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素人園芸解説 -私はこう育てる-

コバチ類・コブハバチ類・タマバチ類

カタビロコバチ科・タマバチ科・ハバチ科に属する。れっきとしたハチの一種だが、ミツバチやスズメバチのような有名どころのハチとは遠く離れた別種である。雌だけで単為生殖を行う種類が多い。
この仲間は、全ての種類が植物に害を為すわけではない。他の害虫に寄生する「寄生バチ」も数多く、これらは益虫扱いされる。
クリタマバチは、クリの最重要害虫として悪名高い。

※普通に食害するハバチ類は、「イモムシ・ケムシ」として扱っている。

発生時期

4~12月

【補足事項】
  1. カワヤナギハバチ…4月
  2. クヌギノイガタマバチ…8~10月
  3. クリタマバチ…4~6月
  4. バラハタマバチ…5~8月
  5. ミズナラフシタマバチ…4~5月

被害箇所

葉、葉柄、芽、茎、若枝、花、つぼみ、果実など。

形態など

幼虫は体長1~2mm程度のウジ虫状。体色は乳白色~淡黄色など。普通は、脚が無い。

【補足事項】
  1. クリタマバチ…幼虫は芽の組織内で越冬し、翌春、虫コブを作る。成虫は3mm程度の小さなハチで、雄がおらず、雌のみで単為生殖をしている。
    中国原産で、日本では1941年に岡山で初確認された。かつて、多くのクリ栽培農家・在来品種に大打撃を与えた大害虫である。抵抗性品種の登場で一時勢力が落ちたが、やがて、その抵抗性品種にも寄生し始め、再び被害が増えている。しかし、現在は、有力な天敵チュウゴクオナガコバチが日本に導入され、成果を上げつつあるという。
  2. モウソウタマコバチ…幼虫は淡黄色で、脚が無い。虫コブ内で越冬する。年1回の発生。成虫は約7mmで青緑色。

主な被害

淡黄色~黄緑色、褐色、淡紅色などをした虫コブを形成する。虫コブの形は、球形や、扁平な円形、細長い楕円形などさまざま。中には、表面に毛が生えていたり、鱗片で包まれているものもある。
虫コブは、後に、赤褐色や黄褐色に変色することが多い。虫コブの形成数が多いと、被害部分が枯れることがある。

【補足事項】
  1. クヌギノイガタマバチ…クヌギ類の小枝に、あたかも果実のような、毛玉状の虫コブを作る。虫コブはその後、緑色~黄褐色に変化する。一つの虫コブには一匹の幼虫がいる。見た目ほどの害はない。
  2. クリタマバチ…初夏に産み付けられた卵が7~8月に孵化し、クリの芽に潜りこむ。翌春、新芽を径1~1.5cmの虫コブに変形させる。虫コブはその後、赤褐色に変色する。一つの虫コブに、数匹~十数匹の幼虫がいる。大発生することが多く、開花結実が望めないばかりか、樹をひどく弱らせる。弱った木に発生しやすい。
  3. バラハタマバチ…バラの葉裏の葉脈上に、小さなトゲのある、丸い虫コブを作る。
  4. ミズナラフシタマバチ…新葉に緑色の虫コブを作る。多発すると新梢の伸長が妨げられる。その後、虫コブは赤っぽく変色する。
  5. モウソウタマコバチ…タケ類の若い小枝に、長さ2~3cmの、細長い虫コブを作る。虫コブの周辺部は枯れこむ。多発すると、株全体が枯死する。

対策

見つけ次第、虫コブのある部分を除去する。すでに枯れ落ちた被害部分も、虫が入っていることがあるので放置しない。


【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アースガーデンW、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アルバリン、アントム、ウララDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードベイトA、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スケルサイドA、スターガード、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダブルアタックAL、ダントツ、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、トクチオン、トレボン、パイベニカ、ブルースカイAL、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカマイルド、マラソン、ムシキントール、モスピランなど。

【注意点】虫コブができる前(成虫が羽化~飛来する時期)に散布しないと、効果が無い。時期は、春または秋が適当。

【補足事項】
  1. クリタマバチ…3~4月頃、萌芽する直前に薬剤散布する。作業が遅れたら、6月に出てくる新成虫を狙う。

予防策

通風を改善する。施肥や病害虫に気を配り、木を健康に育てる。

【補足事項】
  1. クリタマバチ…抵抗性品種を栽培する。ただし近年、抵抗性品種を加害する個体が現れているため、最新の抵抗性品種を選ぶ。
  2. モウソウタマコバチ…冬、枯れた葉を目印に虫コブを探し、除去する。

主な被害植物

【観葉・多肉】ササ類、タケ類など。

【樹木・果樹】アベマキ、ウツギ類(スイカズラ科)、カシ類、カシワ、キイチゴ類、クヌギ、クリ、ナラ類、バラ、ヤナギ類など。

主な種類

カワヤナギハバチ、クヌギエダイガタマバチ(クヌギノイガタマバチ)、クヌギハケタマバチ、クヌギハケツボタマバチ、クリタマバチ、シバヤナギコブハバチ、ナライガタマバチ(ナラノイガタマバチ)、ナラハタイコタマバチ、ナラリンゴタマバチ(ナラノリンゴタマバチ)、ニシキウツギコブハバチ、バラハタマバチ、マダケコバチ、ミズナラフシタマバチ、モウソウタマコバチ(モウソウタマオナガコバチ)など。