オトシブミ類・ハマキチョッキリ類
いずれもオトシブミ科に属する。ゾウムシに近い仲間で、姿も似ている。山間部に多い。若い木ほど被害に遭いやすいが、実害はそれほどでもない。
ハマキチョッキリの仲間は、総じて体色が派手で、美しい金属光沢を持つ。
「オトシブミ」の名は、江戸時代の風習である「落とし文(筒状に巻いて、わざと道端に落とし、人知れず届ける手紙)」に由来する。この虫が葉を巻いて作るゆりかご(「揺籃」という)を、「落とし文」になぞらえた。
発生時期
4~8月
【補足事項】- イタヤハマキチョッキリ…5~7月
- オトシブミ…4~6月
- ゴマダラオトシブミ…4~5月
- ドロハマキチョッキリ…5~7月
被害箇所
葉、若い茎、新梢。
形態など
いずれも甲虫類の一種。体長4~10mm。体色は黒色や黄褐色、赤褐色など。雄成虫は首が細長く、雌成虫は短い。(そのため、雄の方が大きめ。)成虫で越冬する。年1~2回の発生。
【補足事項】- イタヤハマキチョッキリ…体長4~7mm。体色は赤紫色で、金属光沢がある。山間部に多い。多発することはない。ゆりかご(揺籃)の中で成虫になり、そのまま越冬する。年1回の発生。
- オトシブミ…体長8~10mm。体色は、頭部と胸部が黒く、翅の色が暗赤褐色。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ゴマダラオトシブミ…体長7mm程度。体色は黄褐色で、全体に黒い斑点が散らばる。
- ドロハマキチョッキリ…体長6mm。体色は緑色や藍色、赤色などで、金属光沢がある。成虫で越冬する。年1回の発生。
- ヒメクロオトシブミ…体長4~5mm。体色は黒。足だけが黄褐色の個体と、足まで真っ黒の個体がいる。
- ルイスアシナガオトシブミ…体長5mm前後。体色は赤褐色。
主な被害
オトシブミ類は、葉を食害する他、新葉の縁を小さな円筒状に巻き、ゆりかご(揺籃)を作る。(まず葉脈を傷付け、少し萎れさせてから巻き始める。)ゆりかごには卵が1個~複数個入っている。最初は、残った葉脈で葉にぶら下がっているが、やがて落下し、幼虫は内部で育つ。
ハマキチョッキリの仲間も、同様に葉を食害する他、葉を一枚丸ごと~数枚~数十枚、まとめて巻く性質がある。そのため、オトシブミ類に比べて、非常に大きなゆりかごになる。
- イタヤハマキチョッキリ…カエデ類の新梢の先端10~20cmを萎れさせ、その後、数枚~数十枚の葉を巻いて、大きなゆりかごを作る。
- ドロハマキチョッキリ…若い枝の先端を萎れさせ、数枚の新葉を筒状に丸めてゆりかごを作る。その後、ゆりかごは茶色く枯れ、よく目立つ。
対策
見つけ次第、ゆりかごを除去する。成虫は捕殺する。
【薬剤】【散布】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクタラ、アクテリック、アタブロン、アディオン、アドマイヤー1、アプロード、アルバリン、アントム、エンセダン、エンバーMC、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランMP、オンコル、ガーデンアースB、ガードベイトA、カウンター、カスケード、カダンAP、カダンD、カルホス、グランドオンコル、サイアノックス、サニーフィールド、スケルサイドA、ジェイエース、ジェネレート、ショットイン、スターガード、スタークル、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、ダイアジノンSL、ダントツ、ディプテレックス、テルスター、トクチオン、トレボン、ノーモルト、パイベニカ、パーマチオン、ピレオール、ベジタメートAL、ベストガード、ベニカ、ベニカD、ベニカX、マッチ、マラソン、マルチガード、モスピランなど。
【注意点】同一薬剤の連続使用は避ける。
予防策
特に無し。
主な被害植物
【樹木・果樹】アベマキ、カエデ類、カシ類、クヌギ、クリ、ケヤキ、サクラ、サツキ、サルスベリ、サルナシ、シデ類、ツツジ類、ドロノキ、ナラ類、ニセアカシア、ニレ類、バラ、フジ、ブドウ、ブナ、ボタン、ポプラ、マンサク、モクレン類、ヤナギ類、リンゴなど。
主な種類
【オトシブミ類】オトシブミ(ナミオトシブミ)、カシルリオトシブミ、ゴマダラオトシブミ、セアカヒメオトシブミ、ハンノキオトシブミ、ヒゲナガオトシブミ、ヒメクロオトシブミ、ルイスアシナガオトシブミなど。
【ハマキチョッキリ類】イタヤハマキチョッキリ、サメハダハマキチョッキリ、ドロハマキチョッキリ、ファウストハマキチョッキリ、ブドウハマキチョッキリなど。