いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

ネコブセンチュウ類

ネグサレセンチュウ類と並び、センチュウの二大巨頭的存在である。最も重要視されるのは、キタネコブセンチュウとサツマイモネコブセンチュウの二種類。名前が示す通り、前者は寒地に多く、後者は暖地に多い傾向がある。
種類によって、寄主植物の範囲が違っており、ある種のネコブセンチュウが寄生するからといて、同じ植物に別種のネコブセンチュウも寄生するとは限らない。また、ある種のネコブセンチュウが寄生する植物が、別種のネコブセンチュウの数を減らす、という現象もある。(例…イチゴ、トウモロコシ、ラッカセイなど。)

人や家畜が、寄生された植物と一緒にネコブセンチュウを生で食べると、生きたまま排泄され、生息範囲を広げるらしい。動物には寄生しないので心配無用。

発生時期

周年(冬は活動が鈍る。)

被害箇所

根。

形態など

体長1~2mm。体色は、白色または半透明。根に侵入するのは雌で、球体のような姿をしている。雄は普段は存在せず、生息密度が上がると、少しだけ現れるらしい。雄は「線虫」の名の通り、ミミズ状の細長い姿で、雌と違い、根に侵入することは少ない。
地温が高く(15~30℃)、湿度のある時期に多発する。一方、地温が15℃を下回ると活動を停止する。孵化後約50日までの間に、寄主となる植物に出会えないと、死に絶えるという。

主な被害

根の内部に侵入し、大小さまざまなコブを多数作る。コブの直径は、大きいもので5mm前後。被害を受けた根がそのまま肥大し、異様な形になることもある。また、コブの周囲から、ヒゲ根が多数伸びることも珍しくない。
ただ、被害植物の種類によっては、コブがほとんどできないこともあるという。
被害のひどい株は生育不良になり、日中は萎れ、朝夕は回復することを繰り返す。野菜類の場合、収穫が皆無になることも珍しくない。
加害による傷から立枯病などの病原菌が侵入し、植物が枯れることもある。

【補足事項】
  1. キタネコブセンチュウ…太い主根よりも、細根を好んで寄生することが多い。

対策

発生した土で下記の植物を栽培し、すき込む。

アフリカンマリーゴールドは、キタネコブセンチュウには効かない。エンバクやソルゴーも、センチュウの種類によっては効かないらしい。
エンバク「スワン」「とちゆたか」や、トウモロコシは、キタネコブセンチュウを減らすが、キタネグサレセンチュウを増やすという。

  1. アレナリアネコブセンチュウ…クロタラリアなど。
  2. キタネコブセンチュウ…ウリ類、エンバク「とちゆたか」「ヘイオーツ」、ギニアグラス、クロタラリア、スーダングラス、ソルゴー、トウモロコシ、ムギ類、ライムギなど。
  3. サツマイモネコブセンチュウ…アフリカンマリーゴールド、イチゴ、エンバク「たちいぶき」、ギニアグラス、クロタラリア、サトイモ、スーダングラス、ステビア、ソルゴー、ラッカセイなど。
  4. ジャワネコブセンチュウ…ギニアグラス、クロタラリアなど。

【薬剤】【土壌混和】ネマトリン、ネマトリンエース、ボルテージなど。

予防策

連作を避ける。多肥を避ける。土に有機物を補給する。未熟な有機物を使わない。カリ(K)肥料や微量要素が不足しないようにする。(ただし、カリの過剰も避ける。)
抵抗性のある品種を栽培する。(ただし、あるネコブセンチュウに抵抗性があっても、別のネコブセンチュウには無力だったりするので、可能な限り調べる。)
挿し木や挿し芽は、清潔な土で行う。鉢やプランターを地面に直接置かない。一度発生した土は、消毒するまで再利用しない。発生した土に石灰窒素を施す。植物を購入する際は、すでに虫がいないか、よく観察する(目で見えないため、健全な根が十分張っているかを確認する)。

【補足事項】
  1. ウリ類…カボチャやユウガオ台木に接がれた接ぎ木苗を植え付ける。
  2. グラジオラス…球根を47℃の湯に20~30分浸してから植え付ける。
  3. サツマイモ…タネイモを、まず40℃の湯に20分浸し、続けて47℃の湯に20分浸してから植え付ける。
  4. シャクヤク、ボタン…植え付け前の苗木全体を、46℃の湯に60分浸すか、または47℃の湯に20~30分浸した後、冷水に30~60分浸して冷やす。
  5. ナス…アカナス台木に接がれた接ぎ木苗を植え付ける。

主な被害植物

【草花・鉢花】アイリス類、アカンサス、アサガオ、アネモネ、ガーベラ、カラマツソウ、キキョウ、グラジオラス、クラスペディア、クレマチス、クローバー、ケイトウ、サンゴバナ、シクラメン、シャクヤク、ジュズダマ、スミレ類、ゼニアオイ、センノウ類、トケイソウ、フジバカマ、ベゴニア類、ベンケイソウ、ホウセンカ、ホタルブクロ、ミカエリソウ、ユキワリソウなど。

【観葉・多肉】サクララン、サボテン類など。

【樹木・果樹】イチジク、キウイ、クリ、クワ、コムラサキ、ナシ、ナンキンハゼ、ハギ、ハクチョウゲ、バラ、ヒメウツギ、ブドウ、ボタン、モモ、ヤブコウジ、ヤマブキ、リンゴなど。

【ハーブ・野菜】アズキ、アブラナ、アワ、イチゴ、イネ、インゲン、ウリ類、エンドウ、陸稲、オクラ、カブ、カボチャ、キャベツ、キュウリ、コショウ、ゴボウ、コンニャク、サツマイモ、サトイモ、シソ、ジャガイモ、ショウガ、スイカ、ダイコン、ダイズ、タマネギ、ツルナ、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニラ、ニンジン、ネギ類、ハクサイ、ビーツ、ピーマン、フキ、ホウレンソウ、マーシュマロウ、ミョウガ、ムギ類、メロン、ヤマイモ、ラッカセイ、ラベンダー、レタス類など。

主な種類

アレナリアネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウなど。