いろんな植物の育て方や知識をご紹介。

素人園芸解説 -私はこう育てる-

シンクイガの仲間

「シンクイガ」と一括りにしたが、属する科は、シンクイガ科・ツトガ科・ハマキガ科・メイガ科など、複数に渡る。ちなみに「ノメイガ」の仲間は、メイガ科ではなく、ツトガ科に属する。ただし、ツトガ科とメイガ科は、きわめて近縁であるらしい。
和名に植物名を冠する種類が多いが、必ずしも、その植物だけを加害するとは限らない。例えばフキノメイガ(正しくはアズキノメイガ)は、フキよりも、オクラやナス、ピーマン、ミョウガ、ダリアなどに被害が大きい。
イッテンオオメイガ(サンカメイガ)とニカメイガ(ニカメイチュウ)は、イネの大害虫として名を知られる。

※マツノゴマダラノメイガ(モモノゴマダラノメイガ針葉樹型)と、ワタノメイガは、「ハマキムシ」の一種として扱っている。

発生時期

3~11月(最多発生は5~9月頃。)

【補足事項】
  1. アズキノメイガ(フキノメイガ)…5~10月
  2. アワノメイガ…5~11月
  3. クリミガ…8~10月
  4. シロイチモジマダラメイガ…7~8月
  5. ナシオオシンクイ…7~9月
  6. ナシヒメシンクイ…4~9月
  7. ニカメイガ…5~9月
  8. マメシンクイガ…7~9月
  9. モモシンクイガ…6~10月
  10. マツズアカシンムシ…5~9月
  11. マツツマアカシンムシ…4~7月
  12. モモノゴマダラノメイガ…5~9月(最多発生は8月。)
  13. リンドウホソハマキ…6~9月

被害箇所

果実、新梢、若い茎、葉、芽、つぼみ、穂、子実など。

形態など

種類によるが、植物体に食入する都合上、老熟幼虫でも体長1~2.5cmと小さめ。体色は、赤褐色や橙黄色、淡褐色、乳白色、紫褐色など。

【補足事項】
  1. アズキノメイガ(フキノメイガ)…老熟幼虫で体長2.5cmと大型。体色は淡紅褐色。被害茎の中で越冬する。体色は年2~3回の発生。
  2. アワノメイガ…老熟幼虫で体長2cm。体色は淡黄褐色。年2~3回の発生。
  3. イッテンオオメイガ(サンカメイガ)…比較的暖かい地域にしか生息しない。ニカメイガに似るが、年3回の発生(「三化」)であるため、別名「サンカメイガ」ともいう。
  4. クリミガ…老熟幼虫で体長1.5~2cm。体色は黄白色や黒褐色など。西日本に多いらしい。
  5. シソフシガ…老熟幼虫で体長1cm。体色は乳白色。
  6. シロイチモジマダラメイガ…老熟幼虫で体長1.5cm。体色は淡緑色または紫色。暖地に多い。年3~4回の発生。
  7. ナシヒメシンクイ…老熟幼虫で体長1~1.3cm。体色は黄褐色。暖地に多い。外国からの侵入害虫らしい。年3~5回の発生。
  8. ニカメイガ…老熟幼虫で体長2cm程度。体色は淡褐色で、濃褐色の細い縦線が入る。年2回の発生(「二化」)であるため、この名がある。
  9. マツズアカシンムシ…老熟幼虫で体長1.2cm。体色は淡褐色。年2~3回の発生。
  10. マツツマアカシンムシ…老熟幼虫で体長1cm程度。体色は赤褐色~黄橙色で、やや太めの体型。被害部分で夏を越し、秋にサナギになって、そのまま越冬する。年1回の発生。
  11. マツノシンマダラメイガ…老熟幼虫で体長2.5cmと大型。体色は個体差が大きいが、黒紫色が多い。よく見ると、全身にごく小さな黒点が並ぶ。年2回の発生。
  12. マメシンクイガ…老熟幼虫で体長1cm前後。体色は淡紅色。どちらかというと、寒地に多い。年1回の発生。
  13. モモシンクイガ…老熟幼虫で体長1.2cm前後。体色は淡紅白色。土中でマユを作って越冬する。年1~3回の発生。
  14. モモノゴマダラノメイガ…老熟幼虫で体長2~2.5cmと大型。体色は淡紅色で、体の節々に褐色の小斑点が並ぶ。成虫も翅に斑紋(ごまだら模様)があり、和名の由来になっている。
    かつて、このガには、成虫の体色や幼虫の生態が微妙に異なる、二つの系統が存在した。一つはここで取り上げている「果樹型」で、もう一つはマツ類を加害する「針葉樹型」である。「針葉樹型」は現在、「マツノゴマダラノメイガ」として独立している。この二種類のガは酷似しているが、モモノゴマダラノメイガの幼虫は5齢止まりで、年3回の発生、マツノゴマダラノメイガは6齢まで達し、年2回の発生と、細かな違いがある。
  15. ヨモギシロフシガ…老熟幼虫で体長1cm程度。体色は淡灰褐色。暖地に多い。

主な被害

新梢や芽、若い茎葉、果実など、比較的新しい組織に食入し、内部を食害する。食入孔からは、黄褐色~黒褐色の糞や、ヤニが出る。被害部分は萎れたり腐ったりする。なお、茎に食入した場合は、虫のいる部分だけがふくらみ、虫コブ状になることがある。

【補足事項】
  1. アズキノメイガ(フキノメイガ)…茎の先端付近や花穂に食入し、下方に向かって食害する。食入孔からは、黄褐色~黒褐色の糞が出る。
  2. アワノメイガ…茎の先端付近や花穂に食入し、下方に向かって食害する。食入孔からは、黄褐色の糞が出る。トウモロコシの場合、穂が被害を受けると白っぽく枯れる「白穂」になる。
  3. イッテンオオメイガ(サンカメイガ)…ニカメイガと並び、イネの大害虫として有名。イネの葉鞘や茎だけを加害する。
  4. カクモンノメイガ…アオイ科植物だけを加害する。
  5. クリミガ…成虫がイガの果梗付近に産卵する。孵化幼虫は、イガの中の果実に食入する。食入孔は、果実の下方にあり、とても細かい粉状の糞が出る。
  6. シソフシガ…シソ類の茎の先端付近に食入し、内部を食害する。食入された部分はゴツゴツと肥大して虫コブ状となる。被害を受けた茎は、生長が止まる。
  7. シロイチモジマダラメイガ…エダマメに食入する虫として有名。豆サヤを次々に移動するため、被害が大きい。
  8. ナシオオシンクイ…最初は芽に食入し、3齢以降は果実に入る。被害果が落ちないよう、糸を吐いて果梗や枝と綴り合わせる。幼虫のまま、被害樹の芽の中で越冬する。
  9. ナシヒメシンクイ…新梢の先端部や未熟な果実に食入する。被害部分からは虫糞が排出される。幹や枝に発生した病斑(がんしゅ病など)の中に食入することもある。ビワに寄生した場合、がんしゅ病を媒介するので厄介。
  10. ニカメイガ…イネの大害虫として有名。最初は集団で葉鞘を食害し、その後分散して茎の中に食入する。被害株は収穫が皆無になったり、枯死したりする。食入株を次々に替えるため、被害はきわめて大きい。
  11. マツツマアカシンムシ…2齢幼虫まではマツ類の葉を食害し、3齢幼虫以降は、新梢や松カサに食入する。被害部分は、葉が赤褐色に変色し、ヤニを出すため、とても目立つ。多発する傾向があり、被害がひどいと新芽が全て枯れる。サナギで越冬する。
  12. マツノシンマダラメイガ…マツ類の新梢基部から枝に食入し、枯死させる。被害部分からは黄白色の糞が出る。たまに、幹の樹皮下に食入することもある。若い木が被害にあいやすい。
  13. マメシンクイガ…シロイチモジマダラメイガと並び、エダマメやダイズに食入する虫として有名。
  14. モモシンクイガ…さまざまな果樹の果実に産卵・食入する。被害果は食入孔からヤニが出て、奇形化する。食入するとき、針で刺したような穴を開けるため、別名「ハリトオシ」とも呼ばれる。モモの重要害虫として有名。
  15. ヨモギシロフシガ…ヨモギの茎の先端付近や芽に食入し、虫コブ状に膨らませる。被害部分より上の茎は、生長が止まり、萎縮する。
  16. リンドウホソハマキ…リンドウの茎だけを加害する。

対策

被害部分ごと虫を除去する。すでに枯れ落ちたものも、虫が残っていることがあるので処分する。被害が軽微な場合は、虫のいる部分を指で押さえて圧死させてもよい。


【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクセル、アクタラ、アタブロン、アディオン、アップデート、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガードジェットBT、カウンター、カスケード、カルホス、カルモック、サイアノックス、サブリナ、サムコル、ジェイエース、ジェネレート、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイポール、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、デルフィン、トアロー、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バシレックス、ファルコン、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベニカ、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、レターデン、ロムダンなど。

イチゴなど、草丈の低い植物の場合、ダイアジノン、デナポン、ネキリトンなども有効。

【注意点】幼虫は植物体の内部にいるため、薬剤の効果が薄い。まだ食入していない若齢幼虫を狙うか、成虫の忌避効果を狙う。

【補足事項】
  1. スモモヒメシンクイ、ナシオオシンクイ、ナシヒメシンクイ、ニカメイガ…フェロモントラップが開発されているが、一般家庭では入手しにくい。

予防策

果実が肥大してきたら、袋かけをする。周囲の雑草を除去する。窒素肥料を控える。できれば株全体を寒冷紗などで覆い、成虫の飛来・産卵を防ぐ。無用な電照を行わない。誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。飛来する成虫を駆除する。
種類によっては、枯れた被害部分の中で越冬するので、掃除・剪定するなどしておく。樹皮の隙間や枝の分岐部などで越冬する種類も多いため、粗皮をきれいに削り落としておく。

【補足事項】
  1. アズキノメイガ(フキノメイガ)…大切な植物の近くでイネ科稙物を栽培しない。
  2. アワノメイガ…大切な植物の近くでイネ科稙物を栽培しない。トウモロコシの場合、若い雄穂に好んで食入するため、雌穂が色付きはじめたら雄穂を除去すれば、雌穂への害を減らせる。
  3. クリミガ…発生時期が遅いため、晩生品種を避け、早生品種を栽培する。株元の落葉下や土中浅いところで越冬するため、常に掃除しておく。
  4. ナシヒメシンクイ…果実の袋かけをする。樹皮の隙間や枝の分岐部、枝と支柱のすき間などにマユを作って越冬するため、粗皮を削り落とし、木の周囲もきれいに掃除する。(3月頃になると、サナギになるためマユから脱出するので、早めに。)
  5. モモシンクイガ…終齢幼虫が土中浅いところで越冬するため、樹の周囲を軽く耕しておく。また、果実にしか産卵しないため、袋かけが非常に有効である。
  6. モモノゴマダラノメイガ…樹皮が荒れていると多発するので、粗皮を削り落としてきれいにする。また、落ち葉の中で越冬する幼虫もいるので、株元を掃除する。大切な植物の近くでバラ科果樹(ウメ、モモなど)を栽培しない。

主な被害植物

【草花・鉢花】アスター、キク、キンセンカ、コスモス、ジニア、ダリア、リンドウ、ワタなど。

【観葉・多肉】ジュズダマ、ツワブキなど。

【樹木・果樹】アオギリ、アンズ、イチジク、ウメ、オウトウ、カイドウ、カキ、カリン、カンキツ類、クヌギ、クリ、サクラ、ザクロ、スギ類、ズミ、スモモ、ツガ、ドイツトウヒ、ナシ、ナナカマド、ネクタリン、バラ、ハマボウ、ヒマラヤシーダ、ビワ、ブドウ、プルーン、ボケ、マツ類、マルメロ、ムクゲ、モミ、モモ、リンゴなど。

【ハーブ・野菜】アズキ、アワ、イネ、インゲン、エダマメ、エンドウ、オクラ、キビ、ササゲ、サトウキビ、シソ、ショウガ、ダイズ、トウモロコシ、ナス、ピーマン、ヒエ、フキ、ミョウガ、ムギ、ヨモギ、レモングラスなど。

主な種類

【シンクイガ科】クリミドリシンクイガ、モモシンクイガ(ハリトオシ、モモヒメシンクイガ)など。

【ツトガ科】アズキノメイガ(フキノメイガ)、アワノメイガ、モモノゴマダラノメイガなど。

【ハマキガ科】エンドウシンクイ、クリミガ(クリオオシンクイ)、シソフシガ(コクロヒメハマキ)、スモモヒメシンクイ(スモモヒメシンクイガ、ボケヒメシンクイ、ボケヒメシンクイガ)、ナシヒメシンクイ(ナシヒメシンクイガ)、マツズアカシンムシ、マツツマアカシンムシ、ヨモギシロフシガ(トビモンシロヒメハマキ)、リンドウホソハマキなど。

【メイガ科】イッテンオオメイガ(サンカメイガ、サンカメイチュウ、ズイムシ)、シロイチモジマダラメイガ、ナシオオシンクイ(ナシマダラメイガ)、ニカメイガ(ズイムシ、ニカメイチュウ)、マツノシンマダラメイガなど。