ハセンチュウ類
悪環境に対する抵抗力が強く、寄生できる植物が無くても、数年は生存できる。
なお、イチゴセンチュウとイチゴメセンチュウは、名前が似ていて紛らわしいが、別種である。イチゴセンチュウは、観葉植物のゴムノキの葉に、人為的な斑を作るために使われるという。
発生時期
4~10月
被害箇所
葉、茎、芽など。
形態など
体長1mm前後。ごく小さなミミズ状で、体色は半透明。
【補足事項】- イチゴセンチュウ、ハガレセンチュウ…雨水などを伝って、地面にある枯れ葉から生葉に移動するため、梅雨時に発生が多い。被害葉を刻んで水に浸せば、水中に泳ぎ出てくる。
主な被害
茎葉や芽に寄生する。種類によって、内部寄生するものと、外部寄生するものがある。
被害部分は、赤~黄色っぽく変色したり、緑色が濃くなったりする。茎葉の毛が無くなったり、ワックスを掛けたようなツヤが出ることもある。被害部分は、やがて萎縮・変形し、枯れ込む。
被害がひどいと、株全体が萎縮・変形し、開花・結実等が望めなくなる。
- イチゴセンチュウ…ボタンに寄生した場合、芽を加害して萎縮・変形させ、腐らせる。
- イネシンガレセンチュウ…イネの害虫として有名。被害を受けたイネは、草丈が伸びず、葉先が枯れ込み、コメの表面に黒点を生じる。
- ハガレセンチュウ…被害葉の、葉脈に区切られた部分だけが黄化し、黒っぽく枯れ込む。その後、葉全体が枯れる。被害は下葉から発生し、次第に上方に拡大する。
対策
見つけ次第、被害葉を除去する。被害のひどい株は抜き取り処分する。
【薬剤】【散布】オンコル、スミソン、スミチオン、スミナイス、ディプテレックス、マラソンなど。
【注意点】薬剤防除はあまり期待できないが、行う場合は、被害が顕著になる時期の直前(春先や梅雨時、初秋)に、数回連続して散布する。
予防策
雨に当てない。被害株から子株やタネを採らない。連作を避ける。株に水をかけない。乾燥を嫌うので、乾き気味に管理する。
【補足事項】- ハガレセンチュウ…枯れ葉の中で越冬するため、きちんと掃除する。キクの場合は、地際付近の芽を挿し穂に使わない。(もっとも、挿し穂をとらないのが最良なのは言うまでもない。)
- イチゴ…植え付け前に、苗の根を、50℃の湯に2分、または46℃の湯に10分浸す。生育期間中は、木酢液の100~200倍液を葉面散布する。
- イネ…タネもみを、56~57℃の湯に10~15分ほど浸し、すぐ冷水で冷やす。
- ボタン…苗木全体を、46℃の湯に60分、または47℃の湯に20~30分浸した後、冷水に30~60分浸して冷やす。
主な被害植物
【草花・鉢花】アスター、カルセオラリア、キク、キンセンカ、グラジオラス、ジニア、シャクヤク、セントポーリア、ダリア、デルフィニウム、バーベナ、ブバルディア、フロックス、ベゴニア類、ランタナ、ルドベキア、ユリなど。
【観葉・多肉】シダ類など。
【樹木・果樹】センリョウ、ボタンなど。
【ハーブ・野菜】イチゴ、イネ、ゼンマイ、ムギ類、ワサビなど。
主な種類
イチゴセンチュウ、イチゴメセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、コムギツブセンチュウ、ハガレセンチュウなど。