ヨトウムシ類(食入する種類)
ヤガ科に属する。ヨトウムシの仲間だが、こちらは植物内に侵入する系統である。シンクイムシとしては大型で、食害量も多いため、発見が遅れると致命的。
発生時期
3~10月
【補足事項】- イネヨトウ…4~10月
- スギタニモンキリガ…3~5月
- ハジマヨトウ…5~6月
- ハマオモトヨトウ…4~10月
被害箇所
葉鞘、葉、茎、芽、球根など。
形態など
体長2~3.5cm程度と、シンクイムシとしては、かなり大型。体色はさまざまで、複雑な模様を持つ種類が多い。
- アカマダラヨトウ…老熟幼虫で体長3.5cm前後。体色は灰褐色~灰黒色で、背面に、淡灰色の細い縦縞が多数走る。背面中央と対側面に、黄橙色の細い線が目立つ。頭部は赤褐色。全身に、ごく短い毛が、まばらに生える。寒地には生息しない。
- イネヨトウ…老熟幼虫で体長2~3cm。体色は淡褐色~淡桃色。年3~5回の発生。
- スギタニモンキリガ…老熟幼虫で体長2.5~3cm。体色は淡赤褐色~淡黄褐色。やや太めの体型。土中でマユを作って越夏し、秋に成虫になる性質上、極暖地に多い。卵で越冬する。年1回の発生。
- ハジマヨトウ…老熟幼虫で体長3.5cm。体色は黒紫色で、頭部は赤褐色。背面に、白っぽい縦線が三本、うっすらと入る。全身に、ごく短い毛が、まばらに生える。
- ハマオモトヨトウ…老熟幼虫で体長3.5~4cm。体色は黒く、黄白色の斑紋が規則的に並ぶため、遠目には白黒の縞々模様に見える。頭部は橙褐色。全身に、ごく短い毛がまばらに生える。
主な被害
植物体に食入し、内部を食害する。食入孔からは、黄褐色~黒褐色の糞が出る。被害部分は萎れたり枯れたりする。
- アカマダラヨトウ…ヒガンバナ科植物だけを加害する。加害の仕方は、下記のハマオモトヨトウに似るが、植物体の外に出て、普通に食害していることもある。
- イネヨトウ…葉鞘や茎葉に食入し、内部を食害する。食入孔からは、黄褐色の糞が出る。次々に食入株を移動するため、被害が大きい。
- スギタニモンキリガ…ツバキ類だけを加害する。花やつぼみに穴を開けて食入し、内部を食い荒らす。被害花やつぼみは、早くに落ちてしまう。
- ハジマヨトウ…ササ・タケ類だけを加害する。タケノコの上部から食入し、内部を食い荒らす。食入孔からは糞が出る。時折外に出て、株を移動するため、放置すると被害が拡大する。
- ハマオモトヨトウ…ヒガンバナ科植物だけを加害する。若齢幼虫のうちは、集団で葉肉の内部に潜み、袋状の大きな空洞を形成する。成長すると、茎や地下の球根にまで食入し、内部を食い荒らす。体の大きさに加え、集団で加害するため、被害部分を見ると非常に気持ち悪い。
対策
被害部分ごと虫を除去する。すでに枯れ落ちたものも、虫が残っていることがあるので、集めて処分する。
【薬剤】【散布・土壌混和】Mr.ジョーカー、アークリン、アーデント、アクセル、アクタラ、アタブロン、アディオン、アップデート、アファーム、アファームエクセラ、アルバリン、エスマルクDF、園芸用キンチョールE、オルチオン、オルトラン、オルトランA、オルトランC、オルトランDX、オルトランMP、オンコル、ガードジェットBT、カウンター、カスケード、カルホス、カルモック、サイアノックス、サブリナ、サムコル、ジェイエース、ジェネレート、スピノエース、スミソン、スミチオン、スミナイス、スミフェート、セレクトジン、ゼンターリ、ダイポール、ダントツ、チューンアップ、ツービットDF、ディアナSC、ディプテレックス、デミリン、テルスター、デルフィン、トアロー、トクチオン、トルネード、トレボン、ノーモルト、バシレックス、ファルコン、フェニックス、プレオ、プレバソン、フローバックDF、ベニカ、マッチ、マトリック、マラソン、モスピラン、リーズン、レターデン、ロムダンなど。
【注意点】幼虫は植物体の内部にいるため、薬剤の効果が薄い。成虫の忌避効果を狙う。
予防策
無用な電照を行わない。誘蛾灯を設置し、成虫を誘引捕殺する。周囲の雑草を除去する。窒素肥料を控える。可能なら寒冷紗などで覆いを作り、その中で栽培する。
【補足事項】- イネヨトウ…イネ科の雑草を除去する。
主な被害植物
【草花・鉢花】アマリリス、クリナム、スイセン、ゼフィランサス、ネリネ、ハマユウ、ヒガンバナ、リコリスなど。
【ハーブ・野菜】アワ、イネ、サトウキビ、ショウガ、トウモロコシ、ミョウガなど。
【観葉・多肉】ササ類、ジュズダマ、タケ類など。
【樹木・果樹】サザンカ、ツバキ類など。
主な種類
アカマダラヨトウ、イネヨトウ(ダイメイチュウ)、スギタニモンキリガ(ツバキハナムシ、ツバキノハナムシ)、ハジマヨトウ(ハジマクチバ)、ハマオモトヨトウなど。