3mm。色は灰白色で、楕円形。
- クワシロカイガラムシ…上記のウメシロカイガラムシとよく似ており、以前は同一種とされていた。年2~4回の発生。
- サカキホソカイガラムシ…体長3~4mm。色は褐色で、形は細長い。
- ササシロナガカイガラムシ…体長2~3mm。色は灰白色。雌成虫が越冬する。年2回の発生。
- ササヒメシロカイガラムシ…体長1.5~2mm。色は灰白色で、円形。雌だけで単為生殖する。幼虫で越冬する。年2回の発生。
- サボテンシロカイガラムシ…体長1~2mm。カイガラは白っぽく、扁平で細長い。
- シイマルカイガラムシ…雌のみで単為繁殖し、雄はいないとされる。成虫で越冬する。年2回の発生。
- シャシャンボコノハカイガラムシ…体長1.5~2mm。色は淡黄褐色で、細長い。広葉樹に寄生する型と、針葉樹に寄生する型がある。
- タケシロナガカイガラムシ…色は白色。年2回の発生。
- チャクロホシカイガラムシ…体長2mm前後。色は黄褐色~灰褐色。成虫で越冬する。
- チャノマルカイガラムシ…体長3~4mm。色は茶褐色で、樹皮に紛れて見つけにくい。形は丸型。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ツバキクロホシカイガラムシ…体長2mm。色は黄褐色~灰褐色で、楕円形。年2回の発生。
- トビイロマルカイガラムシ…色は暗褐色で、円形。成虫で越冬する。年2~3回の発生。
- ナガクロホシカイガラムシ…体長1.5mm。色は淡褐色で、細長い形。海外からの侵入種で、本来は熱帯性。
- ナシシロナガカイガラムシ…体色は赤褐色で、細長い。白いロウ状物質をまとうが、群れの中には、まとっていない個体も混じる。年1回の発生。
- ナシマルカイガラムシ…体長2mm。色は灰白色~暗褐色で、中心に、目玉のような模様がある。形は円形。別名「サンホーゼカイガラムシ」。二齢幼虫で越冬する。年3回の発生。
- ニッポンカキカイガラムシ…成虫で越冬する。年2回の発生。
- バラシロカイガラムシ…体長2~3mm。色は白色。形は円形で、とても薄っぺらい。
- マキアカマルカイガラムシ…色は赤褐色。年2回の発生。
- マサキナガカイガラムシ…体長2mm。色は暗褐色~灰褐色で、細長い。雄幼虫は白色で、大量に群れる。年2回の発生。
- マツカキカイガラムシ…体長2~4mm。色は暗褐色で、細長い。年2回の発生。
- ミカンマルカイガラムシ…体長3~3.5mm。色は茶褐色で、円型。雄幼虫は、葉の葉脈に沿って集団生活する。年2回の発生。
- モミカキカイガラムシ…卵で越冬する。年1回の発生。
- ヤノネカイガラムシ…体長4mm程度。色は褐色で、細長い形。大陸からの侵入種。雌幼虫は雌成虫に似た形をしており、単独で生活する。雄幼虫は白い綿毛をかぶり、葉裏などに群れる。年2~3回の発生。
- リンゴカキカイガラムシ…体長4mm。色は赤褐色で、細長い。年1回の発生。
【ワタフキカイガラムシ類】
- イセリアカイガラムシ…体長5~8mm。褐色の殻を持ち、尾部には、縦筋の入った、白い綿状の卵嚢が付いている。海外からの侵入種で、カンキツ類の大害虫として非常に有名。年2~3回の発生。
- オオワラジカイガラムシ…体長1cm前後で、日本産のカイガラムシとしては最大。体色は暗褐色で、白い粉で覆われる。12月頃に幼虫が孵化し、そのまま越冬するらしい。年1回の発生。
- カシノアカカイガラムシ…体色は赤橙色。孵化直後と成虫には脚があるが、その中間の期間は脚が無い。
- キイロワタフキカイガラムシ…イセリアカイガラムシに似るが、群れない。
- ハンノモグリカイガラムシ…体色は赤橙色。孵化直後と成虫には脚があるが、その中間の期間は脚が無い。高冷地に生息するためか、3年に1回の発生。
- マツノモグリカイガラムシ…体色は赤褐色~橙色で、白い粉を吹く。姿はアブラムシに似ている。孵化直後と成虫には脚があるが、その中間の期間は脚が無い。年1回の発生。
【その他のカイガラムシ類】
- カシニセタマカイガラムシ…体長4mm。色は黄褐色。半球形で硬い。成虫・幼虫ともに脚が退化し、移動できない。二齢幼虫で越冬する。年1回の発生。
主な被害
- イボタロウムシ…集団生活し、枝を白いロウ状物質でびっしりと覆う。実害は少なく、木が弱ることはほとんど無いため、放置して差し支えない。
- ウメシロカイガラムシ…樹皮が見えないほど大発生することがあり、放置すると木を枯死させる。ウメのこうやく病を誘発する。日当たりの悪い部分を好む。
- カキノキカキカイガラムシ…多発すると木を枯らすことがある。
- カマクラカキカイガラムシ…ツバキの葉の表裏を問わず寄生する。
- カメノコロウカイガラムシ…葉表によくいる。
- クワコナカイガラムシ…ブドウ葉巻病の病原ウイルスを媒介する。
- クワシロカイガラムシ…ウメシロカイガラムシに似る。袋かけをした果実にも寄生する。
- サボテンネコナカイガラムシ…サボテン・多肉植物の根だけを加害する。
- シイマルカイガラムシ…シイの葉の裏面に潜り込む。被害部分はふくらみ、黄色く変色する。
- シャクナゲコノハカイガラムシ…日本産シャクナゲの葉裏の毛の中に寄生する。雌虫は見つけにくいが、雄虫は白い殻が目立つ。
- ツツジコナカイガラムシ…新梢や新芽に群がって加害するため、芽の伸長が阻害される。6月に孵化する幼虫は、ごく小さい上、葉裏に生息しており見つけにくい。
- ツノロウカイガラムシ…葉裏を好み、葉表にはあまり寄生しない。
- ツバキクロホシカイガラムシ…葉の表面の、葉脈に沿って寄生する。
- トビイロマルカイガラムシ…カイガラムシの仲間としては珍しく、日当たり・風通しの良い部位(葉の表など)に好んで寄生する。
- ナシマルカイガラムシ…衰弱した木ほどよく発生する。
- バラシロカイガラムシ…バラの重要害虫として有名。多発すると、木が枯死することもある。
- マサキナガカイガラムシ…葉だけでなく、枝や幹にも寄生する。マサキこうやく病を誘発する。
- マツモグリカイガラムシ…幼虫は、マツの葉の基部や樹皮の下に潜り込むことが多く、外部から見えにくい。被害がひどいと葉が枯れたり、枝が湾曲(「フラッギング」という)して、木がひどく弱る。
- マツモトコナカイガラムシ…果樹類の枝や幹を加害するほか、根に寄生することもある。被害を受けた根は、ゴツゴツしたコブだらけになる。
- ミカンネコナカイガラムシ…カンキツ類の根に寄生し、木をひどく弱らせる。
- ミカンワタカイガラムシ…葉裏に多い。
- ミズキカタカイガラムシ…最初は葉に寄生し、後に、幹へ移動する。
- モミジワタカイガラムシ…枝や幹の割れ目などに寄生する。古い成木と老木に限って加害する。
- ヤノネカイガラムシ…カンキツ類の枝・葉・果実の表面に寄生する。時に大発生し、木を枯死させる。ただし、ユズには寄生しない。
予防策
- オオワタコナカイガラムシ…冬季、雄虫が幹に白いマユを作るので、かき落としておく。
- クワシロカイガラムシ…チャの場合、抵抗性品種があるので、それを栽培する。
- モミジワタカイガラムシ…樹皮の割れ目や隙間などで集団越冬している成虫を探してかき落とす。また、5月に枝や幹の割れ目などを調べ、産み付けられた卵のうをつぶす。