シストセンチュウ類
「シスト」とは、植物に寄生している雌が、体内に卵を抱えたまま根の外に体を出し、そのまま卵のうに変化したものをいう。この仲間は、シストを形成する性質上、悪環境に対する抵抗力がきわめて強く、寄生できる植物が無くても、10年以上は生存できるという。
ジャガイモシストセンチュウはジャガイモの、ダイズシストセンチュウはダイズの重要害虫である。その被害の程度は、まさに世界規模であり、しかも、一度発生すると、根絶する方法は無い。
発生時期
3~11月
被害箇所
根。
形態など
体長1mm以下。雄は「線虫」の名にふさわしく、ごく小さなミミズ状だが、雌は異様に太っている。体色は、白色または半透明。
【補足事項】- サボテンシストセンチュウ・ジャガイモシストセンチュウ・タバコシストセンチュウ…いずれも、外国からの侵入害虫である。
主な被害
植物の根に侵入し、表面に、「シスト」と呼ばれる小さな乳白色~淡褐色の粒(卵のう)を多数形成する。シストは、肉眼でかろうじて識別可能。ネコブセンチュウと違い、明確な根コブは形成しない。
被害株は、葉が黄色くなって枯れてゆき、早期落葉する。そのため、野菜類の収量に大きな影響が出る。
対策
発生した土で、ギニアグラス、クローバー、クロタラリア、ソルゴー、ヒマワリなどを栽培し、すき込む。
なお、クローバーなどのマメ科植物は、クローバーシストセンチュウとネグサレセンチュウを増やすので注意。また、堆肥化していない「乾燥牛糞」は、ダイズシストセンチュウを増やすらしい。
【補足事項】- ダイズシストセンチュウ…エンバク「ヘイオーツ」、クリムソンクローバー、クロタラリア、ヘアリーベッチ、レッドクローバーなどが良い。
【薬剤】【土壌混和】ネマトリン、ネマトリンエース、ボルテージなど。
【注意点】上記の薬剤は主に接触毒なので、自ら行動せず、「シスト」に守られている卵には、ほとんど効かない。
予防策
抵抗性品種を栽培する。連作を避ける。多肥を避ける。土に有機物を補給する。挿し木や挿し芽は、清潔な土で行う。
一度発生した土は、消毒するまで再利用しない。植物を購入する際は、すでに虫がいないか、よく観察する。
主な被害植物
【草花・鉢花】カーネーション、クローバーなど。
【観葉・多肉】サボテン類など。
【ハーブ・野菜】アズキ、イネ、インゲン、ジャガイモ、ダイズ、テンサイ、トマト、マメ類、ムギ類、ヨモギなど。
主な種類
クローバーシストセンチュウ、サボテンシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ(ゴールデンネマトーダ)、ダイズシストセンチュウ、タバコシストセンチュウ、テンサイシストセンチュウ、ムギシストセンチュウ、ヨモギシストセンチュウなど。