タバコガ類
ヤガ科に属する。タバコガとオオタバコガの二種類があるが、これらは、幼虫はもちろん、成虫の姿までそっくりである。いずれも、トマトやピーマンの重要害虫として非常に有名。
ナス科野菜の害虫という印象が強いが、オオタバコガは雑食性が非常に強く、さまざまな植物を加害する。
発生時期
いずれも、真夏~初秋にかけて多発する。
- オオタバコガ…5~11月
- タバコガ…6~10月
被害箇所
果実、花、つぼみ、葉、子実、苞など。
形態など
いずれも、個体ごとの変異が大きいうえ、非常によく似た体形で、区別が付きにくい。ただし、ナス科ではない植物を加害していれば、ほぼ確実にオオタバコガである。
- オオタバコガ…老熟幼虫で体長3.5cm前後。体色は黄緑色・緑褐色・黄褐色・淡褐色などだが、個体によって、体色・模様の変異が大きく、同一種とは思えないほど違っていることもある。背面や側面に、地色とは違う色の縦線が入ることが多い。全身に、短い毛がまばらに生える。サナギで越冬する。年4~5回の発生。
- タバコガ…老熟幼虫で体長4cm。こちらも体色に変異が多く、個体によって、淡緑色~淡褐色、暗褐色、暗赤色などさまざま。体の節々に、小さな黒い斑紋を持つ。全身に、短い毛がまばらに生える。土中でサナギになり越冬する。年2~3回の発生。
主な被害
いずれも、果実や花、つぼみの中、結球野菜に内部などに食入する。食入孔からは暗褐色の糞が出る。他の部位にも自由に移動するため、被害が大きい。孵化直後は植物体に食入せず、葉や花、つぼみなどを普通に食害している。なお、食入できる部位の無い植物(葉もの野菜など)に対しては、単に食害するだけである。
【補足事項】- タバコガ…ナス科植物だけを加害するが、特に、若い果実を好んで食入する。
対策
見つけ次第、被害部分ごと虫を除去する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクセル、アクタラ、アタブロン、アディオン、アップデート、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガードジェットBT、カウンター、カスケード、カルホス、カルモック、サイアノックス、サブリナ、サムコル、ジェイエース、ジェネレート、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイポール、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、デルフィン、トアロー、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バシレックス、ファルコン、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベニカ、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、レターデン、ロムダンなど。
【注意点】薬剤への耐性が強いうえ、虫が植物の内部にいるので、駆除しにくい。
フェロモントラップもあるが、一般家庭では入手が難しい。
予防策
株全体を寒冷紗などで覆い、成虫の飛来を防ぐ。紫外線蛍光灯を設置して成虫を誘引し、捕殺する。天敵が多いため、それらを殺すような強い殺虫剤を使わない。夜間に黄色蛍光灯を点灯し、成虫の活動を鈍らせる。
主な被害植物
【草花・鉢花】エンジェルストランペット、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、キク、キンギョソウ、コスモス、ゼラニウム、トルコキキョウ、ナデシコ類、ヒマワリ、ペチュニア、ホオズキ、ワタなど。
【樹木・果樹】カキ、バラなど。
【ハーブ・野菜】アサ、イチゴ、インゲン、ウリ類、エンドウ、オクラ、カボチャ、カリフラワー、キビ、キャベツ、キュウリ、コマツナ、ジャガイモ、スイカ、ダイコン、トウガラシ、トウモロコシ、トマト、ナス、ニガウリ、ニンジン、ハクサイ、ピーマン、ヒエ、ブロッコリー、メロン、ラッカセイ、ラベンダー、レタス類など。
主な種類
オオタバコガ、タバコガなど。