キクイムシの仲間
キクイムシ科、ナガキクイムシ科に属する。この仲間は、「単に、樹皮下を食害する種類」と、「木質部深くまで侵入して、『アンブロシア菌』を培養し、それを食べて生活する種類」がある。前者は「樹皮下キクイムシ」、後者は「アンブロシアビートル(アンブロシアキクイムシ)」と呼ばれる。
弱った木や、伐採直後の新鮮な木材に発生しやすい。
この仲間には他に、木材だけを食害する種類や、種子に食入する種類などもある。
発生時期
4~10月
被害箇所
幹、枝。
形態
【成虫の形態】甲虫類の一種。成虫でも、体長は1.8~6mmと小さい。体色は、褐色や灰色、黄褐色、黒色など。多くの種類は、年1~2回の発生。
【補足事項】- キイロコキクイムシ…体長1.5mm。体色は黄褐色。年4回の発生。
- ニホンキクイムシ…体長2.5mm。体色は黒。年3回の発生。
【幼虫の形態】幼虫も体長2~7mm程度しかない。体色は黄白色~白色で、脚が無く、ウジムシ状。
主な被害
成虫・幼虫ともに、樹皮下や木質部をトンネル状に食害する。雌成虫は、食害しつつ、坑道に産卵する。
食入孔は直径1~2mm程度と小さいが、食入直後は、細かい木くずやヤニが出てくるため、気付きやすい。小さな虫だが多発しやすく、しかも、胴枯病などの病原菌を媒介するため、木が枯死することもある。
通常は、衰弱した木や伐採後の木材に寄生するが、大発生時などは、健全木も加害する。
対策
被害樹は切り倒し、焼却するなどして、内部の虫ごと処分する。(伐採しても、放置すると次回の発生源となる。)
【薬剤】【食入孔に処理】アクタラ、アルバリン、園芸用キンチョールE、カルホス、スミチオン、ダントツ、テッポーダン、トクチオン、ベニカ、ベニカマツケア、マツグリーン、マラソン、モスピラン、リーズンなど。
【散布・塗布】ガットキラー、ガットサイドS、サッチューコートS、スミパイン、トラサイドAなど。
【注意点】小さな虫で、食入孔がわかりにくいので、幹に浸透する薬剤を散布・塗布したほうが無難。
予防策
木を弱らせない。
主な被害植物
【樹木・果樹】ウメ、カエデ類、カシ類、クリ、ケヤキ、サクラ、シイ、シナノキ、チャ、トチノキ、ナシ、ナラ類、ニレ類、ハナミズキ、ブナ、マツ類、マルメロ、モモ、リンゴなど。
主な種類
【樹皮下キクイムシ】カラマツコキクイムシ、カラマツヤツバキクイムシ、キイロコキクイムシ、シイノコキクイムシ、トウヒノコキクイムシ、トドマツコキクイムシ、トドマツノキクイムシ、ニホンキクイムシ、マツノキクイムシ、マツノコキクイムシ、ヤツバキクイムシなど。
【アンブロシアビートル】カシノナガキクイムシ、カシワノキクイムシ、サクセスキクイムシ、シナノナガキクイムシ、ハンノキキクイムシ、ミカドキクイムシ、ヤチダモノナガキクイムシなど。