テントウムシダマシ類
通称「テントウムシダマシ」と呼ばれるが、この仲間は全て「テントウムシ科」に属する。
オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウは、ジャガイモとナスの重要害虫としてあまりにも有名。ナス科植物以外にも、アブラナ科、ウリ科、キク科、マメ科などを加害する。この二種類は、姿がよく似ているが、前者は寒冷地や高冷地を好み、後者は温暖地や低地に多いため、生息域が異なる。
益虫のナミテントウにも、橙色地+黒小斑点の個体がおり、一見、よく似ているので、間違って殺さないよう注意。確実を期すなら、黒い斑点の数を確認するか、食害の現場を押さえてから捕殺する。もっとも、ナミテントウは、背面がつるつるテカテカなので、慣れればすぐ見分けられる。
発生時期
4~11月
被害箇所
葉、果実など。
形態
【草花・鉢花】甲虫類の一種。成虫で体長6~9mm。体色は、黄橙色~赤褐色など。多くの種類は成虫で越冬する。
植物を加害するテントウムシの仲間は、背面に細かい毛があり、ツヤが無いことが多い。益虫扱いされる肉食性のテントウムシ類は、背面がツヤツヤしている。ただし、ツヤがあっても、ルイヨウマダラテントウは害虫である。
- インゲンテントウ…体長6~8.5mm。体色は個体差があり、黄色や赤褐色など。鞘翅に黒い斑点が18個ある。中米からの侵入種。高温に弱く、低地には生息しない。
- オオニジュウヤホシテントウ…体長6.5~9mm。体色は橙色~赤褐色。名前の通り、鞘翅に黒い斑点が28個ある。寒冷地や高冷地・山間部に生息する。葉裏によくいるため、「ウラムシ」とも呼ばれる。成虫で越冬する。年1回の発生。
- トホシテントウ…体色は赤橙色で、名前の通り、鞘翅に大きな黒い斑点が10個ある。幼虫で越冬する。
- ニジュウヤホシテントウ…オオニジュウヤホシテントウによく似るが、体長6~7mmと、やや小型。こちらも、鞘翅に黒い斑点が28個ある。温暖地や低地に生息する。やはり葉裏を好むため、「ウラムシ」と呼ばれることがある。成虫で越冬する。年2~3回の発生。
- ルイヨウマダラテントウ…体長6.5~8mm。体色は黄褐色~赤褐色。鞘翅に黒い斑点が28個ある。オオニジュウヤホシテントウによく似るが、鞘翅にツヤがある。成虫で越冬する。
【幼虫の形態】体長1cm程度。体色は黄色~淡黄褐色で、全身に黒いイガイガ突起がある。(その点、肉食性のテントウムシ類の幼虫とは、姿が大きく異なる。)どことなく、イラガの幼虫を連想させるが、毒は無い。普通は葉裏にいる。
主な被害
成虫・幼虫ともに、葉脈に沿って、葉肉を浅く食害する。被害部分を見ると、さざ波状・ハシゴ状の食痕になっていて気持ち悪い。時には果実の表面も食害し、変形させる。被害が酷いと、全ての葉が食われ、茶色く枯れる。
【補足事項】- インゲンテントウ…マメ科植物だけを加害する。
- オオニジュウヤホシテントウ・ニジュウヤホシテントウ…初夏に発生する新成虫は、ナス科植物のみならず、ウリ科・マメ科植物まで加害する。
- トホシテントウ…ウリ科植物だけを加害する。
対策
見つけ次第捕殺する。
【薬剤(成虫・幼虫共通)】【散布】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アプロード、アルバリン、アントム、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンAP、カダンD、カルホス、グランドオンコル、サイアノックス、サニーフィールド、スケルサイドA、ジェイエース、ジェネレート、ショットイン、スターガード、スタークル、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノンSL、ダントツ、ディプテレックス、テルスター、トクチオン、トレボン、ノーモルト、パイベニカ、パーマチオン、ピレオール、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、マッチ、マラソン、マルチガード、モスピランなど。
予防策
ナス科植物を近くで栽培しない。また、ナス科植物同士を近くで栽培すると被害が激増するので避ける。
主な被害植物
【草花・鉢花】アザミ、カラスウリ、ハナタバコ、ホオズキなど。
【ハーブ・野菜】アズキ、アマチャヅル、インゲン、ウリ類、カボチャ、キュウリ、ササゲ、ジャガイモ、ダイズ、トウガラシ、トマト、ナス、ニガウリ、ピーマン、マメ類など。
主な種類
インゲンテントウ、オオニジュウヤホシテントウ、ジュウニマダラテントウ、ニジュウヤホシテントウ、トホシテントウ、ルイヨウマダラテントウなど。