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素人園芸解説 -私はこう育てる-

コナジラミ類

コナジラミ科に属する。茎葉を揺すると粉のようにフワフワ舞い上がるため、この名がある。不完全変態だが、幼虫~成虫になる間に、カイガラムシのように葉に固着する、「蛹殻」と呼ばれる、特有の形態がある。
比較的寒さに弱いため、高温期に発生が多い。ただし、極端な高温になると、日陰の植物に移動する。

発生時期

4~11月(加温設備内では周年。)

【補足事項】
  1. オンシツコナジラミ…5~10月
  2. シルバーリーフコナジラミ…5~10月
  3. ツツジコナジラミ…5~10月
  4. ツツジコナジラミモドキ…5~9月
  5. ツバキコナジラミ…5~9月
  6. ミカンコナジラミ…5~7月・9月

被害箇所

葉、茎、果実、株全体。

形態

成虫で体長0.5~1.5mm。雌のほうが大きい。体型はセミに似る。
幼虫は体長1mm前後。体色は淡緑色~淡黄色、黒色など。最初は動き回るが、やがて、カイガラムシのように葉に固着する。体型は楕円形で平ら。

【補足事項】
  1. アオキコナジラミ…体長0.5~1mm。体色は淡黄色。
  2. イチゴコナジラミ…体長1.5mm前後。淡黄色で、翅は白い。北アメリカ原産で、日本では1974年に静岡で初確認された。
  3. オンシツコナジラミ…体長1~1.2mm。全身が白い粉で覆われ、別名「ホワイトフライ」とも呼ばれる。通常は雌だけで単為生殖する。寒さに弱く、暖地以外の地域では、屋外で越冬できない。北アメリカ原産で、日本では1974年に広島で初確認された。幼虫も白色で、表面に毛状突起がある。
  4. シルバーリーフコナジラミ…体長1mm程度。全身が白い粉で覆われ、やはり「ホワイトフライ」の別名でも呼ばれる。北アメリカ原産で、日本では1989年に愛知で初確認された。分類がなかなか一定せず、タバココナジラミの一系統に分類されたり、別種として独立したり、忙しい種類。(現在は独立した種類になっている模様。)幼虫は黄色く扁平で、表面にほとんど毛が無い。2齢幼虫以降になると、葉に固着する。
  5. タバココナジラミ…体長0.8mm。オンシツコナジラミと同様、別名「ホワイトフライ」と呼ばれるが、よく見ると、体色がやや黄色い。ヨーロッパ原産だが、生息域が広いため、性質によって、多くの型(「バイオタイプ」という)に分けられている。上記のシルバーリーフコナジラミも、そのバイオタイプの一つとされていた時期があった。
  6. ツツジコナジラミ…体長1mm。体色は白色。蛹殻は黄色~黄褐色で楕円形をしている。年3回の発生。
  7. ツツジコナジラミモドキ…体長2mm。体色は白色。蛹殻は黒色で長楕円形をしており、周縁部に白い綿状物質を付けている。年3回の発生。
  8. ツバキコナジラミ…体長1mm前後。翅に暗色の模様があり、全体が黒っぽく見える。蛹殻は1~1.5mmで、暗褐色~黒褐色。山間部に多い。蛹殻で越冬する。年3回の発生。
  9. ミカンコナジラミ…雌は体長1.2mm、雄はやや小さい。翅が白い粉で覆われる。蛹殻は1~1.5mmで、色は淡黄色、形は扁平な楕円形。蛹殻で越冬する。年3回の発生。
  10. ミカントゲコナジラミ…体長0.9~1.4mm。翅に暗色の模様があり、全体が黒っぽく見える。ミカンコナジラミより繁殖力が強く、被害が大きい。カンキツ類を加害する系統と、チャを加害する系統があったが、後者は最近、別種「チャトゲコナジラミ」として独立したらしい。

主な被害

葉裏で集団生活し、吸汁する。被害葉は、葉脈が白っぽくなる。多発すると、被害葉の周囲が排泄物で汚れ、すす病を誘発する。若い葉を好む傾向がある。
葉(特に葉裏)に細かい毛が生えている植物は、この虫の害を受けやすい傾向がある。

【補足事項】
  1. オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミ…いずれの種類も、ウイルス病を媒介する。
  2. シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミ…茎葉や果実、豆サヤに寄生すると、表面に白っぽい斑点や不規則な模様を生じる。(「白化現象」というらしい。なお、「シルバーリーフコナジラミ」という名は、その白化現象を起こさせることから付けられた。)

対策

【薬剤】【散布・土壌混和】アースガーデンC、アーデント、アーリーセーフ、アクタラ、アクテリック、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アプロード、アプロードエース、あめんこ、アルバリン、アントム、ウララDF、エコピタ、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オレート、カウンター、カスケード、カルホス、クリアザール、コルト、コロマイト、サイアノックス、サニーフィールド、サンクリスタル、サンヨール、ジェイエース、ジェネレート、スケルサイドA、スターガード、スタークル、スミチオン、スミフェート、ダニゲッター、ダニトロン、ダブルアタックAL、ダントツ、チェス、ディアナSC、テルスター、トモノールS、トレボン、粘着くん、ノーモルト、パイベニカ、ブルースカイAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、ベニカグリーンV、ベニカマイルド、マッチ、マラソン、ムシラップ、モスピラン、モレスタンなど。

イチゴなど、草丈の低い植物の場合、ダイアジノン、ネマトリン、ネマトリンエースなども有効。

【注意点】種類や、虫の育ち具合(卵・幼虫・蛹・成虫)によって、効果のある薬剤が微妙に異なるので、一回の散布で終わらせようとしない。

【補足事項】
  1. オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミ…きわめて殺虫剤に強く、特に、卵とサナギには全くといっていいほど効果が無い。そのため、薬剤を連続して散布する必要がある。ただし、同一薬剤の連続散布は避ける。
  2. ミカンコナジラミ…虫の集団を観察し、赤橙色のカビが生えた虫(「赤菌病」に冒された個体)が見つかれば、その後急激に数が減るので、しばらく様子を見る。

予防策

周辺の雑草(特にキク科雑草)を徹底的に除去する。通風を改善する。十分な日照を確保する。ときどき葉裏に水をかける。植物を購入する際は、すでに虫がいないか、よく観察する。
天敵が多いため、それらを殺すような強い薬剤を使わない。大切な植物の近くで、寄生されやすいサツマイモ、ウリ科植物、ナス科植物を栽培しない。
黄色に集まるので、黄色粘着トラップを吊るす。(かなり多く吊さないと効果が薄い。また、密閉された温室では効果があるが、野外では効果が劣る。)
銀色に光るものを忌避するので、銀色のポリフィルムなどでマルチングする。(ただし、茎葉が繁茂してくると効果が無くなる。)

【補足事項】
  1. オンシツコナジラミ・シルバーリーフコナジラミ・タバココナジラミ…株とその周囲を、近紫外線反射去フィルムで覆うと、成虫が寄ってこない。

【薬剤】可能なら、冬季に、石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布。

主な被害植物

【草花・鉢花】アスター、エミリア、エンジェルストランペット、ガーベラ、キク、キンセンカ、クフェア、クレマチス、コエビソウ、サクラソウ、サルビア類、シクラメン、宿根アスター、スクテラリア、ゼラニウム、タチアオイ、デュランタ、トルコキキョウ、ナデシコ類、バーベナ、ハイビスカス、ヒナゲシ、ヒマワリ、ヒャクニチソウ、フォックスフェイス、フクシア、プリムラ類、ヘーベ、ベゴニア類、ペチュニア、ペラルゴニウム、ポインセチア、ランタナ、ルドベキアなど。

【観葉・多肉】アイビー、アジアンタム、カラジウムなど。

【樹木・果樹】アオキ、アケビ、アセビ、イスノキ、イヌツゲ、イボタノキ、ウメ、エノキ、カキ、カシワバアジサイ、カンキツ類、クチナシ、クワ、サカキ、サクラ、ザクロ、サツキ、サルスベリ、シャクナゲ、食用ホオズキ、ツツジ類、ツバキ類、トベラ、ナシ、ネズミモチ、バラ、ヒサカキ、ビワ、ブドウ、ムクゲ、ムベ、モチノキ類、モモ、ヤナギ類、ライラックなど。

【ハーブ・野菜】アスパラガス、イチゴ、インゲン、ウリ類、エダマメ、カボチャ、キクイモ、キャベツ、キュウリ、ササゲ、サツマイモ、シシトウ、シソ、ジャガイモ、スイカ、セージ、セロリ、チョロギ、トマト、ナス、ニガウリ、ハヤトウリ、ピーマン、ペピーノ、ホウレンソウ、ミツバ、メロン、ヤーコン、レモンバーベナ、レモンバームなど。

主な種類

アオキコナジラミ、オンシツコナジラミ、クストゲコナジラミ、サカキコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、スイカズラコナジラミ、タバココナジラミ、チャトゲコナジラミ、ツツジコナジラミ、ツバキコナジラミ、ヒサカキコナジラミ、ブドウコナジラミ、マーラットコナジラミ、ミカンコナジラミ、ミカントゲコナジラミ、ワタコナジラミなど。