タマバエ類・ミバエ類
タマバエ科・ミバエ科に属する。
タマバエの仲間は、肉食性、草食性、菌食性などいろいろあり、肉食性の種類は益虫扱いされる。また、「タマ『バエ』」という名を持ちながら、成虫の姿は「蚊」そのものである。
※果実を食害するタマバエ・ミバエ類は、「シンクイムシ」として扱っている。
発生時期
4~10月
【補足事項】- キクヒメタマバエ…4~5月
被害箇所
若枝、茎、葉、葉柄、芽、つぼみ、果実、気根など。
形態など
幼虫は体長1~2mm程度。乳白色~淡黄色のウジムシで、脚は無い。
主な被害
植物体のさまざまな箇所に虫コブを形成し、生育・伸長を止める。虫コブの色は、健全部位と全く同じだったり、淡黄色~黄緑色、時には鮮紅色であったりする。虫コブの表面に毛が生えていることもある。
虫コブの形状は、球形や、扁平な円形、ドングリ型、細長い棒状などいろいろ。中には、ササにできる魚型の虫コブ「笹魚(ささうお)」のように、異様な形のものもある。
- エゴタマバエ…エゴノキの葉に、直径3~5mmの丸い虫コブを作る。10月頃、虫コブごと落下し、幼虫が土中で越冬する。
- キクヒメタマバエ…キクの茎葉や葉柄に、白っぽい小イボ状の虫コブを多数作る。被害がひどいと、茎葉が変形する。
- ノブドウミタマバエ…ノブドウの果実に寄生する。寄生された果実は巨大化し、さまざまな色(乳白、黄、緑、青、桃、紫など)に変色する。
- マタタビミタマバエ…マタタビの果実に多数で寄生し、でこぼこした不規則な形状に変化させる。被害果は晩夏~秋早くに落果し、成虫が出てくる。この虫の被害果は「木天蓼(もくてんりょう)」と呼ばれ、生薬として好まれるため、一概に害虫とはいえない。
対策
見つけ次第、虫コブのある部分を除去する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アーリーセーフ、アクタラ、アクテリック、アタックワンAL、アディオン、アドマイヤー1、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、アントム、ウララDF、園芸用キンチョールE、エンセダン、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オレート、オンコル、ガーデンアースB、ガーデンガードAL、ガーデントップ、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンD、カダンV2、カルホス、キックバールAL、ケムシカダンA、サイアノックス、サニーフィールド、サンヨールAL、ジェイエース、ジェネレート、スケルサイドA、スターガード、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダブルアタックAL、ダントツ、ディアナSC、ディプテレックス、テガールAL、デミリン、テルスター、トクチオン、トレボン、粘着くん、ブルースカイAL、プレオ、プレバソン、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカDX、ベニカX、ベニカマイルド、マッチ、マラソン、ムシキントール、モスピランなど。
【注意点】虫コブができる前(成虫が羽化~飛来する時期)に散布しないと、効果が無い。時期は、春または秋が適当。
予防策
周辺の雑草を除去する。天敵が多いので、それらを殺すような強い薬剤を使わない。
【補足事項】- キクヒメタマバエ…被害株から、挿し穂などを取らない。
主な被害植物
【草花・鉢花】オトコエシ、キク、ススキ、ヒヨドリバナ、ヘクソカズラ、ヤブレガサなど。
【観葉・多肉】ササ類、タケ類、ワラビなど。
【樹木・果樹】アオキ、アセビ、イヌツゲ、イボタノキ、ウコギ、ウツギ類(スイカズラ科・ユキノシタ科の両方)、エゴノキ、エビヅル、ガマズミ、クワ、シキミ、シロダモ、ソヨゴ、タブノキ、ツツジ類、テイカカズラ、トベラ、ネズミモチ、ノブドウ、ノリウツギ、ヒイラギ、フジ、ブドウ、ブナ、マサキ、マタタビ、マツ類、ミズキ、モチノキ類、ヤナギ類、ヤブコウジ、リョウブなど。
【ハーブ・野菜】ヨモギなど。
主な種類
【ア行】アオキミタマバエ、イヌツゲタマバエ、イノコズチウロコタマバエ、イボタミタマバエ、ウツギメタマバエ、エゴタマバエ、エゴノキニセハリオタマバエ、エノキトガリタマバエ、オトコエシニセハリオタマバエ、
【カ行】ガマズミミケフシタマバエ、キクヒメタマバエ、キヅタミタマバエ、クワクロタマバエ、
【サ行】ササウオタマバエ、シロダモタマバエ、スギタマバエ、ススキメタマバエ、ソヨゴタマバエ、
【タ行】タケウチケブカミバエ、タブウスフシタマバエ、
【ナ行】ノブドウミタマバエ、ノリウツギタマバエ、
【ハ行】ブドウトックリタマバエ、フジツボミタマバエ、マサキタマバエ、マタタビミタマバエ、
【マ行】マツシントメタマバエ、マツバノタマバエ、
【ヤ行】ヤナギコブタマバエ、ヤナギシントメタマバエ、ヤナギマルタマバエ、ヨモギエボシタマバエ、ヨモギクキコブタマバエ、ヨモギシロケフシタマバエ、ヨモギシントメタマバエ、ヨモギマルフシミバエ、ヨモギワタタマバエなど。